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不動産の共同相続人の一人が取得時効を援用できますか?
こんにちは。いつもお世話になっております。 過去の質問・回答を見てみましたがよく判断できないので、よろしくお願いいたします。 不動産の登記名義人Aとその妻Bがおりました。 A、Bには子がおりません。、Aの兄弟はおりました。 すでにAの両親は死去しておりました。 Aの死後、Bは私の妻(当時は中学生でした)を養女とする 養子縁組をし、昭和54年、死去しました。 Bの死後、私の妻が固定資産税の納税を今日までしております。 また、この不動産は農地・山林ですが、農地は近所の方に 耕作していただき、私の妻が毎年地代をいただいております。永小作権とか地上権ではなく賃貸です。 Bの死後、他の相続人からの遺産分割協議の申し出等は無く、 全く没交渉となっております。ただ、Bの生前、不動産の 分割につき紛争があったと聞いております。 以上のような状況で、 (1)私の妻はAの相続人ではないがBの単独相続人である。 (2)その妻が悪意であるが納税・賃貸(農業委員会への届け出 もしております。)をし20年を超えて平穏・公然に占有を 継続したという事実がある。 ただし、山林については賃貸等していない。 この場合、私の妻は全ての不動産につき取得時効を援用可能 でしょうか。 宜しくご教授お願いいたします。
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難問の部類に入る事例だと思います。難しさのゆえんは、なまじっか奥様が相続によって共有持分を有しているからです。 共有持分を有していますから、自己の持分権に基づいて占有する権原もありますし、持分の価格の半数以上を有していれば、他人に土地を貸すことも可能です。誤解を招く表現かもしれませんが、自分自身の持分については自主占有ですが、他の相続人の共有持分については他主占有とも考えられるのです。 自主占有かどうかは、占有者の内心ではなく、権原の性質、客観的事情によって判断されます。 管理や使用収益を独占的にしてきたこと、自ら固定資産税を払い、他の相続人に持分に相当する額の負担を求めていないこと、他の相続人がそれらのことを知りつつ、何らかの異議を申し立ててない等の事情は、単独所有者としての自主占有として認められる要素にはなるかもしれませんが、決定打と言えるかどうかは難しいところです。奥様が、他の共同相続人に対して、この土地は、自分の単独所有として占有をしていることを通知していた事実でもあればいいのですが。 No.2の方があげられた判例も参考にして、最終的には弁護士に相談されることをお勧めします。
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#1です。 蛇足ついでに具体的な話を一つ。 「時効」を原因とする登記申請を行う当事者は、 「権利者」である取得者「私の妻」 「義務者」である「他の相続権を持つ人間全員」 であり、「義務者側は相続人であることを称する戸籍等及び印鑑証明書が必要です。 これは相続」を原因とする場合に必要となる書面と何らかわりはありません。 若しくは、義務者の印鑑証明書にかわる「判決」用が必要となります。 時効にすれば「簡単」というわけではないということです。 むしろ話がこじれる危険性が高いと言えます。
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ありがとうございます。 haku-y さんの仰るように、遺産分割協議による相続登記も取得時効援用も相続人の確定が必要ですよね。これに費やす時間・労力は差がないのでは。また、 >「むしろ話がこじれる危険性が高いと言えます。」 とご指摘いただいたように話がこじれるほうのお互いの損失のほうがつまらんですね。全相続人と協議したほうがいいのではと思いだしました。 大変ありがとうございました。
