- ベストアンサー
「レイヨグラム」とは間違っている?
- カメラやレンズを用いずに作成する「写真」の一種であるフォトグラムには、マン・レイが「レイヨグラフ」という別名を付けています。
- 「レイヨグラム」と「レイヨグラフ」という呼び方のどちらが正しいのかについては、明確な根拠や文献は存在しません。
- ただし、マン・レイ自身が使用していた言葉は「レイヨグラム」である可能性が高いです。
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
例の有名な「PHOTO POCHE 」シリーズの次の本の前文(前書き)の文頭に次のような記載があるのを見つけました。 Photogrammes PHOTO POCHE 74 Floris Neusüss Editions Nathan, Paris 1998 ISBN: 209-754 122-2 Rayogramme: "Photographie obtenue par simple interposition de l'objet entre le papier sensible et la source lumineuse. Saisies aux moments d'un détachement visuel, pendant des periodes de contact emotionnel, ces images sont les oxydations de residus, fixes par la lumiere et la chimie, des organismes vivants." Man Ray この部分がそもそも引用ですが、引用元は、次の文献だそうです。 Dictionnaire abrege du Surréalisme (edite par la Galerie des Beaux-Arts), Paris 1938 (なお、ここでは、アクサンテギュとアクサングラーヴが出ないので、すべて「e」にしています) さらに、この文献(Dictionnaire abrege du Surrealisme)に関して調べてみたところ、次のとおり、日本語訳が出版されていました。 シュレアリスム簡約辞典 アンドレ・ブルトン、ポール・エリュアール編著 江原順翻訳 現代思潮社 1976年 この本から、該当箇所を引用します。 RAYOGRAMME レイヨグラム-「印画紙と光源のあいだに物体をいれるだけで与えられる写真。情動的接触期間のあいだの、視覚の離脱の瞬間にとらえられる、これらのイマージュは、光と化学によって定着された、生きている有機体の残滓の酸化物である」(M.R.) M.R.とは、もちろんMan Rayのことです。 これからいえるのは、マン・レイが、1938年の段階で、「Rayogramme」という言葉を使っていた可能性があるということです。なお、この本(「Photogrammes」)に掲載されているマン・レイの作品のタイトルは、「Rayogramme」です。ただ、「PHOTO POCHE」のシリーズの「Man Ray」の巻におけるフォトグラム作品のタイトルは、「Rayographie」となっています。 1)勝手な想像ですが、マン・レイ自身は、 あ)はじめ、レイヨグラフと呼んでいたが(1920年代?)、 い)(周りが混同して?2つを混ぜて使い始めたため)やがて、レイヨグラフとレイヨグラムの双方を(というか、むしろ、レイヨグラムを)使うようになり(1930年代?)、 う)最後、(バウハウスに負けずに対抗するために?)レイヨグラフという呼び方に絞った(それ以降?) ということではないか、と思っています。 2)ちなみに、横江文憲さんが「レイヨグラム派」なので、かつておられた「東京都写真美術館」の文献で、「レイヨグラム」になっているのは、むしろ当然かと思います。 3)「レイヨグラフ」か「レイヨグラム」かの議論をするときに作品のタイトルは結局は信用できず、「根拠」としては使えないとおもいます。マン・レイ自身ではなく、あとから、評論家、研究者等が勝手にタイトルをつけている可能性が高いからです。 以上、かえって議論が混乱してしまうようですみませんが、ご参考まで。
その他の回答 (2)
何が言いたいのかよく分らんが、、、 で、どうなのよ「レイヨグラフ/Rayograph」でいいんでしょ? 回答に対する反応を見て、直感で思ったよ「あっ、うっとうしいタイプの人間だな」って。調べてみたら他でもやってるな。今後一切関わりたくない性格の人間のようだ。本日からお前ブラックリスト入り!!!!! ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
補足
