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電磁気的現象もニュートン力学の一つなのでしょうか。

  フレミングの法則やレンツの法則、磁性体のヒシテリシスなどの電磁気的現象もニュートン力学により説明できているのでしょうか。  

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noname#221368
noname#221368
回答No.3

 一つ前のご質問にも関連すると思いますが、物理理論は、概ね5つの分野に分かれます。   (1)力学   (2)力の理論(場の理論)   (3)物性論   (4)時空間の理論(相対性理論など)   (5)宇宙論  (1)の代表はニュートン力学ですが、純粋な力学は力の起源や作用機構を問いません。力は力学とは別途与えられたものとして、力が作用した物体や物質の挙動を計算します。F=maのFは、力学の範囲外というのが、純粋な力学の立場です。  Fを与えるのが(2)です。一般にニュートン力学と言われる体系の中には、(2)が万有引力の法則という形で含まれます。  (3)については、ニュートンは原子論者だったので、物質は万有引力を満たす微粒子の集まりである、という形でニュートン力学の中に出てきます。  (4)は、絶対時空間の考えに基づいた常識的なガリレイ変換が、ニュートン力学では仮定されます。  (5)については、ニュートンはその力学(純粋でない)を、万物理論という位置づけで考えていました。宇宙論は、(1)~(4)全ての帰結でなければなりませんが、ニュートンの物理モデルは単純だったので、それらを一つのニュートン力学という範疇でくくる事ができました。逆に言えば、ニュートン力学の中で(1)~(5)は未分化だった訳ですが、そのために当時の技術レベルでは万物理論と成り得ましたし、少なくとも太陽系の惑星運行を予想するという、当時としては夢のような結果をもたらします。当時の宇宙の限界は太陽系でした。  言いたかったのは、以上のような歴史的経緯から、力学という言葉に対する、けっこう大きな誤解があるのではないか?、という事です。  (2)~(5)は、その後自立して行きます。まず(4)と(5)を自立させたのは、間違いなくアインシュタインです。  (3)の原形が化学理論であるのは明らかですが、化学理論は次第に力学的結果を取り込んで、原子構造の研究に向かいます。ニュートン力学に取り込めない物理現象として残されていたのが化学分野だった、というのが前世紀初頭の実情です。前世紀初頭の原子物理学者の多くは、じつは化学畑出身で、そこに(純粋な)力学や電磁気学(場の理論)を適用します。  力学や場の理論が化学に取り込まれたという事は、それらの境界線が曖昧になる事でもあります。そうして出来上がったのが、物性論です。  量子力学は物性論が出来上がる過程で、純粋な力学として生まれました。何故なら量子力学における運動方程式は、シュレーディンガー方程式に変わりましたが、力は力の理論に頼っていて(まだ場の理論はありませんでした)、力の理論は物性論に頼っていたからです。何故だかわからないが、物性論によれば、こういう力が原子構造により発生しているはずだ、というのが前世紀初頭の状態でした。  そこを突破しようとして出た結果が、場の理論です。そこでは力(力の理論)も物質(物性論)もその結果(力学)も、見分けが付かなくなります。当然、相対性理論(時空間の理論)の結果も取り込み、いまや力,物質,運動,時間,空間の境界は曖昧です。こうなるまでには、約100年を要しましたが、物理の究極の目標が万物理論であるならば、この方向は間違っていないと思います。  で、電磁現象ですが19世紀に、電磁現象を(純粋な)力学現象として説明できないか?、という議論がさんざんなされ、惨々な結果で終わったために、電磁現象は力学的現象でないと考えるのが妥当だ、という結論になります。そうして電磁場は、史上初の純粋な場の理論として認められます。  電磁場は、見ることも触れることもできないが、力学に従わないMaxwell方程式に従う物理的実在だ、という地点に落ち着きます。実際に電磁場の慣性(質量)は、原理的には測定可能です。  しかしだからと言って、電磁場は電子なしには発生しません。磁場は電流(電子の運動)なしには発生しないからです。電場も電荷(電子)なしには発生しないからです。つまり電磁気学も、物性論の一部を取り込んでいるんですよ。そうやって一旦発生した電磁場は、電子がなくても空間を伝播して行けると、言っているだけです。  電磁気学は、史上初の純粋な場の(電荷に働く力の)理論として認められましたが、力には必ず力の起源である発生源が必要です。その意味で、(1)~(5)は切り離せないものだと思います。

