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民法 不当利得について

こんにちは。民法の不当利得についての問題が分からず困っています。 ぜひご教授願います。以下の問題は、何かの試験の過去問のようです。 (1)甲の乙に対する債権を担保するため丙所有の不動産に設定された抵当権が無効であるにもかかわらず、当該抵当権が実行され、丙が不動産の所有権を喪失し、甲がその売却代金から弁済金の交付を受けて甲の乙に対する債務が消滅した場合は、法律上の原因なくして丙の不動産により利得を受けたのは甲ではなく乙であるから、丙は甲に対しては、不当利得返還請求権をすることができない。 (2)乙から約束手形の取立ての依頼を受けた甲が、約束手形が決済されたと誤信して、乙に対して取立金相当額の払戻しを行った後、約束手形が不渡りとなった事実を知り、乙が払戻金を費消する前にその事実を乙に説明した場合には、その後乙が払戻金の一部を費消したとしても、甲は乙に対して、払戻金全額につき、不当利得返還請求をすることができる。 (1)が正しく、(2)が誤っているという答えを友人から聞いたような気がするのですが、その友人も定かではないようで、解答(解説)をお願いできればと思います。1つが正しく、もう1つは誤りというのは確定しています。 私の考えとしては、 (2)は乙は払戻金を受け取った段階では善意だったとしても、乙が費消する前に甲から説明を受け、悪意となっていることから、 善意者の返還義務の範囲が現存利益に縮減されるのは、 「利得に法律上の原因があると信じて利益を失った者に不当利得がなかった場合以上の不利益を与えるべきでないとする趣旨に出たものであるから、利得者が利得に法律上の原因がないことを認識した後の利益の消滅は、返還義務の範囲を減少させる理由とはならない」 という判例の見解から、(2)が正しいのではないか、 そして(2)が正しいのであれば(1)は誤りだということになるので、(1)が誤り、(2)が正しいと思ったのですが、 先述の通り聞いた答えと食い違っているため、不安です。 不勉強で見当違いなことを書いているかもしれませんが、どうかわかる方は教えていただけると助かります。 長文失礼しました。

みんなの回答

  • fujic-1990
  • ベストアンサー率55% (4505/8062)
回答No.1

 自信がなかったので、回答を自粛しておりましたが回答が付かないので、ほんの参考までということで私から。自信がないので長くなります。  結論を先に書くと、私もお友達同様、「(1)の記載が正しく、(2)は誤り」だと思います。 (1)甲は、競売代金から弁済を受けて、その結果『甲の乙に対する債務が消滅した場合』とハッキリ問題文に「限定」されているからには、甲に利得があったとは言えないでしょう。差し引きゼロですから。  不当利得かどうかを論じるには、利得がなければなりません。したがって、甲に「利得そのものがない」本選択肢では、甲に不当利得の返還を求めることはできないものと思います。  よって、選択肢は正しい。 (2)手形が絡んでいるので話が複雑になります。質問者さんは手形法は勉強済みでしょうか。 ★ 勉強済みなら不要な話ですが、手形には「裏書き」という制度があります。取り立てなら「取立委任裏書き」というのがあります。  例えば、AがBから商品を買う手付けとして100万円の手形を振り出し、Bは裏書きしてC銀行に割引きを求めた場合、Cは手形が落ちる日までの利息(例えば1万円)を引いて99万円を渡します。これを「手形割引」といい、手形割引をしてもらったBは善意で、すぐ99万円つかってしまうのがふつうです。  ところが手形は不渡りになる、という場合があります。  C銀行はBに不当利得返還請求をすると思いますか? 裁判所は「あ、善意の時に、全額使っちゃった?じゃあ返済しなくていいや」という判決を下すと思いますか?  Cは100万円を請求し、裁判所は「BはCに100万円払え」という判決を普通の訴訟よりもずっと簡単に(手形訴訟という訴訟で)出します。善意だとか悪意だとかは関係ないのです(人的抗弁として主張できる場合もあるが)。  手形においては、先に手形金を払った、その後不渡りになる、という場合、不当利得の問題ではなく、遡求(×遡及)の問題として手形法で処理されるのです。  ここまでの「理屈」は間違いないんです。  (ここから先がちょっと自信ないんですが)ですから取立委任の場合も、甲は乙から預かった手形を返して「手形金を払ってくれ」と言えばいいだけなんじゃないか。そうすれば全額戻ってくるはずだと思うのです。  つまり、本問は「手形遡求」の問題であって、不当利得とは関係ない(民法は一般法、手形法は特別法なので手形法が優先)ので、『不当利得返還請求をすることができる』という結論は誤りと思います。 ★ 甲が「手形は置いといて、全額もらえなくてもいいから不当利得で請求したい」と言い張っても、「これは不当利得の問題ではないので、それは無理」というのが私の見解です。  「不当利得」とは、損失と利得の間に「法律上の原因がない」場合でも、事実上の因果関係があれば、その利得を吐き出させて損失をカバーさせようという制度です。  例えば、A家のペットの犬が行方不明になった半年後、無関係のB家で餌を与えられて生きているのが見つかったというような場合に、Aが半年間に負担すべきだった餌代が、B家が負担した餌代との関係で「不当利得」になります。  しかし、A家がB家に「半年間ルスにするから餌を与えておいてね」と頼んでおいたのなら、A家が負担すべきだった餌代は、不当利得ではありませんよ。B家が当然に全額請求できる「契約上の費用」です。Aが「使ってしまって餌代はない」とか言ったらB家はたぶん「留置権」を主張して犬の返還を拒否できます。  質問の選択肢の場合も、支払いをした甲と乙の間には契約(法律上原因)があるじゃないですか。  甲は乙に、「手形代金を乙に渡す」という契約上の義務の履行としてお金を渡したのですし、乙は契約上の権利行使としてそれを受け取ったのですから。その履行手順にちょっとしたミスがあっただけです。  よって、乙が得たお金はそもそも不当利得ではないので、不当利得理論に基づく請求は無理。 ★ 以上より、第1次的には手形遡求の問題であり、第2次的には契約上の問題なので、いずれにしても不当利得を考える余地はなく、『不当利得返還請求をすることができる』と結論づける(2)は誤りと考えます。

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