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電気機器のノイズ対策について
EMC試験などで、イミュニティ/エミッションともに、ノイズの影響を抑えるために、シールディングを行うと思います。 その際に、シールドに使用した金属をグランドに落とす(接地する)のとしないのとでは、その効果にどのような違いがあるのでしょうか? 私の認識では、接地すると金属に吸収されたノイズ(電波/電磁界)が接地線によって大地に逃げる・・・という感じになるのですが、それは正しい認識なのでしょうか? また、シールド線のシールドを、片側のみ接地した場合と両側のみ接地した場合、さらにいずれも接地しなかった場合の効果の違いについても教えてください。 よろしくお願いします。
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1点アースは、グランドの抵抗により各グランド間に電位差が生じるのを防ぐ目的で行います。 回路を組む場合、物理的に面積(距離)が必要になります。回路図上では、この距離は全く無視され、どのグランド点でも同じ電位(0V)となるように計算して設計を行います。 そして多くの場合、回路は複数の基本回路を組み合わせたものになります。 また信号線を伝って流れ出た電流は、グランドを通って元の位置に戻ってきます。 例えば3つの回路を組み合わせた場合、 回路A→回路B→回路C ↓ ↓ ↓ G1--G2--G3 回路Aから流れ出た電流は、G2を通りG1へ戻ってきます。同様に回路Bの電流はG3を通ってG2へ・・・等等、沢山考えられますね。 この時、グランド間に小さな抵抗値が有るので、各回路のグランドには電位差が生じます。G1・G2・G3では、それぞれ電圧が異なるわけです。(完全な電圧駆動であれば、電流が流れないので電位差は生じませんが・・・) 1点アースにすると、G1・G2・G3が一つになるわけですから、いくら電流を流しても電位差が発生しません。このため1点アースを利用するのです。 デジタル回路の場合、信号にノイズマージンを多くとっていますので、各回路のグランドに多少電位差が有ったとしても、ほとんど問題になりません。 各回路のグランドに発生する電圧降下は、デジタル回路のノイズマージンより少ないからです。 デジタル回路は、前述した通りにグランドの電圧降下が問題にならないので、パターン設計の効率化を優先させます。(1点アースなんか気にしない) アナログ回路はグランドの電圧降下が問題になる場合は、1点アース等を用いて精度を優先させます。1点アースできない場合は、ベタアース。 ★ここまでのまとめ--------------------- ・デジタル回路ではグランドに電位差があり、それが気にならない。 ・アナログ回路では、1点アースやベタアース等を行い、グランド間の電位差を小さくしている。 --------------------------------------- このとき、2つ以上でアナログとデジタルを接続すると、電流が回り込んだりする場合があります。グランドのループ。 2点以上でグランドを結合すると言う事は、アナログ回路は1点アースではなくベタアース等を行っている場合ですね。 アナログ回路 ↑ ↓ 1 2 ↑ ↓ デジタル回路 1では、デジタル回路グランドが1mV。 2では、デジタル回路グランドが0mV。 ・・・だったとしたら、アナログ回路のグランドは同電位なので、1からアナログ回路を通って2へ電流が流れてゆきます。 そしてそのグランド間の電位差は、信号により随時変化しています。つまりノイズです。 デジタル信号のノイズがアナログ回路を通る事になるので、性能が劣化します。 アナログ回路 ↓ 1 ↓ デジタル回路 結合グランドを1点にすると、グランドのループが無くなり(回路が切れる)、上記問題が解消されます。 アナログとデジタルのグランド電位は同じになりますが、グランドを回り込む経路(回路)は無くなってしまいますので、デジタル回路のグランドに発生するノイズの影響が極力少なくなります。
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シールド線を片側接地にした場合、グランドプレーン(基板のグランド等)に対して、シールド線自体が開放端の導電体となって、これはアンテナとなります。ノイズで問題となるのはコモンモード電流ですからこのアンテナは放射、受信のどちらの役割も果たします。 一点アースについては昔からのオーディオ屋さんのキメ文句のように言われてきましたが、EMIの視点から言えば逆に問題アリだと思います。これはアナログ回路への飛び込みが少なくなっても、機器全体のグランドのインピーダンスが上がってしまうからです。
お礼
ありがとうございます。一点アースについて、認識を新たにいたしました。でもちょっと理解に苦しんでいます。 補足に追記させていただきます。
補足
一点アースの利点は、 「デジアナ混在回路で、できればきれいなアナログGNDに汚いディジタルGNDを混ぜたくない、でも離しておくと電位差が生じて異常電流が流れたり、アイソレーションでカップリングしている所以外は変な電位になって論理反転が起こったりする。これを防ぐために一転でのみアース(GND)を接続する・・・」 と思っていました。しかし、「機器全体のグランドのインピーダンスが上がってしまう」とは?
