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原子が見えるとは
電子顕微鏡では原子を見ることは可能ですよね。 しかし、原子が見えるとはその位置を特定することになるので 不確定性原理に反していると思うのですがどうなのでしょうか? 私なりに考えたのは、原子が見えると言ってもある程度誤差があり、完全にその場所を特定しているわけではないのではないかということです。 しかし、実際のところわからないので回答をおねがいします。 また、80年代(多分)にIBMが何かの原子(結晶?)の膜から原子を取り出し、そこにIBMと書いていたのを見たことがあるのですが、あれはどうして量子力学的に矛盾はないのでしょうか? どなたか、詳しくて親切な方回答をおねがいします。
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透過型電子顕微鏡(TEM)を用いれば,原子の位置を観察することができます。 その場合には,特に絶対零度付近まで冷却する必要はありません。原子の位置は 数百℃という高温でも特定できます。EXAFS(Extended X-ray Absorption Fine Structure) なら,リアルタイムで原子位置を同定できます。 oyaoya65さんがおっしゃるように,電子や中性子を観ることはできません。飛び出して来て 通過した軌跡ならば観ることができますが。 ところでTEMで観れるのは,原子の位置です。原子そのものではありません。 原理は単純で「散乱」です。入射された電子が原子によって散乱されますが,原子の種類に よって散乱断面積が異なるので,原子の種類が異なると,2次元に投影された電子像は 明暗となってその違いを写し出します。もちろん,これも量子力学的な効果です。 最近はMCD(磁気円二色性)などが進歩してきたので,そろそろ原子を捉えることができる ようになるかもしれません。 IBMの文字が書かれたのは,STM(走査型トンネル顕微鏡)という装置が用いられました。 これは,導電性のある物質に,極小の針を近づけて,針と対象物質との間に生じる量子 トンネル現象を利用した装置です。もちろん,この方法で,原子位置を可視化することが できますが,これはTEMのような散乱ではなく,状態密度の違いを観察しているのです。 ですから,原子の種類を特定することはできません。極小の針は,原子1個レベルの大きさ である必要はなく,通常針の先端には数百個の原子があります。その中の,どれかとの間に トンネル現象が生じれば,原子位置を可視化できます。 そして,針に印加する電圧を制御することで,原子をマニュピレートすることができます。 原子間に働く(電磁気的な)結合のエネルギーを越えた電圧を加えれば,結合を切って原子を 動かすことができるのです。 ところで,STMと同様に原子像を観察出来る手法は他にもあります。例えば,AFM(原子間力 顕微鏡)などです。AFMは,針と対象物との間の原子間力の変化をカンチレバーで捉えるもの なので,対象物が導電性を持つ必要はありません。
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- goma_2000
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原子の位置を特定することは、不確定性原理に反しているか?ですが、不確定性の範囲内で特定することは可能です。ですので、leggiemillerさんが仰られていることで正しいです。完全に特定したのではなく、ある不確定さをもって特定しているということです。これは熱振動などとはまったく別の、原理的な話です。電子顕微鏡の電子の運動量からわかる原子の運動量の不確定さの範囲で位置が特定できているということですね。 また、見るということですが、目で見ることは当然出来ません。見る為には見る波長が見る対象の物質よりも短い必要があります。その為、原子を見ようとすると、かなり波長の短い光(X線やγ線)が必要になります。当然、目で見たようには見えません。。。 電子顕微鏡では電子との相互作用をしての電磁場(バーチャルフォトン)を介してみていることになります。上記の電子顕微鏡で見られる大きさからは、恐らく電子は点として見えているのでしょう。原子の形状(構成要素)等まで見たいという話になると、より高エネルギーの電子線が必要になります。(俗に言う加速器が必要になります)。やっていることは同じですけどね。
お礼
>見る為には見る波長が見る対象の物質よりも短い必要があります そうですよね。直接見えるはずないですよね。忘れてました。もう少し勉強に励みます。 回答ありがとうございました。
- oyaoya65
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>原子が見えるとはその位置を特定することになるので 不確定性原理に反していると思うのですがどうなのでしょうか? 電子や中性子までになると不確定性原理のため観察は困難です。原子ほどの重さの粒子になると絶対零度(0°K)近くまで冷却してやれば、粒子の振動もほとんどなくなり、測定系の観察対象に与えるエネルギーを極小化し、高倍率の光電子増倍管を開発する周辺機器の開発して、それらを備えた電子顕微鏡により観測が可能になったということですね。 >通常は熱エネルギーで振動していて見えませんが、絶対温度の零度(0°K)に近い温度まで冷却して、原子の振動を静止させ、観測系が観測物質に与えるエネルギーを限りなくゼロに近づけることで、原子のサイズまで大きさや配列がぼんやり見えるようになったというわけですね。 しかし、原子の周辺を飛び回る電子や原子核を構成する陽子や中間子などまでは、不確定性原理(観測系の与えるエネルギーで観測される粒子が動いてしまい観測できないという原理)に阻まれて見えるところまではいたっていないということです。
お礼
非常に詳しい回答ありがとうございました。 STMってそんなことが可能なんですね。 とても勉強になりました。