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徒然草の読み方は「ひくらし」or「ひぐらし」?一般的な読み方を教えてください
- 徒然草の序段について、息子が小学校で読んでいる際に、「つれづれなるままに、ひくらしすずりにむかいて」の部分を「つれづれなるままに、日(ひ)くらし、すずりに向(む)かひて」と読むように指導されているとのことです。
- 徒然草の読み方については諸説あり、「ひくらし」「ひぐらし」「にくらし」「にぐらし」といった表記が存在します。
- 一般的には「ひぐらし」がより一般的な読み方とされており、現代の国語指導でも「ひくらし」ではなく「ひぐらし」と読むことが多いようです。
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平仮名交じり文であって刊記も明確で、その仮名活字にはわざわざ濁点を付け、しかも句読点も印刷した版式としてのいわゆる「烏丸本」では「日くらし」とあります。 参照:「三宅亡羊と『徒然草』の刊行(PDFデータ) http://www.wul.waseda.ac.jp/Libraries/kiyou/54/pdf/06-kuboo.pdf この「烏丸本」に基いた形で、慶安5年に松永貞徳は注釈書「慰草」において、「日暮:くの字すみてよむ」と明記しているのですが、次の注釈書ではそれに対して「澄みてよむべしとあれども。濁りてさしつかへなし。かく熟語となりたる詞には。音便にて濁る例多し」と訂文を加えています。 北村季吟「徒然草文段抄. 上巻」(明27) http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/888795 また、「日葡辞書」では次のように濁音で記されています。 「Figuraxi ヒグラシ(蜩) 夏や秋の夕方に鳴く蝉の一種。」 「Figure ヒグレ(日暮) 日没後の夕方。」 これは「日暮らし」の指す意味(その日一日中か毎日連続かなど)とも絡んで、澄音なのか濁音なのかという面もありますが、ここは語調からしても「濁りてさしつかへなし。かく熟語となりたる詞には。」を採りたいと思います。
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- TANUHACHI
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こんばんは、夜分に失礼します。 『徒然草』序段の読み下しに関してのご質問ですが、僅かな記憶を辿りながら手許にある岩波の古典文学大系(旧版)調べてみた限りでは伝本に関して3種類があり、大系本が底本とする烏丸本でも「ひくらし」とのルビが振られています。 こうした記載の背景には「ひぐらし」の語義にある「夕・夕方」の意味と文意の間に生ずる齟齬を意識してのことではなかろうかと考えられます。 序段は文意として「何かしたいがさりとてすることもない、話し相手もいない、ひとり住まいの侘びしさにまかせて終日の間、硯を前にしていると、取り留めのないことがあれやこれやと心に浮かんでは消えて行く。そんなことを殊更に順序立てるでもなく書き綴っていると、不思議なほどに筆が進んでしまい、何か自分が別の人間になったかのような感慨すらする」ほどの意味ですから、「ひぐらし」と読んだならば、終日との意味が薄らいでしまうこととなります。こうした「釈文の意図」を踏まえるならば、僕は「つれゞなるまゝに日くらし」の読み下しは妥当と考えます。 恐らく質問者様が古文のテキストで出会った頃は「有名な文章だから暗記しましょう」などとしてテクストを文節に分解するなどの実は大切な作業が後回しになっていた可能性もあります。ですから「ツレヅレナルママニヒグラシスズリニムカイテココロニウツリユクヨシナシゴトヲソコハカトナクカキツクレバアヤシウコソモノグルホシケレ」と文章の区切りをすることもなく一本調子で唯々「暗記する」ことに意識が行ってしまっていたのでしょう。今から考えてみれば、いささか乱暴な気もします。 なぜ「日暮らし」が「ひくらし」であるのかと申しますと、元々は名詞の「日」とサ行四段活用動詞(くらす)の連用形「くらし」が組み合わさった形です。このことから「日がな一日の時間を日の暮れるまでの間」として時間の経過を表現する機能を果たしていることになります。そして「日が暮れた時」は日没ですから「暗くなっている」状態と同じになります。つまり「ひくらし」は物理的な意味で同時に「日暗し」でもあるとの解釈にもなります。
お礼
ご回答ありがとうございます。 なるほど、意味からとれば「ひくらし」と読む方が、誤解がなくなりそうですね。 現代語の用法でも、「日暮らし」は濁って読むものですが、「日、暮らし」と考えれば、濁らない方がよいとわかります。もちろん、意味も違ってきますね。
- ennalyt
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今は「ひくらし」が主流派じゃないかな。
お礼
ご回答ありがとうございます。 やはり、解釈は時代によって変わるものなのですね。
お礼
丁寧な解説ありがとうございます。 やはり、両方の読み方があるということなのでしょうね。 回答者2番の方のお答えから、意味上の誤解がないように濁らずに読む方がとのご意見でしたが、発音しやすいという意味では、濁っても良いということですね。