元予備校講師(数学担当)です。正直、数学が出来る人だとは思いませんが、それなりに、ということで(笑)。勿論、好きではあります。
元々は数学嫌いで成績も最低だった私が好きになったきっかけは高校受験の際に家庭教師が『数式計算がダメなら図形問題やグラフなど目で見えるものだけでも頑張ってみよう。』と言い、集中してさせてみたことですね。
図形は描くことも出来れば、作ることも出来ます。
グラフも描けますし、確率統計などの問題は実験してみることも出来ます。
その後、数学が好きになり、それなりに出来るようになってから、それらのアプローチは学習上でも仕事上でも変わりありません。
いかなることでも『体感する、納得する』ということが大事でした。そして何よりも『楽しむ』ということでしょう。
そういう意味では、幾何学・確率統計はなじみやすいのかもしれません。代数学に関してはコンピュータプログラムを作る上でブール代数の基本を習った際に感動した覚えがありますし、線形代数分野で1次変換・アフィン変換を習い、空間座標の軸が正規直交系だけでないことを知ってからいきなり世界観が開けたこともあります。解析学に関しては、高校の数学の先生に「長方形の面積の求め方は知ってるな?では何故“縦×横”で良いと言い切れるのか?説明してみよ。」と言われてからですね。結局は積分の話だった訳ですが、未だに哲学チックな部分を残してますね。これはゼロの“存在”に関する数論の分野とも関係しますが。他にも複素数平面によって幾何学の問題が解けたときも面白いと思いましたし、黄金比と複素数の関係なども面白いですね。
で、趣味に関してですが、私の趣味は「競技アルペンスキー」「書道」です。
スポーツ競技の世界では非常に厳しいデータ分析の世界がありますが、ご多分に漏れずアルペン競技でもあらゆる統計解析が行われます。
スキー板であればトーションやフレックス、サイドカーブなどを測定して、設計に生かすことになりますし、ブーツでも素材の固さやバックルの数や設置幅、足首の曲がる角度、カントと呼ばれる足首と脛部の角度調整などもあります。バインディングも解放強度の調整は勿論、設置位置や高さの調整もあります。設置による板のフレックスへの影響を計算することもあります。ポール(ストック)でも素材によりフレックスや強度に違いがあり、身長や腕の長さ、滑走スタイル、種目、最高滑走速度などにより長さや形状の変更を行います。
選手側でも気温・湿度・雪温・雪湿度・雪質(結晶の形・大きさなど)・天候と天候変化・標高差・斜度(最大最小平均)・風速・地形(右傾・左傾や斜度変化)・コース長・旗門数・旗門間の長さ・旗門の左右の振分け(横振り(オープン)、縦振り(クローズ))・出走順などを出走前にデータとして収集し、分析して、滑走上の戦略を練ったり、ワックスの選定や混合比率、塗りこみ温度や時間の設定、ストラクチャーと呼ばれる模様の形状や長さ・細さ・幅・深さなどを決定します。
勿論、お金のあるチームや選手はスキー板の中でもベースになるものを何種類も何本も用意し、それを状況にあわせて上記の様な加工を加えながら、本番前のインスペクション(コース下見みたいなものです)時のデータと合わせて分析して本番用を選定します。
F1と違うので、エンジンぶっ壊れてスペアカーという形はないですが、結構大変です。
私のように貧乏な選手(←昔のことです)は、コレを自分と少ないスタッフだけでやらねばならず、むちゃくちゃ大変です。レース当日は早朝からずっとこんな調子です。
高校・大学と社会人(というか一応元プロ。現役生活は短かった(苦笑)。)で競技生活をしましたが、統計分析を中心にデータの分析や、論理学的な結論誘導が比較的得意になりました。
ちなみに、書道は数学とは無縁のようですが、そんなことはありません。幾何学的なセンスを要求されますし、墨をする際の水と墨木の混合比率などもキチンとやれば重要になります。紙質と上記の墨の質の関係や書いた字質(滲み・かすれの有無など)も上達には必要です。筆運びのスピードや紙への押し付け具合も影響します。勿論、思い通りに書くにはそれらを技術として体得せねばならず、それは数学では表せませんが、結局は「量をこなせば、いつか質に変わる」瞬間が来る、というのは実感です。
個人的には、あらゆる事に数学は役立っていると思いますから、特定分野に絞って興味を持って、あえて数学的に分析するようにすれば、それなりに役立つのではないでしょうか?
実際、経営コンサルタントになってからもあらゆる数学が役立ってますよ。楽しいですね(^-^)。
お礼
僭越ながら仰っておられる事が想像できるような感じがしました。私は数学が生きがいと言いたいのですが、自分なりに理解できるものが一つでも出来るまではそうは言えないと考えています。