せっかくの機会ですので、質問では割愛せざるをえなかった、書籍や展覧会カタログの例を、ここに書きます。 書籍ですと、例えば、(カッコ内は出版社) ・カラー版世界写真史(美術出版社):レイヨグラフ ・すぐわかる作家別写真の見かた(東京美術):レイヨグラフとレイヨグラム ・写真の歴史入門第2部(新潮社):レイヨグラム ・世界の写真家101(新書館):レイヨグラフ ・写真のキーワード(昭和堂):レイヨグラム(これは、原著を確認できていません) ・A World History of Photography(Abbeville Press):Rayograph ・20世紀写真史(伊藤俊治著・1988年・筑摩書房):レイヨグラフィー ・フォトモンタージュ(フィルムアート社):レイヨグラム(原著もrayogram) 展覧会カタログですと、例えば、(カッコ内は展覧会の開催年と開催された美術館) ・マン・レイ展カタログ(1984年-1985年・小田急グランドギャラリー他):レイヨグラフ ・マン・レイ展カタログ(1990年・セゾン美術館):レイヨグラフ ・表現としての写真150年の歴史展カタログ(1990年・セゾン美術館):レイヨグラム ・アジェ、マン・レイ、ブラッサイの巴里展カタログ(1992年・東京都写真美術館):レイヨグラム ・写真のエコールドパリ展カタログ(1991年-1992年・目黒区美術館他):レイヨグラフ ・芸術としての写真展カタログ(1984年・国立国際美術館):レイヨグラム 以上です。 なお、「photogram」と「photogramm」ですが、 ・英辞郎(http://www.alc.co.jp/) ・Merriam-Webster Online(http://www.m-w.com/) ・リーダーズ英和辞典(研究社) では、いずれも、「photogram」だけが掲載されています。 ちなみに、フランス語では、「photogramme」もあるようです。 よろしくお願いします。
モホイ・ナジといえばバウハウスです。質問にある疑問点も、ある意味で本家本元のバウハウスのアウトプットだったらかなり信用できるのではないでしょうか? そのバウハウスによるモホリ・ナギの初の著書である、バウハウス叢書「絵画・写真・映画/MALEREI FOTOFGRAFIE FILM」をご存知ですよね。それを翻訳した中央公論美術出版による日本語翻訳版です。 ドイツ語を日本語表記すると「ラスロー・モホリ=ナギ」 アメリカ語を日本語表記すると「モホリ・ナジ」 ハンガリー語を日本語表記すると「ラースロー・モホイ=ノディ」 質問者の表記は「モホイ=ナジ」です。上記のどれにも該当しません。余談ですが私は普段の喋り言葉では「ラースロー・モホリ=ナギ」です。これも上記のどれにも該当しません。もっとも実際は短縮して「モホリ=ナギ」を会話の中では使います。「モホイ=ナジ」と発音する人はすごく少数でしょうね。恐らく質問者氏が教育機関の初期の頃にそのように学習したのでしょうね。 さて質問の「マン・レイ/Man Ray」に関してですが、これは「レイヨグラフ/Rayograph」ですね。そもそも異国の言葉を日本語に翻訳しさらにカタカナで表記するのは難しいことだし、誤差も出るのでしょうね。誤差はあるでしょうけど「Rayograph」の後半のアルファベットを見る限り「レイヨグラフ」か「レイヨグラム」かと考えると「レイヨグラフ」とカタカナ表記するのが自然です。よって、「レイヨグラフ/Rayograph」が正しいと考えます。では、なぜそのような名称にマン・レイが名づけたのかというのは分りません。 ※※全く知りませんがハンガリー語で「レイ」等の名前の語尾に「ヨ」や「オ」等をつけると、もしかして「自分の」や「自分の物」みたいな意味にでもなるのでしょうか?これは私的な全くの想像です。 以上は直接言及ではありません、明確な根拠・証拠というものはありません。しかし、翻訳ではありますが、バウハウスが直接関わった出版物での言葉を、質問者氏が今後の人生で使用していってもなんら恥ずかしいことはないのではと思い、100%ではありませんが回答しました。いつか100%の証拠を見つけた時、今回と違っていたら、その時改めて修正すれば問題ないと考えます。 参考ですがマン・レイのレイヨグラフによる最初の作品集は「おいしい野原」「Champs Delicieux」1922.5刊行です。この作品集は持っていません。これこそ本人によるものなので信憑性は最大かもしれません。現在これを入手できるかどうかが分りません。 更に参考ですが質問者「フォトグラム/photogram」とありますが「フォトグラム/photogramm」が正しいす。これも出所はバウハウス+モホリ=ナギです。
補足
