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新聞紙が水に濡れると破れやすくなる理由
新聞紙だけでなく普通の紙は水に濡れると破れやすくなりますが、これは結合剤が水に溶けるからなのか、それとも他に理由があるのでしょうか。紙の中でも新聞紙は特に水に弱いように思うのですが、これは紙の製法と関係があるのでしょうか。新聞紙は縦と横で破れやすさが違いますが水にぬれるとあまりその差がわかりません。これは記事の切り抜きに水を使っている自分の経験からわかったことでした。
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>これは結合剤が水に溶けるからなのか、それとも他に理由があるのでしょうか。 ティッシュのような紙以外の紙は、通常結合剤を使いません。 紙はセルロース繊維が水素結合でくっついて出来ています。 繊維の長さ方向に沿って破ると水素結合を切るだけなので 簡単に破ることができますが 繊維の長さ方向に直交する方向に破ろうとすると セルロース繊維そのものを切る必要があるので 大きな力が必要となります。 ビニール紐を切る時をイメージしてもらえばOKです。 http://www.ipc.shimane-u.ac.jp/food/kobayasi/paperstructure.html http://www.tesukiwashi.jp/p/arekore29.htm
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- tetsumyi
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何か違うと思う。 紙は製造する段階で水に植物繊維を溶かし込んで、薄くすくって乾かすことで繊維同士が絡むことで強度が出ています。 この絡む状態を作り上げるために、職人さんの技術が求められることになる。 水にぬれると絡んだ繊維がほぐれるので簡単に破れることになる。 水で水素結合が壊れるのであれば、製造段階で繊維が切れて既に強度が著しく損なわれるのでは?
お礼
その疑問は紙が再び乾くと水素結合も再び生じるということで解決できないでしょうか。実際濡れた新聞紙も乾くと元の丈夫さに戻ります。この理解は変ですか。
- kagakusuki
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まず、下記の参考URLのページを御覧下さい。 【参考URL】 島根大学 > 生物資源科学部 > 教員一覧 > 生物資源科学部教員一覧 > 農林生産学科 > 小林和広 准教授 > 小林和広のホームページ > 資源作物学比較作物論 > 第10回 紙と畳を作る作物 http://www.ipc.shimane-u.ac.jp/food/kobayasi/hikaku10_2011.html 紙はセルロースという繊維が互いにからみあって出来ています。 上記の参考URLのページを御覧頂ければ解ります様に、紙を構成しているセルロースの分子には、-OH という部分が沢山あります。 これは水酸基と呼ばれるもので、その水酸基の部分には水素原子と酸素原子が1個ずつ含まれています。 酸素原子は電子を引き寄せる力が強いためマイナスの電荷を帯びやすいのに対し、水素原子は他の原子に電子を奪われやすいのでプラスの電荷を帯びやすい性質があります。 そのため、1つの水酸基の中においても酸素原子の所はマイナス、水素原子の所はプラスに帯電しています。 マイナスに帯電している酸素原子は、他の水酸基の水素原子などのプラスに帯電している所に引き寄せられます。 同様にプラスに帯電している水素原子は、他の水酸基の酸素原子などのマイナスに帯電している所に引き寄せられます。 そのため、水酸基の様なプラス帯電している部分とマイナスに帯電している所を持っている分子同士は、電気的な力で互いに引き付け合って結びつきます。 この様なプラスに帯電した水素原子と、マイナスに帯電した原子を介して分子同士が結びつく事を水素結合と言います。 【参考URL】 水素結合 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E7%B4%A0%E7%B5%90%E5%90%88 この水素結合によって、セルロースの分子同士が水酸基を介して結び付く事によって、セルロースの繊維同士が、バラバラになる事も無く互いにくっつき合っているため、紙は強度を保っている訳です。 水素結合の結合力は弱いため、頻繁に結び付きが外れては直ぐにまた繋がり合うという事が繰り返されているのですが、紙が乾燥している状態では、一旦外れた水素結合が再び繋がる際に、繋がる事が出来る相手はセルロースの水酸基しかありません。 