volter555
質問者

お礼

  >しかしだからと言って、電磁場は電子なしには発生しません。磁場は電流(電子の運動)なしには発生しないからです。電場も電荷(電子)なしには発生しないからです。つまり電磁気学も、物性論の一部を取り込んでいるんですよ。そうやって一旦発生した電磁場は、電子がなくても空間を伝播して行けると、言っているだけです。 この辺り非常に捉え難いのですが、以下のように理解しました。 1.電磁場とは電場と磁場を対にしたもの。 2.電場は180度の位相差を伴い磁場を生み、磁場は180度の位相差を伴い電場を生むので、電場と磁場は切り離せない。 3.直流は電磁場を発生しないが、交流で周波数を上げてゆくと次第に電磁場になり、一旦発生した電磁場は、その発生源である交流を切っても伝播し続ける。 4.一旦発生した電磁場は電子を必要とせず、真空中でも永遠に伝播し続ける。

volter555
質問者

補足

  詳しくご説明頂き、有難うございます。

その他の回答 (4)

回答No.5

確かに、あらゆる物質を構成する素粒子の初期位置と初期速度を、 超大容量のコンピュータに入力してニュートン力学に基づいて計算すれば 電磁気的現象を含めた全ての物理事象を説明できそうな気がします。 19世紀まではそう信じられていました(機械論的唯物論)。 ところが、自然はそうした単純な形にはなっていませんでした。 まず、ニュートン力学の範疇にある全ての物理方程式は、ガリレイ変換によって式の形が変わらない(=ガリレイ変換に共変である)という共通の特徴がありますが、 電磁気学に現れる方程式は、ガリレイ変換において共変ではありません。 例えば、電磁波の波動方程式は光速cという定数が含まれているため、ガリレイ変換によって速度cの値が変わるはずで、つまり式の形が変わってしまいます。 電磁気学は、ガリレイ変換でなくローレンツ変換に共変な論理構造をしており、その誕生の当初からニュートン力学に矛盾し相対論に合致していたことが後にわかりました。 また、非常に微視的な状況では、粒子の位置と速度を同時に決定できないということが実験から明らかになります。粒子は雲のように空間に広がっており、私たちが見つけた瞬間にそこに存在する、といったような奇妙な確率的振る舞いをすることがわかりました。ですからニュートン力学の計算に必要な初期位置と初期速度を検出することが、原理上できません。 結論として、速度やエネルギーが非常に大きい場合や、とてもミクロなスケールの系の場合には、ニュートン力学の誤差は大きくなるので、それだけで森羅万象を説明することはできないことがわかっています。電磁気学の現象についても同じことが言えます。

回答No.4

電磁気学は「実験結果をまとめて法則性を示したもの」なので ニュートン力学以外の 「相対性理論的な効果(時間や空間の伸縮)」「量子力学的な効果(物体の波としての性質)」 など全部ひっくるめて測定した結果が、式に現れてきます。 なので、「ニュートン力学以外の効果」が強く出てくる現象に対してニュートン力学で予想を立てて計算しても実験結果と食い違うことになります。(一部の現象はニュートン力学でも説明できます。) 因みに磁場関連は「相対性理論的効果」の範疇です。 電磁気学を学ぶに当たって、これを力学で説明できないのかと思うのは当然の発想かと思いますが おそらく頭こんがらがって学習の妨げになること必至なのであまりお勧めしません。 「物性論」と名のつく本を開けば質問者さんが知りたいことの大抵は書いてあるかと思いますが、 かなり深い知識を要求されますので難しいかもしれません。 それといくつかコメントを <もし電流が生成する電力が電子の運動エネルギーによって説明できれば、電磁気学はニュートン力学なのではないでしょうか。 一部の現象に関しては説明できますが、だからと言って「電磁気学はニュートン力学」といえるわけではないですね。 <今井功「電磁気学を考える」、この本気になります。 僕からは以下の本をおすすめしときます。 高校卒業程度の知識で全部読めて、説明文も平坦かつ親切です。 物理学の基礎[3] 電磁気学 http://www.amazon.co.jp/%E7%89%A9%E7%90%86%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E-3-%E9%9B%BB%E7%A3%81%E6%B0%97%E5%AD%A6-D-%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%83%87%E3%82%A3/dp/4563022578 <マックスウェル方程式は,電磁波を説明するためのものであり、導体を流れる電流の説明には使えないのですね。 いえ、電磁波だろうが電流だろうが使えます。

