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魘される(うなされる)について
初めて質問させていただきます。 「魘される(うなされる)」は、受身なのでしょうか。自発なのでしょうか。それとも、それら以外(ただの自動詞とか)なのでしょうか。 「うなさる」という古語はあったそうですが、「うなす」というような形(他動詞)もあったのでしょうか。 手持ちの辞書ではわかりません。よろしくお願いします。
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もともと平安期には「魘(おそ)はる」(自動詞ラ行下二段)として、「夢の中でものに襲われる/魔性のものにうなされる」意味で用いられていたものです。 これが、江戸期には「呻(うめ)く/呻(うな)さる」意味と融和して、「魘(うな)さる」(自動詞ラ行下二段)とも言い表すようになったようです。 この語根は「うなさ」なので、「うなす」という活用形は考えられません。また、本来夢の中での自身における情動反応なので、目的格をとる意味での他動詞とはこのままでは馴染まないでしょう。
その他の回答 (2)
手許にある「日本語文法ハンドブック」(スリーエーネットワーク)には 「いくつかの動詞は能動形を持たずもっぱら受身形で使われます。このような動詞には『(悪夢に)うなされる、(彼女の魅力に)魅せられる、(火事で)焼け出される、(名人と)うたわれる、うちひしがれる、けおされる、とらわれる』」(以下略) とありました。ご参考までに。
お礼
ありがとうございました。受身形があるのに能動形がないというのは不思議な感じがしますね。
- SPS700
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たいへん鋭いご質問で、勉強になりました。 1。上代 三省堂の『時代別国語大辞典 上代編』には、*うなす、も「うなさる」、もありません。別に8世紀には無かったというよりは、あっても人前では言わないことだったのかもしれません。 2。室町 三省堂の『時代別国語大辞典 室町編』にも、*うなす、も「うなさる」、もありません。 しかし「うなる」(吟ル)(動四)とあり、「苦痛などを抑えきれないで、声を出すまいと抑えながららも低い声を出す」の定義があります。 注記として「うなる」と同義語の「うめく」が中古以来用いられたが、室町末期にも話し言葉として一般に流布するにはいたらなかった、と言う意味の記述があります。 3。現在 『日本国語大辞典』には「*うなす」は無く、「うなされる」が自ラ下一、として出ています。 4。僕の憶測 「うなされる」は形は受け身だが、能動態は無い、と言うことは人間は受け身でしか言えない動作、と言うことになります。鍵に「怨霊」にうなされる例が出ているので、生きている普通の人間は能動形で言えない、だから受け身の形しかない、従って怨霊などの存在を信じない今の考えでは「自」と言うほか無い、と言うことだと思います。 日本語でないある言葉に、似たような現象があり、いつも受け身か3人称主語でしか出てこない動詞を、「私は」と言う主語で言ってみたところ、先生から「君はまだ生きているからその文は使えない」と、言われました。同じようなことが*「うなす」にもあるのではないでしょうか。
お礼
どうもありがとうございました。何気なく使っている言葉でもそれぞれの変遷の歴史を背負っているのだなと思いました。
お礼
ありがとうございました。言葉の変遷は複雑なものなのですね。大変参考になりました。