日揮のWEB頁中の
「第116期 有価証券報告書」(page6)には、
「…提出会社は「日本揮発油株式会社」として昭和3年10月25日資本金2,500千円をもって
創立されました。
(設立登記の日は昭和3年10月27日であります。)…」
と明記されていますので、この記述から答は導き出せます。
株式会社の法人格取得のためには、旧商法など根拠法の定める一定の条件を満たすとともに、
定款作成の上、組織内容を公示するための登記が義務付けられていて、
それが法人格成立の効力要件になります。
なお、法人格取得とは別に、特定の事業目的によっては、その事業活動の前提として、
事前に主務官庁などの認可等を要する場合もあります。
上記を踏まえれば、
冒頭の有価証券報告書から1928(昭和3)年10月25日「創立」は設立年月日には該当せず、
株式会社成立の効力要件である「設立登記」の日たる同年10月27日=法人格取得日
(人に例えば誕生日)=設立年月日である事が明白です。
では、1928(昭和3)年10月25日「創立」が何を指すかと問われれば、
株式会社が法人格を取得する前段階の中の最終局面と位置付けられる
創立総会開催日の可能性が高いと思います。
もちろん、創立総会で必要事項が異議なく承認決議され、設立登記申請に必要な書面が全て
揃っていれば、当日中に登記申請が可能なのは言うまでもありませんが、
…ワープロもコピー機も無い謄写版(ガリ版)印刷機と邦文タイプライターの時代…
創立総会議事録作成、必要に応じ役員の就任承諾書、取締役会開催・議事録作成、金融機関の
株式払込金保管証明書など総会後に揃えるべき書類も多いため規模が大きくなるほどに
創立総会当日の設立登記申請には無理な場合もあり、
仮に全て揃っていたとしても、中には設立登記日=法人格取得日
(人に例えば誕生日)を大安吉日に合わせたいなどの理由から、敢えて保留するケースも
考えられます。
以上のとおり
1928(昭和3)年10月25日「創立」が創立総会開催日とすれば、
株式会社の法人格取得の前段階の最終局面に過ぎず、株式会社成立の効力要件である
「設立登記」の日=同年10月27日=法人格取得日(人に例えば誕生日)=設立年月日
となります。
法律の観点で述べれば上記のとおりですが、当事者側からすれば「創立」総会当日時点で、
概ね準備を完了したわけですから「創立」と表現する事は十分理解出来ます。
以上 疑問解消に繋がれば幸いです^^