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光より速いものはない?
「光速より速ければ、時間を逆行するとはどういうことか」 という質問をさせていただいて、回答を読んでいて思ったのですが、 そもそも、なんで相対性理論では光よりも速いものは無いってなっちゃったんですか? あんまり、相対性理論については知らない(というか調べたら理解不能だった)んですが、 できたら簡単に説明していただけないでしょうか? よろしくお願いします。
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相対論でも、まず最初にアインシュタインが出した特殊相対論での話ですね。 別にアインシュタインも「光(電磁波)より速い物はない」と思って、特殊相対論を考案したのではないのです。矛盾の無いように理論を作ったら、そうなってしまったんですね。 特殊相対論考案直前、光(電磁波)について不思議なことが分かっていました。光に対して、どんなに速く逃げようが、どんなに速く向かって行こうが、いつでも光は秒速30万kmでした。 当時、光は波だと思われており(そういう証拠が沢山ある)、波ならばそれを伝える媒質(音なら空気ですね)が必要と思われていました。そこで、目に見えないエーテルなるものが宇宙を満たしていて、光はそのエーテルの波だろうという説が有力でした。 これが、電磁気学では非常に困ることでした。電磁気学では、電磁波の速さ=光速度が非常に大きく関わります。いろいろな電磁気学の数式に出て来る、非常に基本的な定数です。 電磁気学で、基本の数式とされるはマックスウェルの方程式は光速度が一定という仮定で成り立ちます。 しかし、たとえば地球は太陽の周りを公転しています。もしエーテルが太陽に対して静止していてくれても、地球はその中を秒速30kmで移動し続けています。すると、光速度は変わると考えるのが普通です。そこで、ヘルツという物理学者が、光速度が可変としてマクスウェルの方程式を書き換えてみました。ヘルツの方程式と呼ばれています。 光速度がどう変化するかの実験や観測の検証が盛んに始められました。これは、マイケルソン&モーレーの実験が有名ですが、他の多くの研究者も条件をいろいろ変えて試みました。 結果はご存じの通り。どうやっても光速度はいつも同じ、秒速30万kmでした。 オランダのローレンツ、イギリスのフィッツジェラルドという物理学者が、「エーテルの中を移動する物体は、それに対する空間も含めて、エーテルに対する進行方向について収縮する」という仮説を出しました。これでも、そこまでで分かっていることは説明できました。 その説の弱点は、往復で考えると辻褄が合うとしていたことです。もし片道で光速度がやっぱり誰にでも秒速30万kmだと、その説は破たんするということです。 ここで、アインシュタインは一気に飛躍して、「いや、光速度がいつも一定なのだ」というアイデアをもとに、特殊相対論を作り、発表しました。 実は、フランスのポアンカレという数学者も、同じようなアイデアと理論を作っていたんですが、あまり有名にはならなかったようです。 ポアンカレに敬意を表する人は、特殊相対論を「アインシュタインやポアンカレの理論」と言うことがあります(ホーキング博士も時々そう言います)。 そして、ついに片道でも、誰にでも光速度は秒速30万kmと判明、特殊相対論が正しい理論とされました。 すると、こんなことになります。AさんにとってBさんが、秒速29万kmで移動しているとします。BさんがBさんにとって秒速29万kmで、そうですね、弾丸を打ち出すとしましょう。その方向はAさんから見てBさんが進んでいる方向とします。 すると、従来の考え方では弾丸の速度は、29万+29万=秒速58万kmです。 でも、まずBさんからすれば、弾丸は秒速29万kmですから、弾丸発射と同時に光も同じ方向に発すれば、光のほうが速いのは当たり前です。 そして、光の速度は「誰に対しても同じ」です。Aさんにとっても、Bさんが弾丸と同時に発した光は秒速30万kmです。この光が弾丸より速いということも事実です。 ならば、弾丸はAさんにとっては、光より遅い。これも動かせない事実です。 すると、単純に足し算したのがいけなかったのです。実は、このことはアインシュタインの相対論以前に、前述のローレンツやフィッツジェラルドも気が付いていました。 速度の単純な足し算をガリレイ変換といいます(ニュートン力学の主力の数式)。空間が収縮するということを考慮して、ガリレイ変換を書き直した、ちょっとややこしい式をローレンツ変換といいます。 相対論は、何事もガリレイ変換の代わりにローレンツ変換で計算します。それで計算すると、速度の足し算が、ちょっとややこしい式にはなりますが、いくら速い速度を足し算しても、光速度にたどり着けないことが明白に示されました。ちなみに、速い速度として光速度を採用すると、光速度にいくら速い速度を足し算しても、光速度になることも示されます。 