#1ですが、既に他の方が判例も紹介されているようですし解説もされているようです。 現実問題として、「登記」を行うためには、他の相続人全員が単独相続を承認するか、または他の相続人全員に対抗できる判決等が必要となります。 「相続」を原因とするのであれば、承認する者については遺産分割協議書等を整え、承認しない者に対しては遺産分割協議にかわる判決等を取得することとなります。 「時効取得」を原因とする場合、他の相続人がこれを認めたとしても「法務局」が「時効と確定的に認めることができない」として却下することが考えられます。 相続時点が起算点となるのは判例にもあるとおり「極めて限定的な事案」についてのみであり、通常は認められていないからです。 持分2分の1は相続での取得で、残り2分の1が時効取得になるのかという問題もあります。 登記所が「時効」を原因とする登記を認めるためには、判決等が必要とされるでしょう。 なお、登記を受理するかどうかは「登記官」の判断するところであり、「時効」に該当するかどうかは裁判所の判断するところとなります。 蛇足でした。
お礼
ありがとうございます。 なるほど、 >登記所が「時効」を原因とする登記を認めるためには、判決等が必要とされるでしょう。 やはり遺産分割協議を誠実にするしかないですかね。 多分、弁護士さんも皆さんのご意見のとおりの判断じゃないかと思います。 ご意見、ご教授たいへんありがとうございました。
- matthewee
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1.最高裁昭和47年9月8日判決で、「共同相続人の一人が相続財産につき単独所有者としての自主占有を取得したと認められた事例」があります。 この判決は、「共同相続人の一人が、単独に相続したものと信じて疑わず、相続開始とともに相続財産を現実に占有し、その管理、使用を専行してその収益を独占し、公租公課も自己の名でその負担において納付してきており、これについて他の相続人がなんら関心をもたず、異議も述べなかった等の事情のもとにおいては、前記相続人はその相続のときから相続財産につき単独所有者としての自主占有を取得したものというべきである」というものです。 この判決の要旨は現在、最高裁HPに掲載されています。下記、参考URLに最高裁HPを貼っておきますので、以下の手順で判決までたどり着いて下さい。 「検索ページ」を開いて、「最近の最高裁判決」のチェックを消します。「裁判年月日」に「昭和47年9月8日から昭和47年9月8日まで」と打ち込んで、「検索実行」。 2.上記の最高裁判決が、質問者さんのケースにそのまま該当するかはわかりませんが、相続において不動産の取得時効(民法162条)が全く認められないという結論は早計だと思います。 実際に「私の妻」が取得時効による所有権移転登記ができるかは、管轄の法務局におたずねになり、どのような書類が必要か確認される必要があると思います。
お礼
またまた、ありがとうございます。 早速、URL拝見してみます。
「相続」は「被相続人の権利義務を継承するもの」であり、「占有」については「同一人物による占有が続いている」という見方をします。 従って、相続を起算点として「自分の占有が開始した」と主張することはできません。 質問のケースではAの占有が継続しているのと同じとい 事となり、「私の妻」が新規に占有を開始した時点という者はありません。 「事項の起算点がない」ということですので、いくら占有を継続したとしても時効を主張できないということになります。 Aの死亡により「B」及び「Aの兄弟姉妹」の共有状態が発生し、「B」死亡により「B」持分は「私の妻」に相続されています。 現状を解決するには、「Aの兄弟姉妹(及びその相続人)」と遺産分割協議を行うしかありません。
お礼
早速のご教授ありがとうございます。 固定資産税の納付開始と、賃貸で賃借人による代理占有という「所有の意思を持った占有の開始」にはなりませんでしょうか?相続とは無関係に「悪意の20年占有」となりませんでしょうか?宜しくお願いいたします。
お礼
ありがとうございます。 No.2の matthewee さんに教えていただいた最高裁のサイトを拝見しました。最高裁までいくような微妙な問題なんですね。buttonholeさんのおっしゃるように私の妻の法定相続分内での占有と判断される可能性がありますよね。毎年いただいていた耕作料は山林も含めた全ての土地の固定資産税額とほぼ同額で、要するに、耕作をしていただいていた方に農地を荒らさないようにしていただいていたようなものなんです。先日、この耕作していただいていた方が脳梗塞で倒れられ「もはや農業は不可能で農地は返却します」とのことで、現地の農協等相談しましたが、やはり登記名義人でないと新たに農地の賃貸借契約はできないとのでした。農地を荒らすと近隣の方に雑草等で迷惑をかけますのでなんとかしないといけません。buttonholeさんのご助言のとおり弁護士に相談してみようかと考えました。