ご回答ありがとうございます。 まず、『「モホイ=ナジ」と発音する人はすごく少数でしょうね。』と書いておられますが、次のような例があります。 ・バウハウスの写真(1997年・川崎市市民ミュージアム)(深川雅文・井口壽乃・飯沢耕太郎・川畑直道・柏木博の五氏の文章ですべて「モホイ=ナジ」となっている) ・世界の写真家101(1997年・新書館・多木浩二+大島洋編)(井口壽乃氏執筆分) ・カラー版世界写真史(2004年・美術出版社・飯沢耕太郎監修)(深川雅文氏執筆分) ・ハンガリー・アヴァンギャルド―MAとモホイ=ナジ(2000年・彩流社・井口壽乃) また、インターネットの検索でも、「モホイ=ナジ」は多くヒットします。(逆に、「モホイ=ノディ」はほとんどヒットしません(皆無ではない)。) 「すごく少数」ということはなさそうです。この辺りは、ご回答の前に、ご確認いただきましたか? ちなみに、私は、もともと、「モホリ=ナジ」と「モホリ=ナギ」のどちらにしようか、しばらく決めかねていたのですが、最近「モホイ=ナジ」が増えてきているので、「モホイ=ナジ」を積極的に使おうかと考えているところです。何を根拠に書いておられるのかよくわかりませんが、「恐らく質問者氏が教育機関の初期の頃にそのように学習したのでしょうね。」ということはありません。そもそも、教育機関で、写真に関する教育は受けていないので。 なお、ここで、私は「モホイ=ナジ」が「正しい」とまでは申していません。「モホイ=ノディ」が正しいのかもしれませんが、日本では一般的に受け入れられていないようですね。 さて、本題の「レイヨグラフ」ですが、貴重な情報をありがとうございます。結論としては、私の考えと同じなのですが、ただ、「MALEREI FOTOFGRAFIE FILM」は、翻訳のみをご覧になったということですね。そうすると、翻訳者(利光功氏)が、訳を間違えているという可能性は、否定できないですね(訳者に大変失礼なことを申し上げて、恐縮ですが)。また、モホイ=ナジがそもそも間違えていた可能性もあります(現実に、後世の専門家も間違えているのですから)。 ちなみに、「レイヨグラフ」は、この言葉を作ったマン・レイが住んでいた国から考えると、ハンガリー語とは考えられず、本人にしてみれば、おそらく、英語かフランス語のつもりの造語でしょう。 それから、「フォトグラム」ですが、ドイツ語(たぶんこれがオリジナル)ならば「fotogramm」でしょう(バウハウス叢書のタイトルでも「fotofgrafie」で、「エフ」ではじまりますしね)。英語ならば「photogram」と「photogramm」の両方がありうるようですが、一般的には、前者の方をよく見かけます(英語にとっては、所詮外来語ですから、ドイツ語にあった語尾の「m」をあまり気に留めていないのでしょう)。
お礼
貴重な情報をありがとうございます。いただいた情報から考えると、どうも、マン・レイ自身も、少なくともある時期(一時期)は、「レイヨグラム」という呼び方を使っていた、と考えざるを得ないようですね。 さて、私の方は、日本で刊行されているマン・レイの伝記3冊を確認してみました。すべて日本語訳されたもののみで、原著の内容を確認できていませんので、訳し間違いの可能性も残りますが、3冊とも、「レイヨグラフ」でした。その3冊とは、以下のとおりです。 セルフ・ポートレイト マン・レイ自伝(マン・レイ、千葉成夫訳、美術公論社、1981年):レイヨグラフ(134ページ) マン・レイ(ニール・ボールドウィン(Neil Baldwin)、鈴木主税訳、草思社、1993年):レイヨグラフ(148ページ) マン・レイ 写真と恋とカフェの日々(ハーバート・R・ロットマン(Herbert R. Lottman)、木下哲夫訳、白水社、2003年):レイヨグラフ(96ページ) いずれの本でも、「レイヨグラム」という言葉には言及されていません。 この3冊の中では、最初の「自伝」が重要だと思います。訳者のあとがきに奇しくも書かれているとおり、マン・レイの性格を想像すると、この自伝の内容には虚実がないまぜになっていると考えた方が安全ですから、この自伝から、マン・レイが最初につけた名前が本当に「レイヨグラフ」だったのか、また、この本には「レイヨグラム」という呼び方をマン・レイが使ったことを示す記述はないが、本当に使ったことはないのか、という質問に対する答えはわかりません。ただ、この自伝を書いた時点(1963年)で、マン・レイは、自分の作品を、(翻訳が正しい限りは)「レイヨグラフ」と呼びたい(「レイヨグラム」という呼び方は使いたくない)と考えていた、ということはわかります(推測できます)。これは、「レイヨグラフ」説には有力な論拠となると思います。 さらに文献を探してみます。