ウィルヘルム・ディルタイの著作は、ハイデガーやボルノウの著作を読んで、その関連で読みました。
「解釈学の成立」とか「精神科学序説」とか「精神科学における歴史的世界の構成」とか、カール・マンハイムの歴史主義との関連で、興味を持ちました。
他人の行動や思考を感情移入によって解釈するという方法を歴史にも適用し、伝記や文芸作品にその方法を延長してゆき、解釈学の方法論を確立しました。
その時代の人間の生きた世界を、現代の知見によって考えるのでなく、その時代に生きている人間の知見から考えて行こうという考えは、結局歴史個体主義に導かれることになります。
歴史主義的な考えというのはドイツの伝統で、その中から社会学も登場してくることとなります。
マイネッケの「歴史主義の成立」という本によれば、ゲーテ・ヘルダー・ランケ・トライチュケ・ヘーゲルとその歴史主義的な考えが受け継がれてきました。
歴史主義とは、文化というものはその時代にしか適用できない独特のもので、その時代で完結し、他の時代には通用しない。
その意味では近代の機械論的な考えとは反対で、有機体論的な世界観に基づくもの、文化にも始まりがあり、終わりがある。
あたかも植物が芽から生まれて、花が咲き、萎んで枯れて、終わるように文化も生まれて、そして死んでゆく。
一定の時代の間続くが、それで完結している。
歴史は決して連続していない、と考える。
歴史個体主義。
ディルタイの解釈学はその歴史的個体を考えるための方法論。
なんと言っても、主著「歴史的世界の構成」を読むべきだけど、ディルタイの哲学の解説書というのはあまり見当たらないが、ルードルフ・マックリールの「ディルタイ」(法政大学出版)というのが出ている。
お礼
丁寧な回答、ありがとうございます。 大変、参考になりました。