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相続権について
なくなった父の相続権が私にあるとして、再婚者が権利破棄の請求書を送ってきました。われわれとしては何の回答もせず、今年で五年が経ちました。相続金は受け取っていないし、相続税も払っていません。向こうでの手続きはどうなっているのでしょうか? それと、例えばノ話ですが、一相続者である私の許可なく財産を先方で処分することは可能なのでしょうか・教えてください。
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Bokkemonさんが抱いておられる疑問と危惧の点についてご説明致します。 >全てが物権的請求権で半永久的に保護されるのであれば、民法884条も民法162条も >意味を持たない定めということになりますが、それでは法律が自己矛盾を招きます。 >(因みに、万一、登記名義が勝手に変更されていたすると、明白な「所有の意思」があ >るものと思いますので、「単なる管理人」論では説明がつかないのではないでしょうか。 1. 民法884条について 民法884条の存在意義について昔から学説の間では議論がなされているところです。 884条によって回復請求をなし得る場面と言うものは、通常、相続によって取得した被相続人の所有権(共有権)を根拠とした物権的請求権を主張することができる場面と重なるため、884条独自の存在する理由が無いのではないかと言われているわけです。 そのため、884条独自の存在意義を根拠付けるため、「訴権説」や「戸籍回復権説」などが主張されていますが、いまだ説得的な見解は出されていないのが現状です。 しかし、いずれにせよ現在の最高裁は、前回No.7の回答で示した通り、侵害した側が侵害された側からの返還請求を拒絶するために884条の消滅時効を主張した場合、侵害した側が、 「他に相続人がいることについて知らなかったこと」 について合理的な事由があると判断される特殊な場合にのみ884条の消滅時効を適用して侵害した側を勝たせるという処理をしています。 2. 民法162条について 被相続人が有していた所有権を、相続を原因として相続人が得た場合、その権利は言うまでもなく所有権です。そして、所有権は『消滅時効』にかかりません(民法167条2項)。 権利を行使せずにそのまま放置していたとしても、それによって所有権を失うことはありません。 しかし、例えばAが甲土地の所有権を有していたとして、他者Bがその甲土地所有権を『時効取得(民法162条)』した場合には、その反射的効果としてAは甲土地の所有権を失います。 取得時効が成立するための条件は (1) 自主占有 (2) 善意・無過失 (3) 平穏・公然 (4) 占有開始時に(1)~(3)を満たし、その後一定期間占有を継続すること の4つです。 上記のうち「自主占有」とは、自己の物として所有する意思をもって占有することを言います。 但し、この占有における所有の意思の有無は、「占有取得の原因たる事実によって外形的客観的に定められるべきもの」とされています(最判昭和45年6月18日判時600-83。最判昭和45年10月29日判時612-52他)。 今回の場合、占有取得の原因は「相続」であり、他に相続人がいることが最初から分かっている場合ですから「他主占有」となります。 その後、共同相続人の一人が勝手に自己の単独名義に所有権移転登記をしたとしても、実体を伴わない登記は、その実体を伴わない部分についてそもそも無効なのです。 ご存知のように、登記は単に権利者が自己の権利を保全するための公示の手段に過ぎず、登記と言う公示手段を用いた人物に占有が移転するという効果をもたらすものではありません。 (この点、94条2項が適用または類推適用される場面と混同なさらないで下さ い。よく「権利外観法理」「公信力」「対抗関係」「対抗力」などの概念の適用 場面について勘違いなさっている方が多くおられますのでご注意下さい。) そのため、土地所有権を、共同相続人の一人が、他の相続人の知らぬ間に勝手に自己の単独名義にしていたとしても、それによって「他主占有」が「自主占有」に変わるわけではなく、『取得時効』の要件を満たすことはないのです。 >相続放棄を請求する書面を送ってきて、これに明確な異議を述べず、そのまま“もし”名義 >変更等がなされていて、そのまま5年もの期間を経過しているとすると、「本来の持分を >超える部分についてもその者に相続による持分があるものと信ぜられるべき合理的な事 >由」についても争点になりうるものと思います。 1. 