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裁判所がだす決定事項の種類
法律は素人なので、妙な質問をしてましたらごめんなさい。最近アメリカの法律ドラマにはまっており、もっと法律について知ってみたいと勉強しています。きっと日本とアメリカでは制度が違いそうですが、どちらの国についてでもいいので、素人にも分かりやすくご説明いただけると有難いです。 裁判所が出す決定事項というのは「判決」しか知らなかったのですが(調べたところ、認容、却下、棄却とかあるんですよね?)実は「判決」以外にも、「決定」とか「命令」などのように他の種類もあると知りました。 どのような種類の決定事項があり、いったいこれらは何が違うのでしょうか。 お詳しい方、どうぞ宜しくお願いいたします。
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日本の話で言えば、訴訟手続で裁判所(官)がする判断を「裁判」と総称します(正確に言えば、裁判機関がその判断または意思を法定の形式で表示する訴訟行為を裁判と言う)。その裁判には、種類があってそれが「判決」「決定」「命令」です。 民事と刑事と話が違うので民事を前提に話をします。 1.判決=(1)裁判「所」が(2)訴訟の重要事項について(3)必ず口頭弁論を行った上で(4)判決書、言渡しにより行う。(5)不服申立は控訴、上告による。(6)判事補は原則として単独で行うことができない。 2.決定=(1)裁判「所」が(2)訴訟の付随的事項について(3)口頭弁論を行いまたは行わずに(4)相当と認める方法で行う。(5)不服申立は抗告、再抗告による。(6)判事補が単独で行うことができる 3.命令=(1)裁判「官」がする裁判。(2)以下は決定と同じ。 判決には大きく分けて2種類あって、一つは、訴えの実質的内容(不正確ですが、これを本案と言います)の当否に立ち入らずにする「訴訟判決」であり、一つは、本案の当否を判断する「本案判決」。 本案判決で原告の訴えを認めれば「請求認容判決」が出ますし、認めなければ「請求棄却判決」が出ます。本案を審理せずに訴訟判決で終わる場合は全て「訴え却下判決」になります。ちなみに「訴状却下」は別ものです。訴状の却下は、訴状に必要事項が記載してなかったり印紙が貼付してなかったりする場合に訴状そのものの受理をしないことを内容とするもので、裁判長がする「命令」です。訴えの却下は、あくまでも訴状を受理した上で訴えが不適法なものとして内容の実質審理をせずに却下するもので、訴えを受理した受訴裁判所による「判決」です。この程度の区別もしてない回答がよくありますけどね。不適法な訴えについて「訴状が却下されるでしょう」とか平気で大嘘言っている人がよくいます。 ところで、法律上「命令」と名が付いていても分類上は「決定」に属するものはよくあります。民事執行法上の差押命令とか刑事訴訟法上の略式命令なんてのは裁判の形式としては「決定」です。 なお参考。訴訟判決は、本案について審理するのが無駄な場合を除外するためにあると思っておけばだいたいあってます。やるだけ無駄な裁判というのがあるのでそのような場合には実質的な内容を審理するまでもなく訴訟判決で訴訟を終わらせるわけです。 具体的には、「他人の権利を他人の権利として訴求する訴え」。例えば麻生が小泉の家に石を投げてガラスを割った。ところが小泉の隣人である福田がこのガラスの交換費用について損害賠償請求を起こした。こんなの認める必要ありませんね。こういう場合には、当事者適格を欠くものとして訴えが却下になります。 ちなみに、ちょっと深い話をするとここでもし福田が「自分の損害として請求した」のであればこれは訴え却下にはなりません。「自分の」債権を訴求している以上は福田には当事者適格があるから。そうすると、事実関係から福田には損害賠償請求権がないとして本案判決で棄却判決を出さなければなりません。これは結構微妙な問題で、下級審で訴えを却下したのを上訴審で請求を棄却すべきとした判例が過去に幾つかあります。
お礼
熟読させていただきました。非常に詳しくご回答いただきありがとうございました。 「判決」「決定」「命令」のちがい、「訴訟判決」「本案判決」のちがいがよく分かりました。 また、「訴状却下命令」、「訴え却下判決」、「請求棄却判決」の違いを詳しくご解説いただけたので、頭の整理ができました。今後ともどうぞよろしくお願いします。 ※お礼が遅くなってしまい大変失礼いたしました。