- ベストアンサー
docomoの自社株買いの財務戦略について
docomoが数百億~数千億円単位の自社株買いを、長年に渡って行っていますが、 どういった財務上の戦略・メリットがあるのでしょうか? <参考URL> http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/personal/quick/05.html http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/stock/repurchase/index.html
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
自社株式取得の目的として、(1)企業価値最大化、(2)シグナリング効果、(3)フリーキャッシュフローの分配手段、(4)最適資本構成の達成手段、の四つが考えられます。 (敵対的買収に備えるという考え方もありますが、docomoがこれを目的としているとは考えにくいので割愛します) (1)企業価値最大化についてです 自己資本の利用は負債の利用に比べて、資金提供者がおうビジネスリスクが大きく、その分、支払利息より株主への配当金の方が高くつきます。 さらに、支払利息は法人税法上損金算入され節税に結びつきますが、配当金は節税にはなりません。 よって、自己資本をできる限り小さくしできる限り多くの負債を計上することが、企業価値最大化につながります。 このため、自社株式を購入しているのでしょう。 (2)シグナリング効果についてです これは、詳細な将来の収益計画を知り得る経営者とそれを知らない投資家の情報の非対称性から生じる効果です。 将来の詳細な収益計画を知り得る経営者が、その経営計画を考慮した場合に、自社の株式が過小に評価されていると判断した場合、その事実を市場に伝達することが目的です。 自社株買いによって、市場でのdocomoに対する収益予測が向上し、docomoの株価を上昇させることが目的でしょう。 (3)フリーキャッシュフローの分配手段についてです フリーキャッシュフロー(企業本来の営業活動から生じ、企業への資本拠出者に対して分配可能な状態にあるキャッシュフロー)が存在する場合、企業価値が目減りしてし合うため、自社株式を購入し自己資本を減額させ、(4)につながります。 (フリーキャッシュフローとは、正味現在価値が正となるすべての投資案に投資した後に残った部分を言い、企業には損をする投資案しか残されておらず、この資金を運用すると企業価値が目減りします) (4)最適資本構成の達成手段についてです 自社株式の取得と負債水準の変更により、最適資本構成(企業価値が最大となる自己資本と負債の構成割合)の達成を目的としているのでしょう。 負債の利用を増加させ、法人税の節税効果を利用して、株価の上昇を図っていると考えられます。 以上のような財務上の戦略があり、企業価値の向上や株価増大という効果があるものと考えられます。 また、上記に記載した戦略は経営学上の話であり、現実世界では自社株買いの効果が現れるのは時間がかかるため、数年に渡って自社株買いを行っているのでしょう。
お礼
ものすごく分かり易い説明です! あるサイトで「自社株買いは有利子負債の調達で行うのが良い」と書いてあった意味が分かりました。