人類ほど「子供」の期間の長い動物はいない。
人類の特長である脳の機能は、生後の刺激による後天的な
要素がほとんどなのだ。
生後数週間以降に、手術で視力を回復しても、正常な視覚
は得られない事が臨床的に知られている。
それは脳生理的にも、生後の五感の相関した刺激によって
脳ニューロンが伸びて、ネット―ワークを形成する事実に
よって確認されている。
その「脳ニューロンの伸び」は生後数週間のみで、その後、
数歳までニューロンの先端の接点=シナプス結合の形成が
行われるが、人間が本格的に勉強を始める数歳以降は、実は
脳自体は発達せず、既に形成されたシナプスのオン・オフを
行っているに過ぎない。
「赤ん坊は泣くのが仕事だ」とよく言われるが、赤ん坊は
その間何もしていない訳ではなく、絶え間ない脳回線の試行
錯誤を行っているし、子供は座って勉強するより多様な環境
で体や五感を使って遊ぶ方が、長期的にはプラスなのだ。
それは大戦後、大量に生じた戦災孤児を施設の単調な環境で
育てた結果、知能に問題がありキレやすくなったという
「ホスピタリズム」という現象において明らかにされた
ものだ。
子供の期間が長い事により、遺伝子の変異によらず環境に
適応する事を可能にしたのだ。
お礼
psytex様、ありがとうございます。 大事に、されてますね。