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民法第397条(抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅)の適用の可否について
法律の勉強をしています。 某所に 「最高裁・昭和43.12.24 未登記の第三取得者には取得時効を認める。」 と記されているのですが、この趣旨が理解できません。 ここに挙げられた「最判昭43.12.24」とは、おそらく、 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=27542&hanreiKbn=01 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/0953C5190275574E49256A85003122EF.pdf のことだと思います。 判旨は理解しましたが、 「未登記の第三取得者には取得時効を認める」という解釈に及びません。 (執筆者に直接問い合わせるべきところなのですが、 以前に別件で執筆者宛にEメールを送ったものの音沙汰なく、 どうも執筆者への問い合わせシステムが機能していないようなので、 こちらに質問させていただきました。) よろしくお願いいたします。
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こんにちは 「第三者」が抵当不動産について、 時効取得の要件を満たした場合には397条の適用があって、 抵当権は消滅するが、 「第三取得者」の場合には、抵当不動産であることを知っていたか、 否かにかかわらず、397条の適用はなく、抵当権は消滅しない (大判昭15.8.12)とされていました なぜなら、第三取得者は抵当権の負担を覚悟すべき立場にあるため、 物上保証人に準じて扱っていいと解されているからです しかし、これが「未登記の第三取得者」であれば、 時効取得を認め、397条の適用があるとしたのが、 最高裁・昭和43.12.24の判例であって、 質問にあった文はこのことを意味していると思います (この理由については、お書きになったURL参照で・・・) なお、 「第三者」とは、所有権や地上権といった権利は有しないが、 事実上そこを占有しているものや、売買契約の取り消し、 向こうにより所有権を失った者などのこと 「第三取得者」とは、売買等によって所有権等を取得した者のこと 参考になれば幸いです
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>「最高裁・昭和43.12.24 未登記の第三取得者には取得時効を認める。」 ただ単に、その判例の事例が未登記の第三取得者について抵当不動産の時効取得を認めた事例だったってことでしょ。解釈も何も、実際にそういう事例だっただけの話だと思うよ。 内田民法にも載ってはいるんだけど、事例の詳細は書いていない。民集22巻13号3366頁を見れば判るんだろうけど、面倒臭いから推測だけで書く。だから真偽は保証しない。もしも真偽が知りたければ自分で民集22巻13号3366頁を見てみれば判るだろう。 内田民法の設例だと、どうやら、抵当権付き不動産を譲り受けたが登記名義を自己に変更していなかった第三取得者が時効主張した例みたいだね。 そこで、 1.当該土地が自己の物と過失無く信じて占有を開始すれば、仮に抵当権が付いていることを知り、または過失により知らなかったとしても、占有の開始時において善意且つ無過失の占有である。 2.占有を殊更に隠すような真似をしていない以上は、仮に執行官、競落人等が占有に気付かなくても公然でないことにはならない。 3.被上告人は未登記であったために、競売手続は抵当不動産の所有者を被上告人として行われたわけでもないし、被上告人に対して競売開始決定の通知もなかったのだから時効は中断しない。執行官の取調べをもって通知があったと見ることもできない。 とこう言って、時効完成を認めたわけだ。 ってわけで、「判例の事例はそういう事例だった」以上の答えはないんじゃないのかな。
お礼
VVandE3E3さん、またお世話になります。 昨晩、何がわたしの頭を悩ませたのか・・・今になってやっと認識できました。 「未登記の第三取得者に時効取得を認め『た』」という事実があることは理解できました。けれども、質問に挙げた「未登記の第三取得者には取得時効を認め『る』」という表現には、ひとつの法則性を提示するかのようなニュアンスがあって、”当該事件の判例だけからそこまで明言できるのがろうか”という疑念があったのです。 VVandE3E3さんのご回答を読んで、自分自身が投稿した質問の「趣旨」が今さらながらはっきりと認識できました。 >どうやら、抵当権付き不動産を譲り受けたが登記名義を自己に変更していなかった第三取得者が時効主張した例みたいだね。 これを教えていただけただけでも大助かりです。「判例検索システム」では原審の記録が把握できず、占有開始に至った経緯がわからなかったことも、わたしが頭を悩ませた理由のひとつです。 この度はご回答くださりありがとうございました。
お礼
こんばんは。お世話になります。 納得しました。 最判昭43.12.24(昭和41(オ)837)は、従来にはない新たな見解を示した判例だったということですね。 ted2010さんのご回答とVVandE3E3さんのご回答(回答番号No.1)を読んで、よく理解できました。 わたしなりの思考で、現時点では次のように解釈しています。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ●登記をもって権原の公示をした者は、特段の事情がなければ時効取得を援用する利益がなく、よって、特段の事情がなければ時効取得の援用は認められない。(ひいては、所有権の時効取得による抵当権の消滅も主張できない。) ●いっぽう、登記による権原の公示が未了の者は、時効取得を援用する利益があると認められ、したがってこれを援用することができる。(ひいては、所有権の時効取得による抵当権の消滅も主張できる。) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ↑まだ法を学び始めて半年も経たない未熟者の「自分勝手解釈」ですので、ツッコミどころも多々あろうかとは思いますが、お見逃しくださいますよう。 この度はご回答くださりありがとうございました。