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“無記名債権は動産とみなす”ということが理解できません。アドバイスして
“無記名債権は動産とみなす”ということが理解できません。アドバイスして頂けないでしょうか? チケット(無記名債権の例として)は、もちろん有体物で“物”ですよね。“物”とくれば“物権”を連想してしまうのです。しかも、動産や不動産は物権の話ですよね?しかし、名は債権とついています。物が債権??頭がこんがらがっています。初歩的な質問で申し訳ないのですが、ご回答して頂きたいです。
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「無記名債権そのもの」と「無記名債権の存在を示すモノ」とは、理論的には別であることが理解できていないようですね。 まず、記名・無記名を問わず、債権が成立するためには、原則として、何らの物の作成も必要としないことをもう一度おさえておきましょう。売買契約書がなくても売買契約は成立しますから、売買契約に基づく売買代金請求権は、売買契約書がなくても成立していますよね。 つまり、映画館のチケットを例にとれば、理論的には、チケットという「物」が存在しなくても、映画館に対し、「映画を見ることを請求する債権」は成立しています。 もっとも、通常は、この「映画を見ることを請求する債権」の存在を示すモノして、「チケット」が発行されますが、チケットと債権とは厳密には別のものです。 ただし、そのチケットには、誰に発行したのかは記載されていません(まさに名前を記すことが無い債権です)から、、本来、「映画を見ることを請求する債権」の債権者は、映画館とそのような契約を結んだ人なわけですが、そのチケットを所持している人が、映画館と契約を結んだ人かどうか、すなわち、本当の意味で債権者かどうかは分かりませんよね。 この点が、記名債権の証書の所持者が、本当に債権者かどうかは氏名確認をすれば分かる記名債権とは異なる点です。 とはいえ、映画館としては、チケットの所持者が本当に債権者かどうかをいちいち確認するのは面倒ですし、チケットを譲り受けた人も、譲渡人が本当に債権者かどうかをいちいち確認するのも面倒です。 そのため、「無記名債権は動産とみなす」ことによって、処理を簡便にしているわけです。 ちなみに、「物」とくれば「物権」をどうしても連想してしまうのであれば、むしろ、記名債権を例に考えた方が、「記名債権」と「物」の違いはよくわかるでしょう。 たとえば、「AがBに対し、100万円を請求することができる債権」の証書(記名債権の典型例ですが、この証書だって立派な物です)を、Dが、Cから、平穏、公然、かつ、善意無過失で、売買によって購入したからといって、Dは、その証書にあらわされている「AがBに対し、100万円を請求することができる債権」を、民法192条に基づき、即時取得することはありえません。
お礼
ありがとうございました。親切・丁寧な説明で大変、分かりやすかったです。