相手から送られてきた書面に無回答であったことについて 相続放棄を請求する書面がkunasofさんに送られてきて、これに対してkunasofさんが何ら明確な異議を述べなかったとしても、 それによってkunasofさんの相続放棄の意思が擬制されるわけではありません。 法律上の「相続放棄」は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内(民法915条1項前段)、今回の場合にはkunasofさんのお父様がお亡くなりになり、相続財産があることについて知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し立てることによってのみ行なうことができます(民法938条)。他の方式で法律上の「相続放棄」をすることはできません。 ところで、遺産分割協議において、kunasofさんの相続分を0とする内容の協議が成立した場合には、結果として法律上の「相続放棄」が行なわれたことと同様の結果をもたらすことができます。しかし、この場合にも、共同相続人全員による遺産分割協議が行われ、その結果として合意が成立する必要があります。 今回の場合、遺産分割協議自体がいまだ成立していません。そのため、相手から合意を促す書面が送られて来ただけでkunasofさんからは相手方に何らの意思表示もしておらず、そのまま状況に変化が無い現時点においては、kunasofさんが自己の相続分を失う要素は全く無いのです。 2. 侵害者を保護する要件の判断の基準時(民法884条の消滅時効起算点)について 「本来の持分を超える部分についてもその者に相続による持分があるものと信ぜられるべき合理的な事由」言い換えると「他の共同相続人の相続分を侵害している共同相続人が、他に共同相続人がいることを知っていたかどうか、本来の持分を超える部分についてもその者に相続による持分があるものと信ぜられるべき合理的な事由(以後、『善意かつ合理的事由』と称することにします)があったかどうか」についての判断の基準時は、No.7の回答でも紹介したように、「相続権侵害の時点を基準として判断すべき」とされています(最判平成11年7月19日)。 今回の場合、kunasofさんのお父様が亡くなられた時点では、お父様の配偶者の方は少なくとも他にkunasofさんという共同相続人がいることを知っていて、それが故に「相続を放棄してくれ」という内容の書類が送られて来ているわけです。 したがって、kunasofさんのお父様がお亡くなりなられた時から現在に至るまではもちろん、将来においても、その配偶者のかたがkunasofさんの相続権を例え侵害するようなことがあったとしても、その侵害の時点において上記の『善意かつ合理的な事由』が無かったことは明らかです。 そのため、配偶者のかたが884条の消滅時効を主張することは全くできないのです。
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- Bokkemon
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zatsunennさんには私の回答の趣旨を誤解されてしまっているようですので、(余計なことかもしれませんが)再度、回答させていただきます。 まず、私は「侵害の事実がある」と決め付けて回答しているものではありません。しかし、そのような状況があるかどうかを把握する必要があり、その上で行動する必要があるのではないか、と述べています。 その場合、回復請求を想定しなければならない「可能性」もあり、回復請求をすることになるのであれば、時効の問題があることを述べさせていただきました。 つまり、zatsunennさんが述べられている ==> 真正の相続人の権利を侵害している者が、真正の相続人から出された何らかの請求を、 ==> 5年もしくは20年の期間経過により時効消滅したものとして否定するために用いられ ==> る場合 がありうるのではないか、ということです。けして、そういうケースだと断じているわけではありません。それほどの情報はないのですから、そのような決め付けはしていません。 また、相続回復請求権(民法884条)にこだわっているわけでもありません。 踏み込んだ内容がわからないのですから、「可能性」の範囲で注意を喚起したに過ぎないものです。 全てが物権的請求権で半永久的に保護されるのであれば、民法884条も民法162条も意味を持たない定めということになりますが、それでは法律が自己矛盾を招きます。 (因みに、万一、登記名義が勝手に変更されていたすると、明白な「所有の意思」があるものと思いますので、「単なる管理人」論では説明がつかないのではないでしょうか。「登記名義が変わっているはず」などと言うつもりはありません。あくまで、可能性の範囲です。) 相続放棄を請求する書面を送ってきて、これに明確な異議を述べず、そのまま“もし”名義変更等がなされていて、そのまま5年もの期間を経過しているとすると、「本来の持分を超える部分についてもその者に相続による持分があるものと信ぜられるべき合理的な事由」についても争点になりうるものと思います。 したがって、 ==> 特別今、事を荒立てるほどの必要は無いと考えます。 ==> 後はじっくりと、しかし、できるだけ早く遺産分割協議をするようにすれば、それで問題は無い ということで、質問者の方が不測の損害を蒙ってしまうことにならないか、と危惧するだけなのです。私の懸念が考え過ぎ、杞憂の類であれば、これに越したことはありません。