ですので、光より速い物はない、ということになったのです。 相対論から出て来るその他の理論的な状況証拠として、たとえば物が速くなればなるほど重くなること(相対論的質量と呼ばれます)があります。これも相対論の理論から自然に導かれます。 光速度に近づくと、どんどん相対論的質量が無限大に近づいて行き、さらに加速するための力もどんどん大きくせねばなりません。 仮に光速度まで加速すると、止まっているときにどんなに軽くても、光速度にすると無限大に重くなることも示されます。無限大の力なんて自然にも人工でもありません。ましてや、光速度を超えるなら、無限大より大きい力で加速と言う、矛盾に満ちたような想定をしなければなりません。 こういうことも、相対論から示されます。実際、素粒子実験の巨大設備で膨大なエネルギーを使って、たった一個の電子や陽子といった、物凄く軽い物を加速していますが、決して光速度まで加速できません。もちろん、光速度を超えることもありません。 物事は、原因が時間的に先あって、結果が後になるという常識があります。因果律と呼ばれます。ボールを投げるということが先にあって、窓ガラスが割れるということが後で起こります(その後、叱られます)。 相対論からは、離れた2点間で原因と結果が起こり、その時間差が2点間を光が伝わる時間より短いと問題が起こることも分かりました。 つまり、超光速のタキオンなどで光速度を超えて通信するなど、超光速の因果関係が成り立つと、工夫次第で因果律が時間的に逆転、元より先に結果が起こせることが示されます。つまり、タイムマシンです。 因果律は物理学的裏付けはありません。人類が太古の昔から経験によって知った、経験則です。これがひっくり返っても、物理学自体は困りません(物理学のほとんどの数式は時間を逆転させても何ら問題がありません)。 しかし、矛盾は起こります。結果を知って、原因を取り除くことができてしまいます。すると、原因がなくなったので結果は起こりません。すると、結果がないから原因を取り除くことはできず、原因が取り除かれないので、やっぱり結果が起こります。どこまでいっても堂々巡りの矛盾です。 そういうことはないだろう、と多くの物理学者は、証明はできないけど、予想しています。これも超光速がないという見解が多いという状況を作っています。 こうして、とりあえずは光はいつも光速度、光以外の普通の物質は光速度未満の速度ということで、みんなの認識が一致したわけです。 その後、特殊相対論に矛盾しないよう、それにちょっと一味加えるとタキオンという、超光速粒子があり得るなどということも分かりました。タキオンは、超光速ですが、決して光速度以下にはなれない、いわば、光速度について普通の物質と対称的なものです。 これはいくら探してもなかったのですが、先ごろ超光速のニュートリノの可能性が示唆され、みんなあれこれ議論したり、追試したりしてますね。 ついでに付け加えると、量子力学では、超光速はおろか、どんなに離れた2点間でも、ある種の現象が瞬時に同期して起こる、つまり一見は無限大の速度のなにかで二つが結ばれている現象がありますが、これは情報も何も伝えないので、問題ないとされています。
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お礼、ありがとうございます。#6です。 >特殊相対性理論は、今のところ矛盾が無かっただけで、 >証明されたわけではないように思うのですが、気のせいでしょうか。 気のせいでも何でもありません。仰る通りです。 物理学の理論は全て、自然界を何とかうまく記述しようとしているだけです。間違いがあれば、いずれは分かることもありますが、どこにも間違いがないことは、逆立ちしても証明できません。 ニュートンの理論は、まずニュートン力学(運動学や力学)については特殊相対論で書き直されました。ただし、速度が遅い場合は、ニュートン力学になるということも重要事項です。速度が光速に比べて無視できない場合は、誤差が出るから修正しますよ、ということですね。 さらに、ニュートンの重力理論は、一般相対論で同様に誤差の修正が行われました。もちろん、重力が弱い場合はニュートンの重力理論になりますよ、と念押ししています。力学と運動学も、まず特殊相対論、さらにニュートン力学に一致すると強調しています。 そうでなくてはいけないのです。ニュートンの理論は、光速度より圧倒的に遅くて、重力の弱い(たとえば地球の重力程度)では、完璧と言っていいくらいに正確に成り立っています。 机から床に落ちしてしまったコップも、月へのロケットも、太陽系外へ送り出した探査船もニュートン力学通りです。まさか、そうなっていないと主張する理論が正しいとは、とても言えません。だから、どんな理論も「ニュートン力学に矛盾してませんよ。何か極端な場合に誤差があるようなので、それを修正してるだけですよ」と強調します。 特殊相対論も、今のところ、欠点を示すような有力な証拠は見つかっていません。むしろ、数々の実験から実用に至るまで、特殊相対論の計算通りと実証されています。ちなみに、一般相対論もかなり実証されています。ある日本の物理学者は「特殊相対論が100点満点のようだし、一般相対論は99点だろう」と評しています。 ただ、たとえば非常に高いエネルギー領域で特殊相対論が成り立たない可能性も示唆されています。光は波長が短いほど高エネルギーですが、物凄く波長の短い光の光速度は、これまでに観測してきた光より速いかもしれません。電子も物凄く「熱ければ」光速度を超えるかもしれません。 そうなったら、もしかすると特殊相対論の誤差を補正する理論が出るかもしれません。もちろん、それは普通の状況なら、今の特殊相対論が誤差が充分小さいとして成り立つような理論でしょうね。
