酒やタバコを規制する法律はありませんでしたが、地域によって様々な規制がありました。
日本の庶民は都会でも地方でも自治組織が原則であり、武士階級の決めた法律が適用されるものの、漁村と農村では守るべきルールも変わってくるため、自主的な自治組織を作って村々で治めていました。
このような自治を行っているグループを惣(ソウ)とか惣村と呼んでいたのです。
この中に特に男子については、一定年齢(地域によって異なるが大体10歳から15歳ぐらい)になると若衆宿とか若衆組と呼ばれる集団に所属し、親の管理を離れて若衆組のリーダーの指示に従って集団生活と仕事を覚えていくことになっていました。
地域によって差がありますが、実家を離れて集団生活をするところや、実家に住んでいるものの朝ごはんを食べたら若衆組だけで様々な仕事を行ったり、と親や大人(若衆組を卒業して、村の一員になった者)とは別の規範で生活をしており、祭りの仕切りや消防活動、非常時の力仕事などを集団で行っていました。
この若衆組に入ると夜の会合などで酒が飲めるようになります。もちろん15歳ですぐに飲ませてもらえるわけではなく、リーダーが管理しながら先輩にお酌するなどして段々に酒の世界になれていったようです。
この若衆に入るまでは、酒を飲ませることはありません。それは「子供」だからです。
昔の日本は「子供」「若衆」「大人」に分かれており、女性は「子供」「娘」「妻(母)」という形で大人になっていきました。
年齢制限はありませんでしたが、ルールはあったのです。