- ベストアンサー
ワインの等級の科学的説明
ワインには等級があって、高級品にはすごい高価なものもありますが、その等級の客観性に科学的説明はされているのでしょうか? 私の思いつきですが、「うまみ」という要素が関係しているかもしれない、と思ったのですが、如何でしょうか? またドイツワイン(白)の等級は、収穫期の遅さに関係しているようですが、それは結局「甘さ」のような気がします。 ドイツでは甘いワインが高級で高価、ということで考えてよろしいでしょうか?
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
ワインビジネスに従事しています。ワインの科学的見地からの分析なども学んでおります。 結論から申し上げます。ワインの等級と科学的数値(味覚、嗅覚など)との間に万国共通の関連性はありません。ですが等級のつけられたワインの利点を説明する為の大事なツールとして科学が活用されています。 ワインの等級=格付けは、フランス、ドイツ、イタリアなどにありますが、基本的にその国々のワイン法などに基づいてその土地のぶどう品種や栽培技術の保護、育成、およびワイン醸造技術の保護、発展の為に設けられたものです。近代においてはそこに、販売マーケティング戦略も加わりました。 個別地区で栽培される個々のぶどう品種の化学的分析、および土壌分析は進んでおり、実際にそのデータが販売戦略やコンクールでのデータとして使われたり、蓄積したデータを元に新しい醸造技術にトライしたりと、様々な面で科学はワインの質向上に使われておりますが、それが例えば等級の変更などに直接影響をおよぼすといったことはありません。逆を申せば、すでに格付けされているワインと格付けされていないワインの、質に関する化学的データを比較した場合、等級外のワインの方が官能評価的には良い結果を示しているといった実例もゴロゴロあるのです。 AOVDQSやAOC(フランスの原産地呼称)、DOC,およびDOCG(イタリアの原産地呼称)はいずれも、その土地独自のぶどう品種、および畑そのものの歴史や価値についての格付けです。これはぶどうのみならず、その他の農業生産品に関しても呼称を名乗る為の厳しい基準を設けています。味わいに関して言うと、「うまみ」という第5の味覚が世界的に認知されたのは20世紀に入ってからです。フランスでワインの格付けが最初になされた19世紀中頃には当然ない味覚ですから、残念ながらご質問者様の考えははずれています。 これに対しドイツのQbA、QmPという格付けはちょっと違います。これに関しては御質問様の考えがほぼ正しいです。 >ドイツワイン(白)の等級は、収穫期の遅さに関係しているようですが、それは結局 >「甘さ」のような気がします。 >ドイツでは甘いワインが高級で高価、ということで考えてよろしいでしょうか? 見事な指摘です。ドイツはぶどう栽培の北限とされており、糖度の高いぶどうが栽培しづらい環境と言われてきました(過去形にしたのは、昨今の温暖化の影響で糖度が上がりやすくなった地区も出てきているからです)。ですから、「ブドウの成熟=糖度が高いブドウ」を栽培、収穫するには人手と努力、そして費用が必要とされます。結果、糖度が高いぶどうから作られるワインが当然高値となります。つまりドイツワインの等級とは、糖度の高い完熟したぶどうを栽培し、それを濃厚な味わいのワインへ仕上げた人間の知恵と努力に対する対価だとお考えになって結構です。 現在はEUとしてのワイン法と各国のワイン法が併用されている形です。またドイツはフランス、イタリアのような原産地呼称の格付けに変えようという議論がなされてはいますが、まだ結論は出ていません。等級に関する大きな課題としては、一度決められた等級の変更が滅多になされないということです。つまり言葉は悪いですが、畑の持ち主がいい加減に作ったぶどうであっても、そのぶどうを使っていい加減に作ったワインであっても、等級が決められている以上、等級外のはるかに良いできのワインよりも高い売値がついてしまうという現実です。科学的見地からの等級の見直しがあっても良いと個人的には考えますが、よくある「総論賛成各論反対」は容易に想像できます。だれしも自分にとってプラスになるのであれば賛成しますが、既得権を侵されることには頑強に反対しますから。特にフランスの農業団体はかなりのタフネゴシエーターなので、なかなか難しいというのが現実です。
