- ベストアンサー
詠め過しけむ蝉丸
詠め過しけむ蝉丸 この古文の文章について、 過し、ってすぎし、ですか? それとも過ぎ、に過去の助動詞のきの連体形ですか?
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
こんにちは 「過し」は、「すぐし」と読み、四段動詞「すぐす」の連用形です。活用は、 「すぐさ・すぐし・すぐす・すぐす・すぐせ・すぐせ」となります。 では、「過し」を「すぎし」と読んで、「すぎ(動詞・上二段連用形)+し(過去・助動詞・連体形)」ではないのかは、次の理由によります。 「過し」の下の「けむ」は、過去推量の助動詞で、接続が連用形です。ですから、「けむ」の上の「し」は、連用形でなければいけないことになりますが、過去の助動詞の「し」は連体形なので合致しません。 さらに、過去推量の助動詞の「けむ」の上には、時に関係したり(過去の助動詞「き・し」など)、推量を表す助動詞に付かないという性質があります。これは、「けむ」の成り立ちが、過去の助動詞「き」の古代にあった未然形「け」に、推量の助動詞「む」が付いて「けむ」になったことによります。(「けむ」の成立には他の説もありますが、上記の考え方が有力です) 付け足し 「けむ」には、過去の推量、過去の原因推量、過去の伝聞の意味がありますが、「けむ+名詞」の場合、「過去の伝聞(~たという・~たそうだ)」の意味で用いられることがほとんどです。「けむ+名詞」なので、「けむ」は名詞(体言)に連なりますので、連体形になります。 「過」を語幹とする動詞には、「す・ぐ」「すぐ・す」「すぐ・る」「すご・す」「よぎ・る(よき・る)」などがあります。 蛇足 「参る」のヒラガナ表記は「まゐる」で、読み(現代仮名遣い)は、「まいる」です。 促音便の書き方は、現代では「言って」のように「つ」を小文字で書きますが、古文では「行つて」のように大文字で書かれます。