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西洋文明史におけるイタリア・ルネサンス
西洋文明史にとってイタリア・ルネサンスの持つ意味とはいったい何だったのでしょうか? また、イタリア・ルネサンス素晴らしさと限界についてどう考えられますか? 皆様のご意見をお伺いしたいです。
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美術史を学んでいるものです。非っ常に難しい問題ですねー。 これだけで本が一冊どころか、100冊書けてしまうようなご質問ゆえ、 私に知る範囲で、そのハイライトだけ答えてみようと思います。 >西洋文明史にとってイタリア・ルネサンスの持つ意味とはいったい何だったのでしょうか? 美術史において、イタリア・ルネサンスというのは最大の問題の一つでありまして、 その持つ意味も様々にあります。 1.それまで細々と継承されて、断片的に利用されてきた古典古代の文化が、 大々的に、統合的に、体系的に復興した。ルネサンス以降、一度全面的に 光を浴びた古典古代の文化は、今日にいたるまで、二度と(かつてのように) 埋没することはなかった。 具体的に、美術に古典古代の文化が齎したものは、堂堂たる量感を持つ 人体や建築、それと古典古代の主題の全面的な復活です。 2.中世から断続的に発達した自然科学は、美術にも決定的な影響を 及ぼしました。具体的に言えば、自然主義と線遠近法等。これもまた、 一度生まれた後、意識的に否定されることはあっても、今日まで二度と 埋没することはありませんでした。 これら二つが完全に実現されるのは、盛期ルネサンス(15世紀末~1520年ごろ) と呼ばれる時代においてです。盛期ルネサンスで確立した様式は、 その後、当然ながら変質したり発展したり、また意識的に否定される時代もあるのですが、 その後の西欧美術の大基礎となるものです。 マニエリスムもバロックも、ロココも新古典主義も、そして19世紀の大方の美術も、 その造形は全て、この時代に確立したものを基礎としています。 ・・・・・えーと、以上、単純に書いてしまいましたが、実際はこれより1000倍も複雑です・・ 中世とルネサンスの古典文化の扱いの差は、単に量的なものだけではないし、 自然主義自体も中世からの連続的発展という面もあるし・・ さらには、スコラ哲学の否定と人文主義の隆盛だとか、聖フランチェスコの思想 だとかが絡んできて、その辺は、本を読んでいただくしかありません・・ >イタリア・ルネサンス素晴らしさ 素晴らしさ・・ それはもう(複製ではなく!)現物を見ていただくのが一番かと。 一言で申しますと、生命そのものなんです。 ロマネスクやゴシックもそれなりに素晴らしいし、バロック美術だって、 見るべきものはたくさんあるのですが、そこから湧き出す生命感というんでしょうか、 瑞瑞しくて、本当に建築や絵画それ自体が溌剌とした魂を持っているかのような、 その感覚が、決定的に違うのです。私の私見ですけどね。 >限界についてどう考えられますか? 限界は様々にありますね。 古典古代の文化に対する理解というのが、完全に客観的で科学的なものではなく、 自己のうちで勝手に消化しちゃってます。別にこれは美術の世界だけではなく、 ルネサンスにおける理性主義・自然科学的態度というのが、そもそも 現代のものとはまるで違う、いまだ呪術の支配する世界なわけですから。 技術面では、例えば線遠近法です。 ある瞬間を、一つの固定した目によって、幾何学的に眺められた世界ですから、 それに対する批判なんかも出てきます。 例えば、マニエリスム(の一部)とか、20世紀のキュビスムや未来派。 それと、簡潔に言いますと、この技法は人間の網膜の構造と違いまして、 よっぽど注意深く使わないと、不自然に見えるんですね。 また、対象を一体のものとして捉えることが出来たかったし (例えば木を描くとき、彼らはモシャモシャっと一気に全体を描くことを知らず、 どうしても葉っぱの一枚一枚を描いてしまうんですね) 連続的に展開する風景(前景・中景・後景が繋がっている状態)というものも 描けませんでした。 前述のことと関連するのですが、ヴェネツィア派を経て、バロックで発達する、 もやもやっとした大気を描くことも出来ませんね。すべてが明瞭で輪郭を持ち、 カクカクっとした絵画世界が広がってます。これは、それを否定した レオナルドでさえ、バロックと比べれば、はるかに明瞭なんです。 或いは、19世紀の自然主義者から見ると、理想的に過ぎる、という批判も出てきます。 以上、ごく一部でして、それがネガティブなことがどうかは別にして、 限界は無数にあります。
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- Opalus
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こんにちわ。回答する前に、ちょっと質問させてくださいね。 (1)「西洋文明史」とは? ちょっと耳慣れない言葉でしたので、具体的に何を指すのか(何を知りたいのか)よくわかりませんでした。「文明」とは大抵四大文明に代表される「文化以前」を指す言葉ではないかと思います。ですので、おそらくおっしゃりたいのは「西洋文化史」ではないかと思うのですが、これで良いでしょうか。 (2)対象範囲 ルネサンスというとどうしても美術を頭に浮かべてしまいますが、文学なども含めて知りたいと思ってらっしゃるのでしょうか(美術に限るならば「西洋美術史」ということになります。これですと、専門分野として確立されてますので、模範解答から個人の意見まで広く集まると思います)。 (3)対象地域 また、その「西洋」の指す地域はイタリアのみに限っての話でしょうか、それとももう少し広い主要ヨーロッパ各国(現在で言うとフランス、スペイン、オランダ、ベルギーなど)についてなのでしょうか、もしくはもっと広範囲(スカンジナビア、広くはトルコなども含めるのか?)でしょうか? ものによっては協力できると思うのですが、先に確認をお願いしますね。
補足
すみません質問があまりにも抽象過ぎましたので補足いたします。 (1)おっしゃるとおり「西洋文化史」です、訂正いたします。 (2)美術だけに限った話だけでも結構ですし、文学や科学等を含まれても構いません。 (3)なるべくイタリア(フィレンツェ・ローマ等)に限った範囲で考えていただきたいです。 あと参考URLもありましたら載せて頂きたいです。 お願いします。
お礼
皆様、お礼遅くなって申し訳ありません。かなり抽象的な質問にも関わらず丁寧に答えてくださり感謝いたします、ありがとうございました!!