• ベストアンサー

失踪宣告

失踪宣告について勉強しています。 そこで利害関係人とあるんですが、判例では『法律上の利害関係人を指し、単なる債権者など、事実上の利害関係人は含まれない』とありました。 事実上の利害関係とはなんですか?? 債権者は法律上の利害関係人ではないのでしょうか(;_;)

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
回答No.1

これ失踪宣告の申立権者の話ですよね?違ってたら話がまた別ですがそういう前提にしておきます。 これは非常に難しいです。 失踪宣告に限らず、法律上の利害と事実上の利害の区別が問題になることはしょっちゅうありますが、絶対的にこれと言った基準はないと思ってよいです。事実上の利害というのは法律的に保護すべき利害ではないという程度の意味だと思えばいいです。つまり、究極的に裁判所が裁判をもって解決を図ることが必要な利害ではないということです。 条文に書いてあれば確実に法律上の利害関係があります。また、書いていなくても、ある法律効果を法律要件として成り立つ法律関係についてはほぼ間違いなく法律上の利害関係があります(失踪宣告における配偶者は、失踪宣告により死亡が犠牲される結果、婚姻関係が解消し再婚が可能になるなどの利害関係がありますが、婚姻を解消しないと再婚ができないというのは法律で決まっていることなのですから、これは法律上の利害関係というわけです。)。 しかし、ある法律効果が要件となるわけではないが、その効果の存在が別の法律関係に影響する、もう少し言えば、一定の法律効果の存在が別の法律関係の基礎となる事実関係に影響するという場合は、非常に問題です。というか、これがまさに限界事例なわけですが。 そこで対症療法としては、限界事例を憶えるしかないわけですが、限界事例を幾つか憶えると、感覚的におぼろげな区別基準が掴めます。割と判例がよくやる手法ですが、先に基準ありきで演繹的に答えを出すのではなく、問題となった事例ごとに個別の判断を行いその判断の集積から一定の基準を帰納的に導き出すという発想だと思えばよいです(刑法の因果関係論なんて典型的にこの手法です。)。千差万別な社会現象を単純に頭の中だけで考えて答えを出すのは無理だってことですね。 初めは対症療法的な手法でも、それを繰り返してそこからだんだん輪郭が見えてくるというやり方は、学習においても一定程度は必要です。もっとも対症療法だけで終わると、応用の利かない役立たずな知識で終わってしまいますけどね(このサイトでもよく見ますし他のサイトでも一般社会でもよく見ますね、そういう人。試験の場合にはとにかく憶えろとか言う人。そういう人はまず確実に応用が利かないし、理屈を考えないから理屈倒れにすらならない。正直言うと、頭悪いと言わざるを得ないです。なお、理屈が付かないから「仕方がないので当面はとりあえず」憶えるというのは話が違いますよ。「とにかく」ではなくて「とりあえず」なんです。)。 以下は、私の個人的な理解なので、判例通説が同様に考えているというわけではありませんが、大体こんな感じで捉えておけば十分じゃないかと思います。 さて、債権者ってどうでしょう?債権者は失踪宣告を要件とした何らかの法律関係がありますか?ないでしょう? 確かに債務者が失踪していると弁済が受けられない。 そこで失踪宣告をして相続を開始させれば相続人から弁済を受けられる。 なるほど、確かに失踪宣告を前提として相続人との関係で一定の法律関係がありそうな感じではあります。 でもそれって「法律上の」利害関係とまで言えますか? 法律的には債務者が失踪していても請求は可能ですし、強制執行も不可能じゃないでしょう?相続人から弁済を受けなければならない必要性なんてありません。法律が保護するのはあくまでも「弁済義務者から弁済を受けられる」ということに尽きるのであって、元々弁済義務のない推定相続人を強制的に相続人にして弁済義務を負わせることまで認めているとは到底言えません。 すると、債権者保護のために死亡を擬制することが法律上必要とは全然言えないのでして、それならば失踪宣告によって死亡を擬制することで債権者が得られる利益があるとしても、それはやはり事実上のものに過ぎず、法律をもって実現すべき利益とは言えないわけです。

関連するQ&A