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Nature 3月24日号 キャッシュ遺伝(p.505)

シロイヌナズナのHOTHEAD(HTH)の変異体で見つかった、両親にはない遺伝子型の遺伝のことです。何それ?って感じの大発見のように思うのですが、大嘘の可能性も感じます。当方、ネットで概要しか見れないもので、原論文読んだ方、かいつまんで教えてください。生物系大学院でてるので、基礎知識はあります。 1.HOTHEAD遺伝子とは? 2.具体的な現象は? 3.著者はどういう推論を経てRNAによるキャッシュ   遺伝と考えているのか。

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回答No.1

生物系の大学院生です。 興味があったので、今読んでみました。 要点を順に書いていきます。 -HTHの3つの変異allele(hth-3,4,10)のホモ接合体の自家受精のprogenyの中に8-16%の割合でヘテロ接合体が見られた。 -ヘテロ接合体の種が混入した可能性は、ホモ接合体で成長中の胚の遺伝子型を直接調べたことで否定。 -wild typeの花粉が混入した可能性は、progenyの中に1%ほどの低い確率ながらwild typeのホモ接合体が見られたことで否定。 -polymorphismに違いのあるColとLerの2種の系統を掛け合わせたことで、wild typeのHTH遺伝子の由来は花粉(雄の親)であることを確認。 -transposonsやrepeated sequencesは、HTHの配列に見られない。 -得られたヘテロ接合体のHTH遺伝子に他のsilent mutationはないことから、突然変異率が上がって復帰突然変異となったわけではない。(→何らかのtemplate由来である) -ホモ接合体である両親のゲノムDNAのPCRとサザンブロッティングにより、両親のゲノムにはwild typeのHTH遺伝子が存在しないことを確認。 -相同性が高いHOTHEAD-LIKE (HTL) 遺伝子から相同組み換えされて変異が回復した可能性は、点変異の前後の配列がHTH特異的でHTLの配列を含まないことから否定。 -HTHの変異ホモ接合体のprogenyは、HTH遺伝子に限らず、他の配列や遺伝子でも両親のゲノム由来ではない配列を遺伝していることを確認。この配列はエクソンに限られないため、mature mRNA(スプライシング等の修飾済み)が遺伝しているわけではなさそう。 -両親のゲノムDNAにはwild typeの遺伝子が見つからなかったので、RNAとして遺伝しているのではないか。植物版RNAiであるPTGSは数世代遺伝することから、dsRNAは遺伝され得ると思われる。また、dsRNAがゲノムDNAに配列特異的に変異を起こすことを示唆する研究もある。したがって、今回の両親由来ではないwild type遺伝子の遺伝は、両親以前の先祖から遺伝してきたdsRNAが変異配列を配列特異的に修復したことによるのではないか。HTHの変異は、直接的あるいは間接的にこの未知のメカニズムを促進したと考えられる。 以上 よく分からない部分も多いですが、おおむねこんな感じでした。 読むよりまとめるのが大変でしたが、勉強になりました。 現象についての紹介が主で、その背景のメカニズムについてはまだ推測だけのようです。 ホモ接合体の先祖が長く連続しているほどwild typeの遺伝子の発生率が低くなるのかどうか、HTH遺伝子が本当にRNAの状態で遺伝しているのかどうか、これから調べる必要があると思います。

madrugscie
質問者

お礼

丁寧に書いてあり、感謝です。 実は同じ質問が教えてgooにあったのですが、 あなたの回答が一番分かりやすかったです。 生物学的な言葉で適切に書かれてました 解析はこれからですね。 かなり変な現象ですが、RNA worldが生命の 起源だと考えれば、RNAを媒介とした珍現象が これからも出てくる可能性がおおいにありますね。

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