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下座腰の読み方と意味
『おろおろ草紙』という小説に 「二本の磔柱の両脇には、すでに朱槍を携えた四人の突き役が下座腰になって控えていた」 という箇所があるのですが「下座腰」とは何でしょうか? 教えてください。よろしくお願い致します。
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ここでは貴人に対する座礼に準じて、呉音読みで「下座(ゲザ)」の姿勢(腰付き)を指すので「ゲザごし」と読むのが順当だと思われます。 訓読みの「しも」+国訓「ざ」での和語「しもざ」の場合は、そのような行為や姿勢ではなく席次や位置取りを表わすでしょうから。 実際の下座礼については次の何れかまでは未詳です。 1)据腰・居腰(すえごし) 「(2)立て膝」にして腰をすえ、背を伸ばした形ですわること。」 2)跪居(キキョ) 「両膝をつき、爪先を立てて、踵の上に尻を置く敬礼の姿勢。跪礼。」 3)蹲踞・蹲居(ソンキョ) 「(2)貴人が通行する際、両膝を折ってうずくまり、頭を垂れて行なう例。」 引用:「国語大辞典」小学館 気になるのは「朱槍を携えた四人の突き役」のくだりです。 磔刑だけは斬首人のような役人とは異なって、特に「突き役」といった役人が行うものではなく、その刺突行為は士農工商の身分外の「非人」が行う唯一のものだったようです。 ですから、累代、武士の名誉の「朱槍」が、その業前(わざまえ)としての「技術を必要とされない」磔刑において、非人の道具として使われるとは到底考えられない思いが致します。 参照:櫻井悟史「斬首を伴う「死刑執行人」の配置に関する考察」 「「「非人」に「死に至らしめる身体に介入する行為」が期待された例外は、磔である(布施1983:377)17。「非人」に配置された死刑執行と、町奉行同心に配置された死刑執行との大きな違いは、その道具である。「刑罪書」の磔御仕置仕法によれば、「非人」に要求された磔の際に用いられる「死に至らしめる身体に介入する行為」のための道具は槍である。同書によれば、槍は三十回ほど突くとあり、斬首の場合のように一撃で首を落とすような技術は必要とされていない。」 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/ce/2009/ss02.pdf
お礼
すごく詳しい回答ありがとうございました。びっくりしました。 検索しても全く出てこないので早々に諦めていました。 「突き役」の件ですが、本作品内では「虫切小屋から選ばれてきた者」 が「突き役」で「虫切小屋」とは「城下の雑役をする人足たちの極く粗末な住居」 とあります。身分の卑しい無法者たちで飢饉で行き倒れとなり放置された 遺体の運搬等を業としていました。ご指摘の通り武士の名誉の「朱槍」をこういった 人足が用いるのは変ですか読んでいる時は全然気が付きませんでした。 お恥ずかしい限りです。質問してよかったです。本当にありがとうございました。