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「質量」という言葉の由来を教えてください。
ふと、英語での"mass"を表す日本語が「質量」であることを不思議に思いました。 「質量」という日本語に込められた意味を知りたいです。 可能であれば語源も合わせて知りたいです。 (どこの国の言葉を訳したものなのか、等々) よろしくお願いします。
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質量という言葉の発端は、やはりニュートンですね。 物体の運動を調べるのがニュートンの動力学ですが、位置と並んで物体の性質としてもっとも基本的な量として質量があります。それの語源としては、ニュートンの「プリンキピア」の冒頭に、「定義 I:物質量(← quantitas materie)とは、物質の密度と大きさ(体積)をかけて得られる物質の測度である」という、定義が記載されています(こういう翻訳があったわけですね)。 ただし、密度の定義がないので、実はこれでは物理学としては、不十分なんですね。しかし、ここに質量が「物質量」の「物」を省略した短縮形という、一つの起源にはなっています。ニュートンは終生イギリスにいましたが、当時はどうもラテン語で書いていたようですね。こちらはラテン語由来ということでいいんじゃないかと思います。 このニュートンの考えを整理し、解析学を使って現在の力学の基礎をまとめ直したのがL. オイラーです。彼の、質量の定義としては、「すべて物体には、もっている速度をそのまま保とうとする性質があり、これを慣性というが、その大小がこの物体の『実質の量』の大小を表すと考えてそれを質量と呼ぶ」ということになっています(これもそういう翻訳があったということですね)。 こちらからは、実質量から翻訳者により質量という言葉が出てきているわけです。「実」を省略した短縮形というもう一つの語源なのか、ニュートンの先例訳語に習ったか、それは分かりませんが、定義が明確である以上、こちらも語源候補といえます。 オイラーはスイス生まれですが、ロシアで研究活動をしており、原文は、さすがにラテン語なないと思いますが、英語かロシア語か、それともどちらもなのか、ちょっと私では分かりませんでした。 はっきりしたことは私では分かりませんが、おそらくは上記二つの共通する「質量」という訳語を採用する日本人学者が多くなり、現在に至っているのではないかと思います。 ちなみに、英語のmassの語源は、古代ギリシャ語maza。これは大麦をこねて作った菓子が元の意味で、かたまりの意味も表すようになり、ラテン語を経由して英語に入り、massになりました。ですのでmassは、語源の「かたまり」の意味をも持っています。
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- saisho_wa_goo
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純粋に物理の問題としての疑問ですよね? 物理カテですから。 もう少し具体的に、何を不思議に感じておられるのかを説明したほうがよろしいかと思います。 物理も英語も疎いですが、私は物理用語として質量という用語は適切に感じます。 万有引力の原因とか、核反応での取り出せ得るエネルギー量とか、物質本来の物の多さ、量(かさ)を表す用語ですから、"質量" で違和感は感じませんし、適切と思えてしまいます。 あえて言えば、"重さ" という単語を物理用語(科学用語)として使うことのほうが混乱の元のように感じます。地球表面での地球との引力の大きさを表す用語は "重力" で統一し、"重さ" や "重い" は日常生活の会話だけにして科学用語としては禁止しても良いんじゃないかと思います。 日常生活での "重い" は自然な感覚だと思いますが、物理で "重い" がへんかと。 英語の mass も同じような問題が有るんじゃないんでしょうか? (英語は知りませんが)
お礼
とても丁寧なご回答ありがとうございます。 私の疑問点はなぜ「質」「量」という言葉の組み合わせがこの概念を表しているのか、と言う点でした。説明が足りず申し訳ありません。併せて、日本でこの言葉が生まれた背景や概念自体の起源も知りたかったのです。 物理の問題としての疑問というよりは、物理用語の外来語の(国語の)問題としての疑問でした。 しかし、saisho_wa_goo様のご回答で「物質本来の量」という言葉があり、成る程「物質量」を略して「質量」という語なのか、と発見しました。とすれば、「物質」という言葉がどのように発生したのかが気になります。 質問文が不十分で申し訳ありませんでした。もしよろしければ、重ねてのご回答をお待ちしております。
- sanori
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以下のサイトによると、 "Law of Mass Action"(質量作用の法則)の の"Mass"を「質量」と訳してしまったのが元とのことです。 http://d.hatena.ne.jp/twin_paradox/20081112
お礼
私の知らないサイトをご紹介してくださり有難うございます。 ですがこれは、文脈的に「『質量作用の法則』の『質量』の語は法則の性質的に不適切であり、典型的な誤訳の一例である」という文章だと思います。よって今回の質問の意図と合致する回答ではないと判断致しました。 引き続き回答をお待ちしております。
お礼
おお、丁寧で素晴らしい回答を有難うございます。 今回私の知りたかった事が全て判明致しました。 物質量、実質量の略語形として質量という語が定着したのではないかという考察、私には大変真実味があるように感じられました。 英語のmassはまた別の由来で宛がわれた訳語だったという事も、大変勉強になりました。私は概念の発見者が提唱した語句が専門用語になっていく、というような思い込みをもっておりました。 すっきり致しました。重ねて御礼申し上げます。