アースの話
アース(接地工事)の話をそんなに電気の事を詳しくない(例えば工事現場の職方さん)などに説明したいのですが、色々見ながら纏めてみています。ご一読の上ご意見お聞かせください。
アースの話
人に電流が流れ衝撃を受けることを感電といいます。感電による直接の被害は、感電による不快感・痛みや、身体を通過する電流により神経系統が麻痺することによる筋肉の振動や心臓麻痺や呼吸停止などです。 高圧の場合は、この他に接触によるアーク熱やジュール熱による火傷が加わります。そしてそれらは人体の中の通電経路、電流の種類(交流か直流)、通電の時間と電流の大きさ、体質やそのときの健康状態などによって違ってきます。
人体の通過電流と症状及び生理作用は
(1)1~2mA:ビリっと感じる程度
(2)2~8mA:我慢できるが苦痛を感じる
(3)8~15mA:安全に自力で接触した電源から離れられる最大限度の電流
(4)15~50mA:筋肉が収縮し自由を失う。電線は離せず、心臓の鼓動が不規則、相当危険な状態になり死亡することがある。安全限界。
(5)50~100mA:心臓の機能が失われ、例え電源から離れても数分以内で死亡する。
(6)100~3000mA:失神、血圧上昇、心室細動の発生、心拍停止が現れ死亡する。
とこのような関係になっていて,そこで電流から人体を保護する目的で現場などの仮設分電盤には漏電遮断器30mA定格感度電流で0.1秒でトリップする漏電遮断器が取り付けられていますが、これが人体保護ぎりぎりの電流値です。
そこで重要になってくるのがアース(接地工事)の役目です。アースは、漏電によっておきる感電や火災事故をを防ぐためのもので、非常に大切な役目があります。例えば電気洗濯機を例にとると、電気が漏れないようにすべて絶縁物で保護されていて、通常はケースのどこに触っても感電することは全くありません。しかし電気回路の絶縁性能が悪くなって金属製のケースへ電気が漏れ、その時にぬれた手で触ると大変な事になります。漏れた電気は、金属製のケースから人体を通って床から大地へ流れます。これが危険な感電です。この時危険から人命を守るのが、アースです。アースが取り付けてあると、漏れた電流の殆どがアースを通して大地に流れ、人体を通る電気は少なくなるので、重大な危険を避ける事ができます。
配線に漏電遮断器が取り付けてあると、アースを通って大地に流れる電流を感知して、瞬間に自動的に配線の電気を切ってしまいます。アースは、漏電遮断器をすばやく動作させるためにも必要なのです。
ここで接地工事を省略出来る場合をご説明致します。
(1)交流対地電圧150V以下の電気機械機器を乾燥した場所に施設する場合。。
(2)低圧用の電気機械機器を乾燥した木製の床、その他これに類する絶縁性の物の上で取り扱うように施設する場合。
(3)電気機械機器を人が触るおそれのないように、木製の架台などの上に施設する場合。
(4)鉄台または外箱の周囲に適当な絶縁台を設ける場合。
(5)外箱のない計器用変成器がゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆する場合。
(6)電気用品保安法の適用を受ける二重絶縁構造の機械機器を施設する場合。
(7)低圧用の電気機械機器に電気を供給する電路の電源側に絶縁変圧器を施設し、かつ、当該絶縁変圧器の負荷側の電路を接地しない場合。
(8)乾燥した場所に施設する低圧用の電気機械機器の電路に電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器を施設する場合。
これらの様な場合は人体が感電する危険性も低いと考えられていることからアースを省
略する事ができます。
アースは電気設備の中でも地味な存在ですがもっとも重量な設備の一つですので面倒
がらずに必ずアースを接続するようにお願い致します。
又、漏電遮断器とアースによって感電や火災から守られているわけですが、忘れてなら
ないのがこれら電気機械器具等の使用前点検で、
(1)電動工具・電動溶接機等の持ち込み時の点検。
(2)溶接棒等のホルダーは絶縁防護部分びホルダー用ケーブルの接続部の損傷の有無。
(3)交流アーク溶接機自動電撃防止装置の作動状態。
(4)感電防止用漏電遮断器の作動状態。
(5)移動電線及びこれに付属する接続機器の被覆又は外装の損傷の有無。
(6)検電器具の検電性能。
(7)短絡接地器具の取り付金具及び接地銅線の損傷の有無。
(8)絶縁用保護具のひび割れ、
(9)破れその他損傷の有無及び乾燥状態。
(10)電気機械器具の囲い等の点検などがあります。
この様に漏電遮断器の取付・アースの取付・機器の使用前点検を行うことによって電気
による感電と火災から私たちの職場も家庭も守って行きましょう。
お礼
早速に回答頂き、有難う御座います。 もう少し、質問させて下さい。電流の流れとしては、トランス二次側の非接地相~パンタグラフ~電車のモーター~線路~トランス二次側接地相という閉回路を構成することになりますが、架線の碍子より漏れた電流は上記閉回路と並列の回路を構成し、同じ接地相に帰るので問題ないということでしょうか。 つまり、トランス二次側には非接地相と接地相の2線しか出ていなく、病院などで使う(アース線無しの)絶縁トランスと同じと考えれば良いのでしょうか。
補足
この質問を見られた方、及び回答いただいたmisawajpさんに深くお詫び申し上げます。本日現場を散歩した時よく見れば、私の質問は間違っていました。 電車の給電線は一本であり、回答者の言われるとおり線路(大地)を通って帰っているものと思われます。 4個吊下がった懸垂碍子でジージーと漏電していたのは、3相張ってあり、その山形鉄柱の天辺には架空地線が張ってあるようでした。そしてこの3相の2相よりトランスで降圧して信号灯や遮断機の制御をしているようです。 したがって、漏電は交流3相の高圧側で発生していると思われます。 改めて、質問いたしますが、九州では高圧は非接地系と聞いていますがこの高圧の漏れ電流はどこえ行ってるのでしょうか。お解かりの方がいらしたら、教えていただけないでしょうか。