加害者(当たり屋?)の行為が詐欺という不法行為にあたるかが不明であったということですね。
つまり,不法行為の加害者が誰かと損害の発生の認識はあったが,不法行為による損害賠償請求権を行使できることの認識がなかったということです。
このような場合については,民法の条文には明記されていないし,同様の事例の判例も知りませんが,たとえば,熊本地裁昭和48年3月20日判決は,水俣病の原因が被告の排出した水銀であることが,訴訟の可能な程度まで明らかになっていない場合について時効の進行を否定し,最高裁昭和46年7月23日判決は,離婚の際の有責配偶者に対する慰謝料請求権は,判決などで離婚が成立した時に初めて損害および加害者を知ったことになるとしています。また最高裁平成14年1月29日判決は,時効の進行に必要な損害の発生の認識については,損害発生の可能性の認識ではなく「現実の認識」が必要としています。加害者についても同様の判例があります(最高裁昭和48年11月16日判決)。
つまり,裁判所は,損害賠償請求権の消滅時効の進行に必要な加害者・ついて,かなり確定的な認識を必要としており,これは,被害者保護の観点からであると思われます。
質問者様の場合,専門家でない質問者様が「当たり屋」行為の確定的認識を当初から持つことは困難であると思われますから,不法行為による損害賠償請求権を行使できることの現実の認識を持つに至った「車の傷跡から人身になる事はあり得ないことが判明」した時点から損害賠償請求権の消滅時効が進行すると考えてよいのではないでしょうか。
以上のようなことを念頭において,専門家に相談されるとよいと思います。
お礼
非常に専門的で正確なご解答ありがとうございます。