- txrx
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なぜシールドするのか? 大きな一つの理由として、電気暗室を作るためです。 シールド両端を接地する事は、袋のように機器を覆ってしまう事になります。 このため、接地して隙間無く機器をシールドで包み込めば、好条件になると思われます。 しかし・・・、シールド両端を接地できない場合があります。 電子レンジやテレビ等の場合は、袋のようにシールドで機器を覆う事が出来ますが、別々の機器を通信ケーブルで接続する場合は、色々とあります。 機器間のFGに電位差が有る場合に、シールドを両機器のFGに接続すると異常電流がシールドに流れたりします。 こんな場合にはシールドを片方だけ接地し、もう片方はオープンにしたりします。 片側接地だけでは、#1さんが書いている様にアンテナ?になるなら、両側をオープンにします。 両側をオープンにすると、果たしてシールドの意味があるのか?分かりませんが、現場で作業する場合等は、その状況に応じて処置を施しますので、結果的に両側オープンも出来上がったりするかもしれませんね。私の場合アンテナのノイズが問題になったことは無いので、片側接地までですが・・・。 > 接地すると金属に吸収されたノイズ(電波/電磁界)が接地線によって大地に逃げる シールド線を接地しなければ、電気的に浮いた状態になります。そこへノイズが飛び込んでくると浮いたシールドはノイズと同じ電位になりそうですね。 シールドを接地していれば、シールドの電位が接地先へ固定されますので、ノイズが飛び込んできても簡単には電位が変化しない・・・と認識しています。 その他にも色々と有るんでは無いでしょうか?
お礼
ありがとうございました。
補足
N01様にお礼を書いて100字以内にするように注意書きが現れましたので、今度はこちらに書かせていただきます(^^)ゞポリポリ。ルールをよく理解していなくてごめんなさい。<(_ _)> 機器間のFGに電位差がある場合についてですが、似たような事情で回路内の一点アースがあると思います。よく、アナログとディジタルの混在回路では双方のグランドを別々にパターンを作成し、どこか一点のみで接続するようにと言われます。この理由も、電位差で異常電流が流れることを防止するためでしょうか?
ケースバイケースですが、シールドの金属は「しっかりした」グランドに落とすのが鉄則です。その場合もケーブル1本で落とすのでは効果がありません。面接触で落とし、さらに接触抵抗を下げるために多点ビス止め、あるいはバネで接触させます。これはあくまでもグランドのインピーダンスを下げるためです。ネジの締め付けトルクが関係することもあります。これを行わないとシールド材は逆に「ノイズを放射するアンテナ」になってしまいかねないからです。 シールド線のシールドも同じ事が言えます。できれば両側を接地します。片側接地ですとシールドの金属があたかもダイポールアンテナの役割を果たしてしまうことがあります。 ただしいずれにせよ、「これが正解」というものはありません。何種類かの対策を立て、実際に測定しながらもっとも良い対策を施していくしかないのがこの世界です。
お礼
ありがとうございます。 正解がない」ということで、逆説的ですが自信がつきました(笑)。 ところで、補足の項に書くべきでしょうが教えてください。片側接地でアンテナになるという現象の原理が理解できていません。これ、もちろん「受信」アンテナですよね?(^_^;)
お礼
すごく丁寧なご説明で感激しました。 他の方々もそうですが、みなさん本当に詳しいですね。 ありがとうございます。 長年のグランドループの疑問が解消されました。 スッキリさぷりです。(^_^;)