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IHの原理について
ネット上のいろいろなところでIHの原理が説明されていますが、ほとんどの説明は納得できません。よく見られる説明は、「コイルに交流電流を流すと鍋底に渦電流が発生する。ジュール熱はRi^2なので、アルミや銅は電気抵抗Rが小さすぎて、発熱量が少ない」というものです。しかし私は、以下のように考えます。どなたか電磁気の専門の方、教えて頂けますか。 コイルに交流電流を流すと、交番磁界Hが発生します。本当はsinωtでも付けた方が良いでしょうが、記述が面倒なので省略し、鍋底の磁界もHとします。鍋底の磁束密度Bは、B=μHとなります。μは鍋が置かれていなければμ0、あればμ0μrですが、磁化Mは本質の議論には不要と思いますので取り敢えず無視します。また、高周波になるとヒステリシス損失や表皮効果も無視できないのかもしれませんが、これも考えないことにします。 磁力線が通る部分に適当な面積を考えれば、Bを磁束Φに変換できます。ファラデーの法則により、磁束の時間変化は誘導起電力V=-dΦ/dt を誘起します。これが渦電流iの基となり、V=Riを満たすような電流が発生します。従って、用いるべきジュール熱の式はRi^2ではなくて、V^2/Rだと思います。すなわち鍋底の電気抵抗Rは小さいほど発熱量が大きくなります。アルミや銅で発熱量が小さいのは比透磁率μrが小さいためにBが小さく、従ってVが小さいからだと思います。 仮にRが小さすぎて発熱量が少ないとすると、透磁率の効果を無視してもおかしなことになると思います。土鍋はほぼ絶縁体なので渦電流が流れず発熱しない、これにはすべての人が同意すると思います。だんだん鍋の電気抵抗を小さくしていくと、渦電流もだんだん増えていくんですよね。鉄のあたりでは渦電流が十分大きくなって、十分発熱しますよね。ならば、さらに電気抵抗を小さくしていったら、渦電流はさらに大きくなるのではないでしょうか。電気抵抗の変化に対してジュール熱がピークを持つような式は、電磁気学のどこを探しても(少なくとも通常の材料の範囲内では)出てこないと思います。 また渦電流損を考えると、これはIHの出力と同じだと思います。この式では、電気抵抗Rは分母にあって、渦電流損を小さくするには電気抵抗の大きな材料を使え、ということになっていると思います。これは「アルミや銅は電気抵抗Rが小さすぎて、発熱量が少ない」のと矛盾します。 ほとんどのIHの原理の説明は、交流磁界ー渦電流ーRi^2と短絡的に考えた結果の間違いだと思うのですが、私のこの考えはどこかおかしいでしょうか。
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- imoriimori
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たしかに「ジュール熱はRi^2なので、アルミや銅は電気抵抗Rが小さすぎて、発熱量が少ない」という説明だけだと、納得できない。その疑問は正鵠を射ていると思います。 最大の発熱のためには、適度な抵抗値が要る、というのが私の回答です。 質問者様の考えは、「Bが(負荷抵抗に拘わらず)一定なら、渦電流の誘導起電力は電圧として一定、ならば抵抗が少なければ少ないほど発熱するはず」という論理ですよね。つまり暗黙の内に「Bは土鍋でも鉄鍋でも同鍋でも同じ」という前提を置いて考えておられるようです。 だけど、Bは渦電流が作る磁場との合算です。渦電流も磁場を作ります。そして渦電流の作る磁場は印加磁場をキャンセルする方向です。このことを計算に入れないといけないはずです。 土鍋なら渦電流は流れない。Bがそのままかかる。誘導電圧はたっぷりあっても、抵抗無限大だから発熱しない。 超電導体のような完全な導体なら、渦電流の作る磁場とキャンセルしてBはゼロです。電圧もゼロ。発熱しない。 このあたりを考えると、 高抵抗すぎるとB大で、誘導電圧が大きくても渦電流小。 低抵抗すぎるとB小で、渦電流は大きくても誘導電圧があまりに小さい。これがアルミや銅の鍋でしょう。 