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ランダウ力学の15ページ
はじめまして,ランダウ力学の15ページがわからないので,教えてくれたらと思います. 自由度sの孤立系の場合は,独立な運動の積分の数は2s-1とあります.このあとの議論がよくわかりません.位置qと速度vが2s個で,任意定数の数も2s個.なぜ,そこから-1されているのでしょうか? よろしくお願いします.
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ここでは時間微分の・を使えないので、qの時間微分(qドット)はpで表します。また下付き添字は[i]のように表します。 まず運動の一般解(1)で、qi=の式とpi=の式が、それぞれs本あるってのはいいですよね?。sは独立な運動の数で、運動方程式は2階の微分方程式なので、独立な2階微分方程式がs本あり、それぞれから任意定数が2つずつ出てくるので、任意定数は2s個あります。(1)は一般的な状況で、C[j]は2s個あります。 qi=qi(t,C[1],C[2],・・・,C[2s]) pi=pi(t,C[1],C[2],・・・,C[2s]) (1) (1)のどれかの式から、例えばqjから頑張って、 t=fj(qj,C[1],C[2],・・・,C[2s]) (2) をつくり、(2)を(1)の全部の式に代入してtを消去すれば、 qi=gi(qj,C[1],C[2],・・・,C[2s]) pi=hi(qj,C[1],C[2],・・・,C[2s]) (3) の形になるのはわかると思います。(3)は全部で2s-1本あります(jは除くので)。さらに(2)をtで微分すれば、 1=Fj(qj,pj,C[1],C[2],・・・,C[2s]) (4) の形になるので、(3)と(4)を合わせて2s本の式から、原理的には、 C[i]=Ei(q1,q2,・・・,qs,p1,p2,・・・,ps) (5) みたいな形に出来るはずです(2s本ある)。これが運動の積分だと言ってます。代表はエネルギー保存則です。 次に重要なのが、自由度sの「孤立系」です。明記されてる本は見た事ないですが、純粋な古典力学とは、「保存力のみ」扱います。保存力は位置のみで決まる力ですから(惑星運動がモデル)、現象論的な力を考えない限り、ラグラジアンは「時間を陽に含みません」。従って運動方程式も「時間を陽に含みません」。 時間に依存して脈動するような力(非保存力)は、系の外部の条件がわからないから見かけ上は非保存力に見えるだけで、系の外部まで含めて考えたら、必ず保存力になっている、という立場です。例えば構造物に対する地震力は、明らかに時間に依存する力ですが、地球全体で考えたら、やっぱり保存力だった、という話です(←ちょっと自信ないけど(^^;))。よって孤立系は外部を考えなくて良いので、その内部で働く力は「保存力のみさ」となります。 で問題は、そういう場合「2s個の任意定数のうち1個は常に、時間に関する任意定数とできる」の部分でしょう。確かにわかりにくいので、例をあげます。単振動、 d^2q/dt^2+q=0 (6) は、運動方程式が時間を陽に含まない孤立系の典型です。上記の一般解は、 q= C[1]・cos t+C[2]・sin t p=-C[1]・sin t+C[2]・cos t (7) ですが、例えばqは次のように変形できます。三角関数の合成公式を使って、 q=A・sin(t+t0) (8) ※ A=(C[1]^2+C[2]^2)^(1/2) t0=Atan(C[1]/ C[2]) Atanはアークタンジェントです。(8)でAとt0は、※の後の関係でC[1],C[2]と関連付けられるので、任意定数C[1]とC[2]を与える事と、Aとt0を任意定数とみなす事は全く同等です。普通はここで終わるんですよ。 ランダウ先生が格調高くも鬱陶しいのは、(8)のような事が可能な条件は何か?という事を、数式も使用せず定性的に、たったの1行で語っているところです(初見では目が点です(^^;))。 t0は、系を記述する時間原点の選択に対応すると考えられます(←いいですよね?)。t0は任意でした。そうすると系の運動は、時間原点をどう変えて記述してやっても本質的に同等でなければなりません。例えば、時間に依存する地震力が作用する構造物の運動では、それは不可です。 そのような事が可能な明らかな十分条件の一つが、(6)のように運動方程式が時間を陽に含まない事です。運動方程式が時間を陽に含まなければ、明らかに時間原点がどこであっても運動方程式は不変なのだから、系の運動が本質的に同等なのは明らかです。 そのような運動方程式を持つ最も単純な系は、「純粋な古典力学が考えるところの孤立系だ!」という話です。数学的には、自由度sの力学系の一般解は、それが2階微分方程式×s個である以上、微分方程式を満たしかつ、どのような形であれ2s個の任意定数を含めば、その関数は一般解です。 なのでt0を任意に出来るなら、 ・任意定数のうちの1つを時間の付加定数t0にえらぶことはいつでも可能である. という話になります。 そういう訳で孤立系の場合、(1)のtはt+t0にして良く、C[2s]はC[2s-1]で良い事になります。従って(4)は不要になり、(5)として(2s-1)個の「運動の積分」が得られる事になります。 ノートをひっくり返してみた結果、自分はこの部分を、けっこういい加減に納得して通過していたのがわかりました。でも、その後の議論には、ほとんど影響なしでした(^^;)。 このようにランダウ先生へ対処するには、「~は明らかである!」と言われた瞬間に、ノート4ページくらい使って「行間読み」する必要が生じる事が良くあります。しかし論旨は常に徹底して明確で無駄がなく、こちらの論証能力と「どんだけ真面目に考えたか?」が試されます。素晴らしい本ですよ。
お礼
期待以上の回答ありがとうございます.「2s-1個が独立」というのがまだつかめていませんが自分の言葉にしてみようと思います.