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液晶ディスプレイの原理について
液晶テレビやパソコンのモニターの原理は、光が配向膜に並べられた液晶分子の向きしだいで偏光板を通るか決まるという、大体の構造は分かるのですが、もう少し詳しく教えてください。 液晶層に電圧をかけると光が通らないそうですが、そのときは画面に何も映らない、つまりテレビの電源を切った状態ですか? 配向膜と偏光板は前と後ろで垂直の関係になっているので電圧が0で光を通す際はどの方向にも同じ強度の光が当たるということですか? しかしこの光が通る場合と通らない場合は液晶分子がそろう両極端な例で、本当は電圧の調節で場所により液晶分子の向きはバラバラになりそれにより光の強度がピクセルごとに異なることでカラーフィルタに当たった時に異なる色を表現できるのですか?
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- sanori
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謝辞をありがとうございます。 >>>やはりバックライトを消さないと何かしらは映るのですね。 仕様表に「コントラスト 700」と書いてあれば、 全体黒のときに全体白(輝度最大)の700分の1の光が漏れます。 これは、真正面から見たときなので、斜めから見るともっと漏れます。 >>>電圧の大きさによっては分子が様々な向きになるようですが、場所によって輝度値も変わるので、当然場所によって分子の向き、各分子にかかる電圧は変わりますか? 「電圧の大きさによっては分子が様々な向きになる」の意味がわかりません。 しかし、おそらく、以下の説明でおわかりいただけると思います。 TNの場合だけについて書きますけれども、 ・電圧がフルにかかっているとき(黒表示のとき)には、全ての液晶分子が真っ直ぐに立って整列します。磁石の周りで砂鉄が、ヒゲ状に整列するのと似ています。 ・電圧がゼロのとき(白表示のとき)には、奥から手前まで全ての液晶分子が寝ていて、分子の向きが奥から手前まで滑らかにねじれています。つまり、電圧をかけていなくても、液晶分子の向きは同じではないのです。ただし、同じ深さにある液晶分子は同じ向きになっています。 ・中途半端な電圧(灰色)のときは、完全に立つでもなく完全に寝るでもなく中途半端な寝かた・立ち方・ねじれ方になります。ただし、同じ深さにある液晶分子は同じ向きになっています。 >>> そのためにはカラーフィルタの1ピクセルごとに細かく制御ができる回路が必要ですか。 解像度(画素数ともいいます)が1280×1024であれば、 (1280×3)×1024個 = 3840×1024個で、寸法比が 横:縦=1:3 の、縦に長細いドットがあり、 それぞれのドットに一つのコンデンサがあります。 そのコンデンサの誘電体が液晶なのです。 コンデンサにどれだけの電圧を蓄えるかで、誘電体である液晶分子の向きが決まります。 そして、コンデンサに電圧を出し入れする出入り口のスイッチがTFTです。 このような、TFTを用いた構成を「アクティブマトリクス」と言います。(TFTでないアクティブマトリクスもあるみたいですが。) DRAMと非常によく似ています。ほとんど同じと言ってよいぐらいです。 (ただし、液晶では中途半端な電圧を蓄えるという概念があるのに対し、DRAMでは1と0という概念しかないです。) 蓄えられた電圧の強弱で液晶の向きが変わります。 ここで液晶の向きが変わるまでの時間が問題となります。 これを「応答速度」と言います。「8ms」とか「6ms」とか言いますよね。 (「速度」という名前が付いているのに、単位はミリ秒だというのが変ですが。) これを改善するのが、液晶画面の技術の永遠のテーマみたいなものです。 最近のCMや広告で「倍速」とか「4倍速」というのを見かけますが、 小手先の技術なので、本質的にはあまり速くなっていません。 最たる原因は、液晶の粘性なのですから。 液晶テレビは応答速度が遅いので、たぶん、射撃系統のゲーム機は遊べないと思います。 (画面の一部が、目にも留まらぬ速さで点滅するのを銃口が受信・検出するという原理、つまり、テレビのリモコンとは逆の原理になっていると思います。) 以下、余談です。 アクティブマトリクスではない液晶としてパッシブマトリクス液晶というのもありまして、その代表選手はSTN方式です。 折りたたみ式ケータイで、蓋の部分に2cmぐらいの寸法のカラー液晶があるタイプですと、STNだと思います。 (最新機種では、そういうタイプをあまり見かけませんが) 大昔のノートパソコンでもSTN液晶が使われていました。 STNは、twisted nematic の頭に super をつけたもので、 電圧をかけない状態での液晶分子のねじれが90°ではなく270°です。 パッシブマトリクスは画質は悪いですが、製造が非常に容易です。 横ストライプの透明電極のある基板と縦ストライプの透明電極の基板とを合わせるだけですから。 その代わり、入力信号は、映像信号を数学的に高度に変換した複雑なものになります。 STNがほとんど使われなくなった理由は、色、コントラスト、視野角の広さでTNに負けるからです。 そして、TNが液晶テレビに使われていない理由は、TNよりも色、コントラスト、視野角の広さがよい方式があるからです。 IPSがその代表選手ですが、TNではコンデンサの電極が奥と手前の関係であるのに対し、IPSでは電極が右と左(でなくてもよいですが)という横方向に対向しているということです。
- sanori
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こんにちは。 一応、この関係の仕事の経験者です。 >>>液晶層に電圧をかけると光が通らないそうですが、 いえ。そうとは限りません。 ノートPCや17型までの液晶であれば、そういうタイプが多いですが、 それとは逆に、電圧をかけたときに光が通り、かけないときに光を通すタイプもあります。 前者を「ノーマリーホワイト」、後者を「ノーマリーブラック」と言います。 (「ノーマリー」は、「何もしなければ(=電圧をかけなければ)」という意味です。) 液晶テレビのほとんどは、おそらくノーマリーブラックです。 ノーマリーホワイトの代表選手はTN方式で、ノーマリーブラックの代表選手はIPS方式です。 >>>そのときは画面に何も映らない、つまりテレビの電源を切った状態ですか? いえ。 それはコントラストが無限大の、理想的な(仮想的な)場合です。 少しは光が漏れるので、電源を切った状態(バックライトはOFF)よりは浮きます。 バックライトを点灯したままでの、黒と白の輝度の比をコントラストと言います。 (ただし、調整機能で調節できる「コントラスト」とは全く違うことであることに注意。) >>>配向膜と偏光板は前と後ろで垂直の関係になっているので電圧が0で光を通す際はどの方向にも同じ強度の光が当たるということですか? おそらくTN方式のことをおっしゃっているのでしょうね。 ご質問の意図を汲めないのですが、こういうことでしょうか? 配向膜が前と後ろで90°の関係になっているので、電圧をかけないとき、液晶層はねじれています。 TNは twisted nematic の略です。twisted は「ねじれている」の意味です。 バックライトからの光は第1の偏光板を通って直線偏光(純粋な偏光)となり、それが液晶の中を進むとき、液晶のねじれに滑らかに沿って偏光の向きをスムーズに変えていきます。 これを「旋光性」と言います。 つまり、電圧をかけなければ、偏光の向きが90°変化し、結果として、第1の偏光板とは垂直の関係にある第2の偏光板を素通りできます。 よって、TN方式はノーマリーホワイトとなるのです。 (なお、IPS方式の場合は、配向膜は前と後ろで垂直ではなく平行です。) >>>しかしこの光が通る場合と通らない場合は液晶分子がそろう両極端な例で、本当は電圧の調節で場所により液晶分子の向きはバラバラになりそれにより光の強度がピクセルごとに異なることでカラーフィルタに当たった時に異なる色を表現できるのですか? 「バラバラ」「カラーフィルタに‘当たった’」という表現が適切かどうかわかりませんが、 ノーマリーホワイトでもノーマリーブラックでも、中途半端な電圧をかけると液晶の向きも中途半端になります。 すると、第2の偏光板を通り抜ける光の量の割合も中途半端になります。 各画素の各ドット(R、G、B)がそれぞれ、かける電圧の強さによって、 明るい~中途半端~暗い となりますから、これによって階調が表現できるというわけです。 以上、ご参考になりましたら幸いです。
補足
ありがとうございます。 やはりバックライトを消さないと何かしらは映るのですね。 電圧の大きさによっては分子が様々な向きになるようですが、場所によって輝度値も変わるので、当然場所によって分子の向き、各分子にかかる電圧は変わりますか? そのためにはカラーフィルタの1ピクセルごとに細かく制御ができる回路が必要ですか。
お礼
やはりこのような分野は難しくなるほどキリがなくなりますね。 とりあえず疑問は解決したので締め切らせていただきます。 ありがとうございました。