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衝撃荷重が鉄鋼材料の疲労強度を低下させるのは何故
- 衝撃荷重が鉄鋼材料の疲労強度を低下させるメカニズムについて、繰り返しの衝撃荷重により安全率が低下し、疲労寿命が大幅に短くなることが知られています。
- 衝撃荷重が鉄鋼材料に与える影響は、これまでの力学や工学の参考書では詳しく解説されていない部分です。
- そのため、衝撃荷重による鉄鋼材料の疲労強度低下のメカニズムはまだ解明されていない可能性もあります。
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>私は「繰り返し衝撃荷重を受ける」機械は設計する機会が少ないので興味津々。 回答(8)再出。コノ後、私も数十Hzの振動機械の設計をするハメになりました 経験が無い機械なので疲労限の1/1.5くらいの許容応力でも構わないだろうか? と客先と相談したら、何と両振りの荷重として安全率を十分とるように指示を されたので私の目論見の倍程度の剛性を出すことになり、また此処に来てみた どうもメーカーによる経験則によるところも大きいようですし、材料や機械の 振動の周期や応力振幅や定期的な振動なのかにもよるようである。。。 私も更に文献を探して見たい気になりました。振動工学は難しいから嫌いっと 言ってられないというか逃げられないようになってしまいました。
回答(5)(12)の回答者です。 回答(13)紹介の文献、拝見しました。荷重負荷周波数を高くすると(例えば40Hz→100KHz(図7))、明らかに時間強度(S-N曲線傾斜部での特定回数に対する破断強度)も疲労限も上昇しています。 一方小生文献(6)では周波数を高くしても(100Hz→20KHz)S-N曲線に変化がありません。 見かけ上、二つの文献の結論は全く異なっています。 文献一つで結論を出すことが、如何に危ないかを痛感しました(反省)。研究報告は、目的とする特定の条件下で実施しており、「その結論(特殊)をもって全体に及ぼすは誤り」と言うことか。 今回の二つの文献で最も異なるのは材料です。回答(13)文献はS20Cを始めとする低硬度高延性材、文献(6)は低温焼戻SNCM439(600Hv)、高強度低靱性材です。 疲労破壊過程を大雑把に分けると、亀裂発生・安定成長期と亀裂急進期があり、前者では硬度を高くするほど疲労特性は向上、後者では硬度を高くするほど疲労特性は低下します(加えて介在物の大きさが関与→破壊靱性の世界)。45HRC以上で疲労限が介在物寸法などで大きくバラツクのは、後者の寄与が大きくなるためです。 歪速度を高くすることは、見かけ上、材料特性が低高度高延性材から高強度低靱性材に近づくことになります。 しかしS20Cでは、多分100KHzにしても低高度高延性材のままで、「4,速度効果発生の機構について」を見ても転位の動きの話しかなく、亀裂進展には触れられていません。 一方SNCM439(600Hv)では高強度中靱性から高硬度低靱性に入り始め、周波数増加効果は強度上昇と靱性低下が相殺されているものと考えます。考察では破壊靱性に関与する介在物寸法の話が主体になっています。 疲労特性に及ぼす歪速度の影響は、材料により異なるという結論になります。 なおこれらの文献の結果は、全て衝撃波が関与していないので、質問趣旨とは別の現象と考えます。
回答(12) >文献(6)図3にあるように、応力負荷周波数を100Hzから20KHzに変化させてもS-N曲線には変化 はありません。 私が(10)にて調べた論文。 超高速疲労について https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime1966/5/8/5_8_536/_pdf 一般に,金属材料の疲労強度に対する速度効果は,通常の疲労試験の繰返し速度範囲400~ 10,000c/minではほとんど現われないが,この範囲より速度が低くなると疲労強度が低下し, 逆にこの範囲より速度が高くなると,速度の上昇とともに疲労強度が増すことが知られて、、、 図.3 図.4 ε-N曲線 図.5炭素鋼の疲れ限度に対する速度効果 図.6 図.7 図.8 超高速では~2倍程度もの疲労限アップとハッキリ差が出てます。