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文語「来(きた)り」と「来(きた)れり」について
- 質問ですが、文語の「来(きた)る」の活用形について述べていました。
- また、「来(きた)り」と「来(きた)れり」の違いについても質問されています。
- この2つの表現はどのように使い分けられるのでしょうか?
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「きたり」「きたる」に二種類有ります。 1.カ行変格活用「く(来)」の連用形「き」+完了の助動詞「たり」 の終止形「たり」、連体形「たる」 この場合は表記として、「来たり。」、「来たるとき」のように「た」を送り仮名にします(「たり」が助動詞なので)。 2.「きいたる(来至る)」の縮約形であるラ行四段活用「きたる(来る)」 この場合、本来「た」を送り仮名にしません(「きた」が動詞語幹なので)。 ただし現代では口語カ変終止形が「くる(来る)」なので、2の「きたる」が誤読されないように「来たる」と書くことがあります。 そのため御質問のようなややこしいことが起こるのです。 文語の場合、意味の上でカ変「く(来)。」とラ行四段「きたる(来る)。」に大差はありません。 漢文訓読体などではカ変を使わないで「来らず」「来らん」「来らば」「来らしむ」「来りて」「来るとき」「来れり」「来れども」「来れ」 のように言います。 最後の御質問について言えば、 「来(き)たり。」(カ変「く」の連用形+助動詞「たり」の終止形) 「来(き)たるとき」(カ変「く」の連用形+助動詞「たり」の連体形) * 助動詞「たり」がついており、完了の意味があります。 口語「来た」に当たります。 「来(きた)り、」(ラ行四段「きたる」の連用形中止法) 「来(きた)る。」(ラ行四段「きたる」の終止形) 「来(きた)るとき」(ラ行四段「きたる」の連体形) * 助動詞はついておらず、完了の意味はありません。 口語「来(く)る」に当たります。 したがってラ行四段「きたる」の已然形「きたれ」に助動詞「り」をつけて完了の意味を表すのです。 1.カ変「来(く)」+助動詞「たり」→「来(き)たり。」 2.ラ四「来(きた)る」+助動詞「り」→「来(きた)れり。」 1と2は似た意味になります。 ただ上で述べたように、文体によってカ変「来(く)」を使わずラ四「来(きた)る」を使うことになっているのに、完了の場合だけ “「来たり。」で用が足りるから、「来れり。」は要らない。” というわけには行きませんね。