if newer and duller
Neil Gaimanの著書「The Graveyard Book」を読んでいて意味がわからない箇所があったので質問します.
以下は145ページの本文です.
Bod had never walked anywhere as a sightseer before. He had forgotten the prohibitions on leaving the graveyard, forgotten that tonight in the graveyard on the hill the dead were no longer in their places; all that he thought of was the Old Town, and he trotted through it down to the municipal gardens in front of the old town hall, which was now a museum and tourist information centre, the town hall itself having moved into much more imposing, if newer and duller, offices halfway across the city.
上の文中のif newer and dullerはどういう意味ですか?
(試訳)
ボドは観光目的で外を歩いたことが一度もなかった.墓地を離れてはいけないという決まりや〔注1〕.今夜丘の墓地から死者たちがいなくなったことは忘れていた〔柱2〕.ボドの頭の中は旧市街のことでいっぱいだったので,トコトコと市内を歩いて,旧市庁舎前の公共広場まで来た.今ではこの建物は博物館兼観光案内所になっていて,市庁舎そのものは市内の中ほどにある,もっと立派な建物へ移った〔注3〕.
注1;主人公のボドは赤ん坊のとき家族を殺人鬼に殺され,運良く自分だけ墓地の幽霊たちに助けられました.墓地の外では,まだ殺人鬼がボドを捜しているので,出てはいけないことになっています.
注2:この日,墓地の幽霊たちは何も言わずにボドを置いてどこかへ出かけています.
注3:この箇所は,if newer and dullerだけ訳してません.
お礼
(続き) >ピンチョンについて…… 三十年来のneil2112さんには及びもつきませんが、わたしも五年ほどまえに初めて『競売……』を読んで以来、ずっと敬愛しています。 専門が、魅力的な女性なのだけれど、世界観からいけばごく限られた戯曲家/作家なので、どうかすると息が詰まりそうになるんです。そういうとき、頭の体操と脳みそに新鮮な空気を入れるために、もってこいなんですね。 ピンチョンの作品をわたしは、解釈するのではなく、理解したい、と思っています。圧倒的な情報を楽しみ、ひとつひとつ味わい、かつそれがひとつに収斂していく技に驚嘆する、という読み方をしているんです。 まだほかにもわからないことはいくつもあるのですが、ジグソーパズルのピースを埋めていくように、少しずつ理解していけたら、と思っています。 今回、質問することで「49はこういうことだったのか」という直接の理解はできなかったけれど、これを足場にいままで知らなかった世界を垣間見ることができたように思います。 「啓蒙」って英語ではenlightenmentですよね。仏教ではこれを「悟り」と訳す。おもしろいです。確かに、なにかがわかっていく瞬間、って、光が当たるような気がしますものね。 お答えいただいて、ほんとうにうれしかったです。どうもありがとうございました。
補足
字数制限にかかってしまいましたのでこの欄を使用させていただきます。 ご回答ありがとうございました。 なにしろ大乗仏教と小乗仏教の区別がかろうじてつくほどの知識しかなかったものですから、用語を調べてメモを取りつつ、少しずつ読み進んでいきました。 >「倶舎論」 これは“説一切有部”という教理を伝えるものである、と。「空」を説く仏教の中では確かに異端の存在ですね。ただ、こうした異端さえもがそれなりに広範な伝播力を持つというのは、仏教が、「唯一の絶対神」を措定したキリスト教とは異なり、釈迦の宗教ではなく「仏の教え」「仏になる教え」を根本に据えたものだからなのでしょうか。 >道教の冥界思想 この間読んだチャイナタウンを舞台にした小説で、中国系アメリカ人が、なにかあると「冥界の十王」に話しかけるんです。なるほど「功過格」という素行調査があるんですね。確かに一週間ごとの裁き、と通底する思想ですね。日本の仏教、というか、生活に根付いた部分での仏教思想は、道教の影響を受けている部分が大きいような印象を受けました。 >死後と生前に7という数字が出る この考え方、すごくおもしろかったです。>人という動物の生態の変化を7日を単位として見る感覚があったのではないか、というご指摘の部分、これで説明できるような事例のいくつかが思い浮かびました。 >ユングについて…… ごめんなさい。ユングについては、“シンクロニシティ”の考え方にはすごく引かれてるんですけれど、「集合的無意識」や「元型」などいくつかの用語の理解に留まっている段階です。引用しておきながらこんなことを白状するのはずいぶん情けない話なんですが、『チベット死者の書の心理学』はこれから読みます!