材料の違い? 4.速度効果発生の機構について 理由も納得性あるが掲載略。単発衝撃試験が絡む点に興味。 サイクル落とすと低くなり→(10)の引用 塑性変形における応力とひずみ 超高速では高くなる。。。双方の説明ができていると思います。 注意すべきは、ピーク応力値はあくまで同じでの比較。一般に衝撃は衝突とほぼ同義なように巨大なピーク応力になりがち。しかしそれは繰返し性が乏しく 疲れ の範疇から除外する点。なので範疇なものはさほど衝撃的でないのかも。。。 超高速は特殊な試験装置を要するが、大抵は(2)追記の試験機で確認できるものです。
回答(5)回答者です。 最近には珍しく質問者の追加質問のレベルが高く、回答者とのやり取りを興味深く拝見しています。 僭越ながら、他回答の補足に引っ掛けて情報提供します。 「衝撃荷重のピーク値が振幅一定と同じ値なら、衝撃の方が寿命が長くなる」(回答(2)(10))と 「高サイクル領域ではひずみ速度が速いほど寿命が短くなる」(質問者) 衝撃荷重疲労と通常疲労の結果を比較すると、小生紹介文献(2)図5にあるように、低サイクル疲労領域では、同一負荷応力に対する破断回数は明らかに低下し、約1/10になっています。 一方高サイクル領域とは通常は疲労限の世界であり、破断回数ではなく疲労限強度が主題になり、衝撃疲労の疲労限は通常疲労の70%程度です。質問者の「高サイクル疲労での寿命」の意味が不明瞭のように思います。 通常の疲労試験では、例えば台形波形にして、同じ最大荷重であっても負荷保持時間を短くすると、疲労破断回数(寿命)は多くなることは確かです。衝撃荷重を短時間負荷波形だと考えれば、回答(2)は正しいと思います。ただ回答(10)にある「疲労限が上がる」かどかはまではよく判りません。 なお、疲労波形の無負荷時間を長くすると破断回数は増加します。これは金属の回復現象によるものです。 なお、回答(10)で「歪速度は塑性域」のように捉えられていますが、「応力-歪曲線」と言うように、ここで言う歪速度とは応力負荷速度と言う意味ですから、弾性域塑性域とは関係ありません。 「急な応力伝播では、・・微小損傷を起こし易い」(回答(6)) 回答者の真意に合致しているかどうか判りませんが、疲労特性に及ぼす荷重負荷波形周波数の影響を紹介します。 文献(6)図3にあるように、応力負荷周波数を100Hzから20KHzに変化させてもS-N曲線には変化はありません。疲労特性に及ぼす因子としては最大荷重と負荷継続時間が支配的であり、負荷応力の変化速度の影響はないと思います。 衝撃荷重疲労は単なる高速応力負荷疲労ではなく、衝撃荷重により発生する応力波が悪影響をすることが重要であり、負荷速度の影響だけを議論することは、本来の質問趣旨とはずれてしまうと思います。 「衝撃荷重とはランダムな繰返荷重で、平均振幅より大きなものが混ざってくるから」(回答(2)) 「ランダムな繰返荷重」とは小生文献(1)図1や図4(b)のような振動(減衰振動?)荷重(これが1サイクルになっている)を考えているのでしょうか。ただこれは1974年の古い文献です。その後は文献(4)(1981年)図8や写真2にあるように、振動のない単純波形で試験をしているようですので、ピーク荷重はしっかりと把握されているものと思います(回答(4)のような疑問はあるものの)。
>基準強さは引張強さだけを用い、衝撃荷重には安全率12などとする古臭い論は捨てるべきです。 ・・・火にガソリンを掛ける気もしますが。。。 一般に、基準強さは「降伏点」あるいは「疲労強度」を用いる。 引張強さを使うのは圧力容器にて安全率4とするくらいしか記憶に無い。 これは昔の規格であったから、其れが現在にも残っていることだと思う。 機械設計でも建築でも近年の設計では何れも「降伏点」で考えるのが主流だと。 またまた二人だけの質問者そっちのけの回答になっているので何も言えねぇええ
