そう単純な話ではないですね。
(1)貨幣供給量増加→貨幣価値下がって物価上昇
従来通り市中銀行などを通じて貨幣を供給しようとしても、使い道がなければ誰も借りません。
現状では、銀行の金庫の中に退蔵されるか、国債に変わってしまうだけではないでしょうか。
国債で得た資金を政府が使うことはありますが、現状を見ると一部の企業にだけしか仕事が回らず、借金の返済などに充てられてまた銀行に還流するだけじゃなかろうかと思います。
個人一人ずつにばらまいたとしても、その個人が、現状の景気から判断し、将来のリストラなどに備えて銀行預金やタンス預金になりそうに思います。
つまり貨幣は発行量は増加しても、市場には出回らない可能性が高いです。
出回らないなら、貨幣価値は下がりませんよね。
つまり、現状の景気では、市場に出回る貨幣量を増やすのは難しいと思います。
が、仮に増やせたとしたら、たしかに貨幣価値が下がって物価が上昇する可能性"も"あります。
しかし、本当に、貨幣がまんべんなく万人に流通し、将来の生活が安心できないと、買えない人、買わない人が出るので、結局需要は高まらず、物価が上がるのは難しいとも考えられます。
どっちに転ぶかは神のみぞ知る、というところです。
(2)貨幣価値下がって物価上昇→購買力下がって流通速度低下
上記の通り、貨幣価値が下がって物価が上昇するのは難しい状況ですが、「仮に」物価が上昇したとすると、たしかに購買力が下がる可能性が高いと言えます。
しかし、過去の事例からみると、物価が上昇する時というのは給料も上がってきました。税収も上がったので、生活保護なども厚くできました。
ですから、物価が上昇したと仮定すると、購買力はそれほど変わらない可能性のほうが高いと思います。
もうひとつ、物価が上がるとね、「もっと物価があがるんじゃないか。早く買わなければ」と思って、買うようになるのです。
貨幣は価値が下落する、ばば抜きゲームのババのようなものですので、早く手放そうとするわけです。
つまり、物価があがると、貨幣の「流通速度は高まる」のです。低下するどころの話ではないのです。
流通速度を低下させるには、別な状況設定が必要となります。
まとめますと、質問者さんの論理が成り立つには、間にたくさんの「仮定」というか「条件」を入れなければなりませんので、「その論理は合ってない」と回答すべきか、と思います。