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浸透圧の公式
浸透圧は温度一定の時は溶液の濃度に比例するのは分かりますが、どうして濃度一定の時は温度に比例するのでしょうか?
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- jamf0421
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温度依存性は潜在的には、溶媒、溶液の体積にも依存あるのですが、直接は溶質が溶けている溶媒の化学ポテンシャルが温度に依存するからです。 溶液相の圧力をP'、溶媒相の圧力をP"としますと、浸透圧は π=P'-P"...(1) です。あとは溶液を構成する溶媒と、純溶媒の化学ポテンシャルが等しい、という条件 μ1'=μ1"...(2) を使います。1と書いたのは溶媒成分の意味です。これから多少手間がかかります。圧力の影響を考えるために圧縮係数κの表現を使います。 κ=-(1/v)(∂v/∂P)_t...(3) つまり -κdP=dv/v です。κは考えている範囲で一定とし、P=0のときv=v(T,0)としてこの微分方程式を解けば v=v(T,0)exp(-κP) です。κPが十分小さいならば、exp(-κP)≒1-κPですから v=v(T,0)(1-κP)...(4) となります。これの成分の部分モル体積は vi=(∂μi°/∂P)_t...(5) です。ここで(4)を使うならば (∂μ°/∂P)_t=v(T,0)(1-κP) となります。これを積分すれば μ°=μ*(T)+v(T,0)P(1-(1/2)κP)...(6) これでやっと道具立てができたので、(2)の溶液相の溶媒と純溶媒の化学ポテンシャルを内容を書いて等値します。なおここで理想系(化学ポテンシャルがμi=μi°(T,P)+RTlnxiと書ける系)を考えます。 μ1*(T)+P'v1(T,0)(1-(1/2)κP')+RTlnx1=μ1*(T)+P"v1(T,0)(1-κP")...(7) ここでκは溶媒の圧縮率です。x1は溶液中の溶媒のモル分率です。v1(T,0)をv1と省略して書いて v1(P"-(1/2)κP"^2-P'+(1/2)κP'^2)=RTlnx1...(8) となります。 (8)の左辺の括弧()の中の部分は (P"-P')-(1/2)κ(P"^2-P'^2)=(P"-P')(1-(1/2)κ(P"+P')) となります。P"-P'=-π(浸透圧)です。また、これを(8)に入れたときv1(1-(1/2)κ(P"+P'))という項がでますが、これは(P"+P')/2という圧力下での純溶媒のモル体積と解釈できますのでこれをv°と書きます。すると(8)は -πv°=RTlnx1 となります。つまり π=-(RTlnx1)/v° であり、温度に依存しています。更にこの計算がそもそも希薄溶液を前提にしていますのでx1は1に近いです。逆に溶質のモル分率をx2とすれば、これの値は0に近いわけです。よって lnx1=ln(1-x2)=-x2 ですから π=RTx2/v° となります。この時浸透圧は溶質のモル分率に比例していることになります。