>高サイクル領域ではひずみ速度が速いほど寿命が短くなるという結果が得られているようです その資料を示されるべきです。 ひずみ速度とは引張試験で塑性変形にまで及ぶ。疲労寿命とは殆ど弾性域での繰返しが前提で質が異なる話では。 塑性変形における応力とひずみ http://home.hiroshima-u.ac.jp/rhino/K0051050/chapter-08-all.pdf 最後のグラフ 応力ーひずみ曲線の速度依存性・・・・<<< たしかに 疲労試験では逆です(勿論、寿命とは時間でなく回数) 超高速試験では疲労限が上がります。資料を調べてごらんなさい。 掲げられた主題とは随分かけ離れてきてますよ。何故? 安全率12、ましてや辛さ自慢・食えたもんじゃない18倍カレーのグチャグチャは混乱する元なのでもう議論の対象にはしたくない。 ↑ぶり返し嫌だけど消火・・・・ 【書籍チラ見】設備・機械メンテナンス実務講座[材料と機械故障コース] Unwin教授は基準強さに材料の極限強さ(引張強さ、圧縮強さ、せん断強さ)を用いる場合の 安全率、、を提唱していて、昔からよく使われた。。鋼→変動荷重および衝撃→安全率12 http://kousyoudesignco.dip.jp/ZAIRIKI-ANZEN.html 材料の基準強さには従来は材料が破壊するときの応力(引張強さという)を用いていたが、、、 http://d-engineer.com/zairiki/anzenritu.html 軟鋼の引張強度は 450 N/mm2 です。 安全率を 3 としたとき、許容応力 = 基準強さ(引張強度)/安全率なので、 それじゃあんまりと見直されたのが(2)の追記。基準強さを適切にすれば当然に安全係数は2内外に下がる。
その ? > 応力伝播とは、有限要素法のシミュレーション事例でよく見かけるものとは違うのですね? > もっとミクロに、結晶構造の不均一が引き起こす応力波の伝播と干渉の効果が、疲労の > 亀裂発生と進展を加速していると考えればよいですか? YESです。ひずみ速度が加速してと考えてください。 弾性変形範囲ですが、速度で微小部分が塑性変形や断裂したと考えれください。 人間で言うと、運動すると筋肉組織が微小断裂し、数日すると修復しますが、 修復前に衝撃的な力を加えますと、肉離れします。 この“筋肉組織が微小断裂し、数日すると修復する”が、比較的ゆっくり荷重で、 弾性変形の範疇で、急激な弾性変形で微小部分が塑性変形や断裂(破断)すると考えて ください。 当然、片振りや両振りの繰り返し(衝撃的でない)荷重でも、人の筋肉のように治癒能力は ないので、ゆっくりの弾性変形でも回数を重ねると、微小部分が塑性変形や断裂(破断) が発生します。 繰り返し衝撃荷重の方が、その進度が速いので、応力の大きさを小さくし、長持ちさせる 手法を取る内容です。 > それとも、ひずみ速度の影響で何かが脆化して。割れが発生したりするのでしょうか? メカニズムは、疲労寿命1/10と同じで、進度が速いと考えてください。 塑性変形が、そのテンポに付いていけない。(全てではなく、結晶の弱い部分がです) ですから、エンジンのバルブは、昔は鍛造手法で製作されたりして、応力伝播と、 金属の筋目を合わせる工夫もしておりました。 それと、衝撃的応力波は、応力波干渉もし易く、より大きな荷重を受けたに相当します。 質問者さんは、あまり興味がないと推察しますが、 上述のURLに、古典的な考察ですが、 許容応力=基準の強さ/安全率 にて、 鋼 ⇒ 静的荷重;3、片振り繰返し荷重;5、両振り繰返し荷重;8、激しい繰返し荷重;12 (引張/圧縮の何れか) (引張/圧縮の両方) (衝撃的な) ですが、 激しい繰返し荷重;12だけだと、12倍となりますが、 ★ 静的荷重;3 の2.6倍強が、両振り繰返し荷重;8 ☆ 両振り繰返し荷重;8の1.5倍が、激しい繰返し荷重;12 (18でも、2.25倍です) から、昔の経験値は、なるほどと思います。 昔は、製鋼技術も良くなく、加工技術の特に精度や表面状態も良くなく、衝撃的荷重の 定義もピーク値が超えても平均値が基準荷重内ならOKとか、その考えすらないとか、 他からの少々の荷重でも壊れない(像が乗っても壊れない、ドイツ的発想とか)、 ***円/kgや######円/tonの時代背景とかで、そのようになったので、厳密には現在に そぐわないかもしれませんが、 ☆ 両振り繰返し荷重;8の1.5倍が、激しい繰返し荷重;12 (18でも、2.25倍です) で、増えるのは、考察対象でしょう。 http://jikosoft.com/cae/engineering/strmatf07.html や http://ebw.eng-book.com/pdfs/ecb7c8688913e12a4494939494498e79.pdf 観ても、あまり一般的ではないが、“振動と結晶のズレ欠陥の増大やそこからの拡大” は、加速することが想像されますね。 最上段の追記記載で、回答の方向性が変わって良かったわい。
