- 締切済み
「雇用者報酬」は誤訳!
最近harada08さんが http://okwave.jp/qa/q9037821.html で、「国民所得の分配の統計をみると「雇用者報酬」というのがありますが、 これは 具体的には個人事業の雇い主という意味ですか」という質問をしていますが、これはもっともな質問です。この質問への回答者さんが正しく回答していますが、一点だけ付け加えさせていただくと以下のようになります。雇用者報酬は英語(原語)では、employees' compensationと言いいますが、これを正しく日本語にすれば、「被雇用者報酬」となり、「会社の従業員の所得」のことです。英語の辞書を引いて、employerとemployeeを調べてご覧なさい。前者のemployerは、「雇用者、雇い主、使用者」とあり、後者employeeは「被雇用者、従業員」とあります。日本が、戦後、国民所得統計を導入するとき、employees' compensationのemployeeを「被雇用者」ではなく、「雇用者」と誤訳してしまって、employees' compensationを「雇用者報酬(所得)」と呼ぶことが定着してしまって、いまさら訂正できなくなってしまったのです。したがって、経済学の翻訳書を見ても、国民所得統計関連以外では、employerは本来の訳語通り「雇用者」と訳している本が多いので、「雇用者」とあっても、雇用される人ではなく、雇用する側、つまり雇い主なので、混同しないでいただきたい。employerとemployeeを混同するなんて、ひどい誤訳ですが、この欄は回答する場ではなく、質問する場なので、最後に質問。このように誤訳が定着してしまった経済用語はほかにあるでしょうか、あったら挙げてみてください。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
みんなの回答
- f272
- ベストアンサー率46% (8477/18147)
経済用語で私が誤訳だと思っているのは,費用対効果です。 これは費用の効果に対する比ではなく,効果の費用に対する比ですから対費用効果と訳すべきだと思っています。費用効果比でもいいですが... 対というのは,名詞などの「前」に付けて比較・交渉・戦いなどの相手であることを表す語です。
お礼
費用対効果あるいは対費用効果は、原語(英語)では、cost-effectiveness ratiosあるいはcost-benefit ratiosですね。日本語で、A対Bというとき、分数に直すと、A/Bでしょうか、B/Aでしょうか?(数学では、A対Bは、A:B = A/Bですが。。。)日本語ではどちらを意味しているかを決めるほどこの表現は厳格でなく、曖昧に使われているのではないでしょうか?したがって、私はどちらでも構わない気がします。 英語でも、cost-benefit ratiosとも、benefit-cost ratiosともいい、どちらも使われていますから。。
補足
私が経済用語で誤訳と考えるのは、expectationsという言葉を「期待」と訳していることです。たとえば、expected rate of inflationだと、期待インフレ率といわれ、日銀の行っている量的緩和は人々の「期待」に働きかける政策だといわれたりします。しかし、「期待」という言葉は、「心待ちに待つこと、将来実現するだろうと待ち構えること」(広辞苑)とあるように、なにか望ましいことがおこることを待ち望むという意味合いがあります。天皇のお言葉もだいたい最後は「・・・を期待します。」というふうに終わります。しかし、expectはもっと中立的な言葉で、「予期する」、あるいは、「当然なこととしてそうなるだろうと思う」という意味に近い。たとえば、"We expect a war."といっても戦争を「期待」しているわけでなく、戦争を予期しているだけである。(マーク・ピーターセン「続・日本人の英語」(岩波新書)、105-106ページを参照されたい。)したがって、expectationsとか、expected rate of inflationとかは、「予想」とか、「予想インフレ率」といったほうが訳語としては正しい。インフレ期待とか、期待といっている人を見たりすると、私自身はこの人は英語も日本語も知らない人だと軽蔑しています。