お礼
ご回答ありがとうございます。 なるほど、物理学の理論はそういうものだったんですね。 勉強になります。
>そもそも、なんで相対性理論では光よりも速いものは無いってなっちゃったんですか? 既に亡くなったアルベルト・アインシュタイン博士へ問い合わせ下さい。 意外と近い将来、若き頃のアインシュタイン博士、ロックフェラーの御老人、ミレーヴァさんに会えるかも知れませんので。 >光速より速ければ、時間を逆行するとはどういうことか 光速、光速を超えても時間は戻りません。 光の速度に達し、ある事を行わなければ過去へ行けない。 固定観念から抜け出せない物理学者らは、目の前に大きな壁があり、そこで足踏みをしながら留まっている現状です。 ちなみに、危険な領域なので回答が出来ませんので、あしからず。
お礼
ご回答ありがとうございます。 生きてるうちにタイムマシンができると助かりますね。 いろいろとご都合がおありのようですが、 ご回答ありがとうございました。
- terhi
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すみません。NO.3です。 タキオンでは無く、ニュートリノの間違いです。 ちなみに、近いうちスーパーカミオカンデにて、再度検証がされるようです。
お礼
ご丁寧にありがとうございます。
- terhi
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相対性理論では、光速より早い粒子の存在を否定していますが、これはウラシマ効果と共に矛盾を含んでいます。 最近、タキオンが光速以上のスピードを出した事を観測されましたが、それ以前に、一般相対性理論で重力レンズ効果を予測していますが、それにより、すでに光速で移動している光が外から力を受けたらそれだけで光速を超えてしまいます。 >光速より速ければ、時間を逆行するとはどういうことか これも間違えだと思います。 これはウラシマ効果の事に関係してそう言っているのだと思いますが、相対性理論ではその様な事は言っていませんし、そもそもウラシマ効果の論理は、 ウラシマ効果 光速で移動する物体を仮定した場合、その物体内で移動する物が有ったらその物体は光速を超えてしまうので、一歩も動けず、また、とうぜん原子も陽子の周りを電子が回転する事も出来ず、止まってしまう。 よって、光速で移動する物体の外で、光速で移動する物体の中を観測すると時間が停止してしまっている。 と言う物で、出発点は光速より早い物は無い、と言う事からなので、それが崩れれば成立しないと思います。
お礼
ご回答ありがとうございます。 光より速ければ時間を逆行できるというのは、やはり間違いみたいですね。 勉強になります。
- nananotanu
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ある物質をどんどん加速しても(質量が増えるから)光速以上に加速できない、ってだけで、元もと光速より大きな速度を持ってる物質が存在しても相対論には抵触しないのでは?
お礼
ご回答ありがとうございます。 そうなんですか? 詳しくないのでよくわからないのですが、、、
- eatern27
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相対論の枠組みで超光速粒子の存在(より一般には超光速で情報伝達する手段の存在)を仮定すると、 この超光速粒子を上手く使う事で過去(の自分)に情報を送る事ができます(従って因果律が破れます)。 因果律の破れは素朴には受け入れる事ができないので、因果律を破らないですむように、超光速粒子の存在が否定されています。
お礼
ご回答ありがとうございます。 矛盾が起こるから、そんなことは起こりえないということですか。 そもそも超光速粒子があれば過去に情報を送れる、というのは正しいんでしょうかね。
お礼
ご回答ありがとうございます。 ご丁寧な回答ありがとうございました。 やっぱり難しかったですが、わかりやすかったです。 ご回答を読ませていただいた限り、 特殊相対性理論は、今のところ矛盾が無かっただけで、 証明されたわけではないように思うのですが、気のせいでしょうか。 やっぱり難しいですね。 じっくり理解していけたらと思います。 あいがとうございました。