ということで、ほどよい抵抗値が要るのだということが想像できますよね。 おそらく、アルミや銅の鍋を想定したIHは設計できると思います。印加する高周波磁場をもっと強力にすれば良いわけです。 でも、たぶん高効率で強力な高周波磁場を作るというのは難しい面があるのでしょう。コイルで磁場を作るのだとすると、コイルに流す電流を増やすのが簡単ですが、これはコイルの抵抗損失も増える。コイルの巻数を増やすと同じ電流でも磁場は強くなるけど、しかし同じスペースでやるには線は細くなる。だから抵抗損失はやはり増える。そんな種類の実際問題が色々とあるのでしょう。このへんは実際のモノツクリをやる専門家で無いとわかりませんが。
確か、厚さのパラメータが入ってきてたはず。
- foobar
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ご質問にある説明方法では、 強磁性でないステンレス製の鍋がIHでよく発熱する 最近のIHでは動作を調節してアルミでも使える を説明しきれないかと思います。
- kichi8000
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たとえば、摩擦熱。 A 抵抗が0なら発熱はない。超伝導と同じ。 B 抵抗があるから発熱する。 C 抵抗が大きすぎると動かない。絶縁体と同じ。 渦電流が最大であっても、Aなら発熱はないです。 アルミや銅はAとBの間ということです。 >電気抵抗Rは小さいほど発熱量が大きく A~Cからそうではないことが判ります。小さければいいってものではないです。 物事の一面しか見ていない短絡的思考ではだめです。
>V=Riを満たすような電流が発生します。従って、用いるべきジュール熱の式はRi^2ではなくて、V^2/Rだと思います。 V=Riより、i=V/R。よって、Ri^2=R(V/R)^2=V^2/R。同じですよ。 あるいは、V=Riより、抵抗が少なければ、電流が一定だとすれば、電圧が下がる、と言えばいいでしょうか。 どこで間違えているかはお任せします。
お礼
ご回答ありがとうございます。Ri^2とV^2/Rが同じなのは承知しております。どう使い分けるかは、電流が一定の場合か電圧が一定の場合かだと思います。家庭用の熱器具では、電圧が一定ですので電気抵抗の小さい熱器具の方が発熱が大きくなります。IHで、透磁率が同じで電気抵抗が違う2つの鍋を比べたとして、両者で同じ大きさになるのは誘導起電力で,渦電流ではないのではないかというのが私の言いたかったことです。ご指摘の「電流が一定だとすれば」というのがなぜ正しいのか解りません。
- mpascal
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私は詳しいことは分かりませんが、ご参考まで。 http://www.qunea.com/blog/log/20040720-1244.html
お礼
ご回答ありがとうございます。ご紹介頂いたページは表皮効果に関するものだと思います。表皮効果がどう関わっているのか良くわかりませんので、これについてはまた別途考えたいと思います。
ヒステリシスループを一周した時の、ループ内部の面積が消費エネルギーに該当します。 周波数をあげれば、面積は周波数倍されて消費エネルギーは上がります。 以上
お礼
ご回答ありがとうございました。ご指摘の内容はヒステリシス損のことだと思いますが、今は電気抵抗と発熱の点に絞って考えたいと思います。
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お礼
ご回答ありがとうございました。摩擦熱に例えておられますが、このたとえが今考えていることとどう対応するのか解りません。またこれを認めたとして、アルミ、銅がBで鉄がBとC間であると言うことはないのですか。アルミ、銅と鉄は、オームの法則が成り立つ範囲内にあると思います。A~Cを電磁気の法則を用いてご説明頂けないでしょうか。また渦電流損の式といまのIHの発熱量と,なぜどう違うのでしょうか。ご教示頂ければ幸いです。