非常に長い構造をしているセルロースの分子は1本の分子の中に無数の水酸基を持っているため、一部の水素結合が外れても別の所に外れていない水素結合が残っており、その別の所の水素結合が外れる頃には、水素結合が先に外れていた箇所が再び結合してしまい、全ての水素結合が同時に外れてしまう事が無いため、紙は強度を保つ事が出来ます。 ところで水の分子も水素と酸素から出来ていますので、水分子同士や水酸基との間で水素結合による結び付きを作る事が出来ます。 そのため紙に水が含まれている状態ではセルロース同士を結び付けていた水素結合の一部が、水分子とセルロース分子との間の水素結合と置き換わります。 水分子の数が多ければ、水分子とセルロース分子との間の水素結合ばかりとなり、セルロース同士を結び付ける水素結合が無くなります。 丁度、回答No.1様も貼っておられる参考URLのページに書かれている事とは逆の事が起きる訳です。 【参考URL】 島根大学 > 生物資源科学部 > 教員一覧 > 生物資源科学部教員一覧 > 農林生産学科 > 小林和広 准教授 > 小林和広のホームページ > 資源作物学比較作物論 > 第10回 紙と畳を作る作物 > 紙の構造:セルロース分子間に水素結合ができるまで http://www.ipc.shimane-u.ac.jp/food/kobayasi/paperstructure.html そのため水に濡れた紙は、セルロース同士の結び付きが外れて繊維がバラバラになってしまうため、破れやすくなるのです。
お礼
繊維の方向を決めているのは水素結合とは別の何かですね。結晶化に似たメカニズムが働いているのかと創造いたしました。
- kia1and2
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No.1さんの回答の通りですが、再生すればするほど粘り気は減少していきます。新聞紙はもう再生の再生されつくしたクズ紙なので、簡単に破れます。パイプから作り上げた最初の紙、バージン・ペーパは粘り気も強く、水にぬらしてもそう簡単には破れません。 これは、すべての再生材に当てはまることで、プラスティックなどは、紙以上に粘度は失われて、すぐに折れます。
お礼
線維の長さが粘り気を決めているということですね。プラスチックにまでは想像が及びませんでした。
- raiden787
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紙というのはパルプと呼ばれる植物性(非植物性でも作れない訳ではないですが)の繊維が絡み合って形成されています。 このパルプは非常に水と親和性が高く、水によく馴染みます。すなわち水分子がよくくっつくのです。 水分子がくっつくとどうなるかというと、水の張力で引っ張られることになります。 水は人間の感覚ではさらっとしていて粘りはあまり感じませんが、粘りが全くない訳ではなく、ミクロレベルでは十分な粘りがあります。(一般的に流体はミクロになると相対的に粘度の影響が大きくなり、小さい虫に取っては空気や水はべとべとの粘液のように感じることでしょう) 「粘る」とはすなわち張力(引っ張る力)があるということです。 水に浸ったパルプは水によって周囲から引っ張られます。すると、ねじ曲がった形はエネルギー的に不安定なので安定した形に変化します。 すなわち、ピンと伸びるのです。だらっと垂れ下がった紐を引っ張ればピンと伸びるように。 紙は多数のねじ曲がったパルプが絡み合って形成されています。 そのねじ曲がったパルプの1つ1つが水の影響で伸びたらどうなるでしょうか? すなわちパルプ同士の引っかかりがなくなり、パルプ同士が分離しやすくなるのです。 よって、濡れた紙は破れやすくなるのです。 ちなみに紙の基本的な製法はパルプを水に浸して十分拡散させてから、水から引き揚げて乾燥させるという方法ですが、この時は上述の逆の現象が起こります。 水中で真っ直ぐに伸びたバラバラのパルプ同士は水の親和性の働きによりくっつきあいます。パルプとパルプはくっつきませんが、パルプとくっつく水分子がその間に入り込むことでパルプ同士が密着するわけです。その状態で水が失われるとパルプはパルプ自身の分子構造の影響でねじ曲がります。すると、パルプ同士が絡み合って紙を形成するわけです。 私が子供のころは小学生の自由研究のポピュラーなテーマの1つとして紙を砕いて水に溶かして再生紙を作るというのが流行ってましたね。
お礼
パルプの動きが目に見えるようなご説明でした。新聞紙の製法で繊維の方向が一定になるのは作り始めのところが問題にあるのかと想像いたしました。
お礼
濡らすとその差がなくなるように思うのですが…