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有職故実の綾という言葉の意味。綾織り。
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こんにちは、kasaneと申します >有職故実では、綾というのは、貴族の服の生地で、かなりの高級品と考えられますし、 >昔話に宝物として登場したりもします。これは基本的な織り方の一つということでは >ないようなんですが、そのあたりはどういうことなのでしょうか? 有職故実と書かれているので、おっしゃるところの「昔話」とは『源氏物語』や『うつほ物語』といった平安時代の作り物語をさしている、と考えさせていただいても宜しいでしょうか。 平安時代の貴族がまとっていた装束は基本的に<絹で織られた布>で、物語の中で「絹」という語を使う場合は<平織りで文様のない絹>をさしていました。 そして<綾織りで文様のある絹>を「綾」と言っていたようです。 (ただし<綾>の中にも<無文の綾>もありました。斜線を引いたような地文だけの綾ですね。平織りは経糸緯糸が垂直に交わっただけの単純な織物なので、無文の綾織りはそれよりは少しだけ手間のかかった高級な生地です) 源氏物語絵巻などをよく見ていただくと、平安人の愛した植物や動物などを洗練された模様に織り出した装束を源氏達が着ているのがわかりますね。 帝の外戚ほどの最高レベルの貴人や特別に裕福な者達は普段着にも綾を多用して着ていたようですが、それほどの身分も財力もない中流以下の貴族達はそこまで贅沢が出来ていたかわかりません。 また朝廷に仕える官人は、大臣や納言・参議といった執政官(公卿または上達部)ならば表袴や下襲に華やかな「綾」を使用できました。それ以下の官人は当然無文の「絹」を用いるのですが、帝から許可(禁色聴許といいます)を賜ると、特別に「綾」を纏うことが出来たといいます。 枕草子では禁色聴許を賜ることのできる蔵人(帝の傍近く仕え諸用を仰せつかる側近。四位二人・五位二人・六位四~六人程度)という官職を褒めちぎっています。 本来なら身分相応な「絹」しか着られないはずの六位が蔵人に任じられると、自分よりも目上の一般の五位・四位すらも手の届かない「綾」を着ることが出来る・・・こんな素晴らしいことはないわよね、と清少納言は自分が許されたかのように誇らしげです。 ご質問に戻らせていただくと、「綾」は高級品ではないのか?といえばただの「絹」と比べてもはるかに高級品だったと言えるでしょう。 貴族の中でもごく限られた少数の官人のみしか許されなかったのですから。 源氏物語の中で源氏が須磨に隠遁する直前、別れを惜しむ友人達が源氏の邸を訪れます。 そこで源氏は侍女に「私はもう無位無官の人間だから無文の直衣を着よう」と言います。 つまり三位の近衛大将であった頃なら当然<綾の直衣>を堂々と着られたのですが、官位を返上した以上、服地すら下等なものに替えなければいけない・・・という運命の残酷さを読者に突きつけている場面なのでした。 この源氏物語のシーンからも、有文の綾の価値がおわかりになるかと思います。 上流貴族の子弟なら、元服以前の童時代には比較的装束も自由で<綾の直衣>やそれ以上に華やかな<織物の直衣>を着ています。 しかし元服したら最後官人社会の慣例にしたがって、贅沢な私服はゆるされず<絹の直衣>を日常的に着たようです。 若者達は昇級した暁には<綾>をまとえる日も再び来る、という希望を胸に出仕していたのではないでしょうか。 とりとめのない回答で申し訳ありませんが、御参考にしていただければさいわいです。
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- kasane
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再度、回答させていただきます。 (何度も申し訳ありません・・・) ※吉川弘文館発行の『有職故実大辞典』 を忘れておりました。 こちらも宜しければご参考にしてください。 >分からない一つの言葉を長時間かけて調べると、あまり時間の浪費のように思えてきました。 おっしゃること良くわかります・・・果てのない暗闇の中を進んでいる様で、虚しくなってきますよね。他にもいろいろやる事があるのに、何を悩んでいるんだろうって。 でも大学の卒論提出のような締め切りがあるわけでないなら、一つの疑問について飽きもせず何年でも考えたり調べたりしているうちに、思いがけず答えに辿り着ける日が来るかもしれません。 私事ですが、自分は大学時代の専攻が中古文学で、卒業して20年以上経った今でも 最寄の大学図書館や国会図書館から論文のコピーを取り寄せて読むのを趣味にしています。 それで思いがけず長年の疑問が氷解できたときなど、心身に溜まっていた澱が消え去るような気がして、日々のストレス解消にはなります・・・自分が単純なだけなのかもしれませんが。 ki_ti 様の悩みが一日でも早く解消なされますように・・・。
お礼
何度も何度も本当にありがとうございまいた。 締め切ります。
- kasane
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ki_ti様、お返事ありがとうございました。 錦に関しても知りたいとの事ですが、下記の書籍をおすすめしたいと思います。 ※竹林舎発行・平安文学と隣接諸学シリーズの第九巻 『王朝文学の服飾・容飾』 そのなかの ・王朝の服飾と舶載された錦─法隆寺宝物から『源氏物語』まで─(河添房江) という論文が錦を主題に書かれています。 大変厚い本なので持ち運ぶのも一苦労なのですが、内容的にはとても読み応えがあり 王朝装束に興味を持つ者にとっては垂涎ものの一冊だと思います。 よろしければ御覧になってください。 下に竹林舎のURLを貼りますね。
- 参考URL:
- http://www.chikurinsha.com
お礼
お礼が遅くなり申し訳ありません。 ありがとうございました。
- ithi
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ki_ti さん、こんばんわ。 よく綾錦といわれますが、実は両方とも美しい模様を織り出した絹織物です。ちなみに綾が薄い生地なのに対して錦は厚い生地です。だからとても高価なものです。そして単に織方ではありません。 有職故実というのは平安時代の朝廷の儀式次第やそのいわれや先例などを調べる学問です。だから、このような単語も本来現代とは別物、あるいはニュアンスが違うなどということがよくあります。ネットよりもよく古語辞書で調べた方がよろしいでしょう。 実物を見たければ、博物館、美術館に見学に行くとよいでしょう。 このURLを参照してください。 http://www.kimonojp.com/2007/01/post_407.html
お礼
ありがとうございました。調べてみます。 ご紹介いただいたリンク先は短文でしたので、保存のためにこちらに記録しておきます。 「綾錦(あやにしき)とは、美しい絹織物のことを指し、多彩な帯や着物、紅葉の鮮やかさを形容する言葉として用いられます。」(着物が着たくなったら、着物用語集より)
補足
いま7/2です。 本当に大変申し訳ありません。御礼とご返信がすっかり遅れてしまいました。どうもありがとうございました。 >平安人の愛した植物や動物などを洗練された模様 綾については、模様もいろいろあるような織物のことであると分かりました。すると錦との違いが良く分からないですが、実は。 分からない一つの言葉を長時間かけて調べると、あまり時間の浪費のように思えてきました。 実物を見るとか、そういう機会に再度調べたほうがよさそうです。