重要なことは政府が税(間接税)を課したり、補助金を与えたりすると、買い手が支払う価格と売り手が受け取る価格が乖離すること。いま、買い手が支払う価格をPb、売り手が受け取る価格をPsと書こう。すると、需要曲線と供給曲線はそれぞれ一次関数(直線)と仮定して
Pb = a - bQ
Ps = c + dQ
と書ける。ここで、Qは取引量(需要量、供給量)であり、a, b, c, dはすべて正で、かつa > cを満たす定数であるとする。いま、1単位あたりT(円)の従量税がかされると、
Pb = Ps + T
となる。まず、Pb、Psを縦軸に、Qを横軸にとって2つの式のグラフに描いてください。第1番目の式のグラフは縦軸の切片がa、傾きが-bの、右下がりの曲線(直線)であり、2番目の式のグラフは縦軸切片がcで、傾きがdの、右上がりの直線だ。2つの直線上に(2つの式の交点の左側に)、Pb - Ps =Tを満たす垂直線を引いてください。この垂直線と需要曲線と交わる点の縦座標をPb(T)と書き、供給曲線との交点をPs(T)と書き、垂直線と横軸の交点の横座標をQ(T)と書くなら、Q(T)は課税したときの取引量、課税した時の消費者余剰CS(Q(T))はaとPb(T)が作る3角形の面積、つまり
CS(Q(T))=(a-Pb(T))×Q(T)÷2
となる。一方課税したときの生産者余剰PS(Q(T))はbとPs(T)とが作る3角形の面積、つまり
PS(Q(T))=(Ps(T)-c)×Q(T)÷2
となる。政府余剰GS(Q(T))は税収に等しいので
GS(Q(T))=(Pb(T)-Ps(T))×Q(T)=T×Q(T)
となる。つまり、a、Pb(T)、Ps(T)、cの長方形の面積に等しい。総余剰TS(Q(T))はこれ3つの合計、台形aPb(T)Ps(T)cの面積であらわされる。このとき、死荷重DWL(Q(T))は課税がないときの総余剰つまりa、c、そして需給曲線交点がつくる三角形の面積と、上で示した台形の面積との差であらわされる。以上を図に描いて確かめられたい。
まず、ここまで理解できたでしょうか?