その他の回答 (2)
- nantamann
- ベストアンサー率30% (342/1138)
>等級の客観性に科学的説明はされているのでしょうか? 科学とは何でしょう。客観性と普遍性です。 科学手法による成分分析・・・・客観性があります。アルコール分は再現性良く分析できます。ワインの値打ちはアルコール分では決められません。香味成分の分析は非常に手間暇がかかり分析できない成分も多数あります。成分が分かったとしても良否は決定できません。各成分の品質に対する影響が不明だからです。 きき酒・・・・・・・・・・・・ワインの評価は飲んでするしかありません。主観による評価となってしまいます。これを客観的にするには大勢で審査し統計処理しますが大まかになるのは仕方がないです。また、人間の嗜好ですから時代と共に変遷するかもしれません。 ワインの品質とブドウの品質(栽培)と醸造技術、貯蔵熟成には蓋然的な因果関係があります。その関係は膨大なワイン経験から導き出された暗黙知とでもいうものです。 ワイン(品質重視)を飲むというのは文化を飲むようなもので科学を持ちこんでも納得できる答えは得られないでしょう。 旨味 ワインには旨味成分はほとんどありません。旨味を感じることはないと思います。もしあれば異質な味とされるでしょう。旨味成分とはグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸です。 ドイツ白ワインはおっしゃるとおりです。基準とする品質が単純だから消費者も分かりやすいです。
お礼
私の実感として、ワインの等級は、客観的に存在すると思うのです。 多くの人がうまいと評価が一致するレベルさがあると信じています。 しかし詳しい方がここまでおっしゃるのなら、この考えは諦めた方が良いと思いました。 丁寧なご説明を有り難うございました。
- rcc123
- ベストアンサー率30% (288/948)
物の値段は需要と供給で決まります。 飲食物も同様。 おいしいから高いということはありません。 そもそも、おいしいという定義はありません。 おいしい、まずいは、個人の好みです。 客観的な基準はない。 だから、どんなにおいしいレシピを考えてもノーベル賞は取れない。 ワインも同様高いのは、欲しい人に対して 供給が少ないから。 決して旨いから高いのではない。 ワインに限らず、 物の評価を値段で決めていると、 本当のいい物には巡り会えません。 物の評価と値段は無関係ですよ。 高い=いい物 ではない。 中国人は高い=いい物と思っているが。 哀れだ。
お礼
有り難うございました。 値段がある程度、質を表現しているように思うのですが・・?
お礼
詳しいご説明を有り難うございました。 このあたりで、満足しておくべきと思います。
補足
詳細かつ明確、完璧なご説明をいただき感謝、感激しております。 これで終わりとすべき気持ちですが、これほど詳しい方にお会いしたご縁を生かしたいと思い、もうひとつだけ甘えさせていただきたくお願いいたします。 等級、格付けにはいろいろの要素が混じりがちと言うご説明はもっともなのですが、そういうことを除いた純粋な味のランク付けというものもあるような気がします。 食べ物の味というものは、何か欠点(苦い、渋い、薄い、ざらざらなどなど)があると、まず落第となり、何も欠点がないものを作るのは、なかなか難しいことになる、という性質があります。しかし本当の美味しい味を比べる時には、この欠点を除いて考えるべきと思います。 私は、かつてフランスで、3種のワイン(赤)を飲み比べたことがあります。高価の方が2000円ほどのものです。 その高価なものは、安物に比べて、何か濃密な味がして、「より深いこく」があるような気がしました。 この官能的な味の違いについて、科学的に表現できるのではないか?と思いました。 その一部として「うまみ」の要素が、実はランクを左右していた、という可能性はないでしょうか? 「うまみ」という要素は最近発見されたもののようですが、それは分別された、と言うことであって、それ以前にも無意識で評価されていた可能性があるかもしれない、と思いました。 しつこい質問を失礼しました。