  • FT56F001
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回答No.2

> もし電流が生成する電力が電子の運動エネルギーによって説明できれば、 > 電磁気学はニュートン力学なのではないでしょうか。 電子の運動(の一部)は,ニュートン力学の範囲で説明できる。くらいでしょう。 電磁気学の真髄はマックスウェル方程式にまとめられます。 マックスウェル方程式の登場人物は電界と磁界です。 マックスウェル方程式は,真空,すなわち電子すらない空間を, 電界と磁界が絡み合って影響しながら広がる世界を表しています。 マックスウェル方程式には,電子や電子に働く力 は出てきません。 「真空中を電磁波が光速で伝わる理由」は, 「電子の運動をニュートン力学で表す」ストーリでは説明できないように思います。

volter555
質問者

お礼

  >マックスウェル方程式は,真空,すなわち電子すらない空間を, 電界と磁界が絡み合って影響しながら広がる世界を表しています。 電磁波には電子は必要ない、 電子が無くても電界や磁界は発生する、 のですね。 マックスウェル方程式は,電磁波を説明するためのものであり、導体を流れる電流の説明には使えないのですね。  

  • FT56F001
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回答No.1

ニュートン力学という言葉をどの範囲で使うか,ですね。 調べればどこかに定義があるかもしれませんが,以下,回答者個人の感覚です。 [狭い意味のニュートン力学] ・質点の力学F=ma,運動量,運動エネルギー,位置エネルギー,弾性エネルギー ・剛体の力学,力のモーメント(トルク),角運動量 ・万有引力,重力場,保存場 + 解析力学(以上の数学的整理) [広い意味のニュートン力学]; 上の力学から演繹的に導ける力学 流体力学,材料力学,構造力学,天体力学 ただし,材料力学はマクロに見ている間は力学ですが, ミクロに見ると物性論から量子力学につながるので, ニュートン力学からはみ出てしまいます。 [ニュートン力学に含まれない古典物理] ・電磁気学 ・熱力学 電磁気学は,力学に含まれない電気・磁気現象を扱うので,ニュートン力学とは言わないと思います。 なお,流体力学に近い考え方で電気力線などを見直して,電磁気の体系を整理しなおそう, という試みはあります(今井功「電磁気学を考える」)。面白い試みですが,まだ電磁気の主流ではないです。 また,電磁気学の一部には,相対論的な考え方をしないと説明しきれない部分があるようです。 http://okwave.jp/qa/q6998756.html [ニュートン力学に含まれない現代物理(近代物理?)] ・量子力学,物性論,核物理 ・相対性理論 ..

volter555
質問者

お礼

>電磁気学は,力学に含まれない電気・磁気現象を扱うので,ニュートン力学とは言わないと思います。  電流とは、電子の運動であると説明されています。 電子には質量があり、その運動には速度があります。 もし電流が生成する電力が電子の運動エネルギーによって説明できれば、電磁気学はニュートン力学なのではないでしょうか。

volter555
質問者

補足

  >なお,流体力学に近い考え方で電気力線などを見直して,電磁気の体系を整理しなおそう, という試みはあります(今井功「電磁気学を考える」)。 今井功「電磁気学を考える」、この本気になります。 一度読んでみようかと思います。  

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