興味を持って拝見しています。メタルフローと呼ばれるような金属結晶粒の世界 というか鍛造材は何故に強いのか?ということが関係してくるのでしょうか。 >疲労寿命は1/10まで低下する事がある・・・そんなに落ちるのだろうか? 長年に渡り故障が無く壊れない機械が良い機械とされる以上は安全率12であって も構わないと思う。ギリギリに設計することは難しく大変であるし、そもそも 強度計算などを自在にこなせて初めて成せる技であろうがそれに溺れてはいかん 私は「繰り返し衝撃荷重を受ける」機械は設計する機会が少ないので興味津々。
http://www.jsme.or.jp/mmd/news/news28.pdf 東工大・小林英男教授 退任講義 私の学生時代の材料力学の教科書には,アンウィン教授が提唱した安全率というのが書 かれていた.その後,鵜戸口英善先生から安全率はわからないから大きく取るのであって, 不安全率だという話を聞いた. そして今,多くの材料力学の教科書に,アンウィン教授の安全率がそのまま数値で書かれて いるのである. 要するに,材料力学の講義をしている人の何人かは,現状の規格の安全係数と最近の進歩 (確率論的安全係数,部分安全係数)を知らず,50年以上前の安全率の講義をしている のである. 今なお教科書、学校講義、サイト各所にある<50年以上前の安全率>は ・静荷重:3とかは現代理論でも大きくは違わないから実用できる ・繰返荷重は既に怪しい。疲労限度に掛ける安全率~2程が適切なのは容易に理解できる ・衝撃荷重は根拠なく12とかはデタラメ なのでそこに依拠した質問に正解は無いのです。 (8) >長年に渡り故障が無く壊れない機械が良い機械とされる以上は安全率12であっても構わない ・これまでそれで済んだ事案が少なくなかった。 ・<確率論的安全係数> を短く説明するのは到底無理で教科書が山積に必要。 しかしそれでは現実にそぐわないから、建築分野では設計基準が設けられ、たいへん煩雑ながら手順に従えば答が出る。 類似の過去質問 http://mori.nc-net.or.jp/EokpControl?&tid=265346&event=QE0004 No.39241 静加重と衝撃荷重でのたわみ量の違い 回答(6) 明石海峡大橋のケーブル安全率には,これまで用いられてきた値2.5より小さい2.2が使用された 従来の設計基準を最新学理で見直し、2.2にしてはじめて巨大橋が完成。バカ掛け安全率では到底不可能だし、重量トラック通行等の“衝撃的”荷重は当然考慮。 安全率を掛ける相手・基準強さは本件(2)追記通り。
埋もれていきそうなので、 その? 衝撃荷重とは、微小のピーク荷重が、設定荷重を超えるのではなく、 荷重が掛かる速度が非常に速くなので、 結晶構造の応力に対しての不均一が、素早い引張や圧縮のに対して、微小損傷を起こし、 又は、隣り合う結晶構造間でも、同様の応力伝播が発生し、応力伝播も不均一になると 云われております。 緩やかな応力伝播と急な応力伝播では、単位時間当たりの変化(力積的考察)で考えますと、 後者が大きくなり、前述の微小損傷を起こし易い原因となります。 追記 2015-01-19 21:33:22 記載分
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補足
応力伝播とは、有限要素法のシミュレーション事例でよく見かけるものとは違うのですね? もっとミクロに、結晶構造の不均一が引き起こす応力波の伝播と干渉の効果が、疲労の亀裂発生と進展を加速していると考えればよいですか? それとも、ひずみ速度の影響で何かが脆化して。割れが発生したりするのでしょうか?