少し長くなりましたが、次の順番でご説明したいと思います。 1. Bokkemonさんの質問について ◎ 平成11年7月19日判決についての解説 2. 相続権侵害について 2-1. 不動産について 2-2. 動産(預貯金・株式など)について 3. まとめ ――――――――――――――――――――――――――――――――― 1. Bokkemonさんの質問について >独占状態について知りながら異議を述べずに期間を徒過した場合には「その状態につい >て侵害された共同相続人が同意を与えたものと理解することに合理的理由を与えてしま >う可能性があるのではないか」 ◎ 平成11年7月19日判決についての解説 平成11年7月19日の判決は、最高裁昭和53年12月20日判決民集32巻9号1674頁の判例法理 「共同相続人間による相続権侵害に民法884条の規定の適用を特に否定すべき理由は無い。自己の相続分以上の相続財産を自己の相続持分であると称して占有する共同相続人もその範囲で表見相続人であるが、その表見相続人が悪意か合理的な事由なしにその部分も自己の持分に属すると称しているときは、回復請求の相手方にあたらない。回復請求権の時効消滅後も、自らの相続によって取得した共有持分に基づく物権的請求権たる遺産の再分割請求による財産の取り戻しが可能である。」に続けて述べられているものです。 Bokkemonさんは、相続回復請求権(民法884条)に大分こだわっておられるようです。しかし、884条は、真正の相続人の権利を侵害している者が、真正の相続人から出された何らかの請求を、5年もしくは20年の期間経過により時効消滅したものとして否定するために用いられる場合がほとんどです。 上記の判例においても、「自己の相続権を侵害された者は、本来、物権的請求権により自己の権利の回復を図ることができる。ただ、884条の相続回復請求という手段を用いることも特別排除するものではない。」という趣旨であることはお分かりいただけると思います。 ちなみに、この昭和53年の事件の概要は次の通り。 1953年に被相続人が死亡。X、Y1、Y2、Y3ら6人が相続。翌年、Y1、Y2、Y3らはXに無断で各々相続を原因とする所有権移転登記を完了。1955年、Xは遺産分割調停を申立てたが後に取下げ(取り下げたことにより時効中断の効力も消滅(民法149条))。1963年、XはYらに対して自己の共有持分権(12分の1)に基づき前記登記の抹消を請求。Yらは、Xの請求は相続回復請求であり、884条の5年の消滅時効が完成したと主張。 そして、この平成11年の判例では、 「この消滅時効を援用しようとする者は、他に共同相続人がいることを知らず、かつ、これを知らなかったことに合理的事由があったことを主張立証しなければならない。そして、他の共同相続人の相続分を侵害している共同相続人が他に共同相続人がいることを知っていたかどうか、本来の持分を超える部分についてもその者に相続による持分があるものと信ぜられるべき合理的な事由があったかどうかについては、相続権侵害の時点を基準として判断すべきである。」旨述べています。 つまり、侵害者側からの「権利者の主張は884条の消滅時効によって主張できなくなっている」とする主張を、非常に特殊な場合にのみ認めるという考えが基本になっているのです。 そして、この消滅時効の成立を認めた判例として、最判昭和48年11月6日民集2間12号397頁、最判昭和39年2月27日民集18巻2号383頁をご紹介しておきます。前者は、家督相続に関する親族会決議がのちに否定された事案で、後者は全ての遺産を単独で家督相続したと先代および原所有者が誤信していた事案です。 2. 相続権侵害について また、Bokkemonさんは、相続財産が侵害されている可能性があるとお考えのようです。確かにその可能性は「無いことは無い」とは思います。しかし、取り立てて問題にするような状況であるとは私には思えません。それを不動産と動産に分けて述べます。 2-1. 不動産について 相続財産のうち価額が大きいであろう不動産について考えてみますと、言うまでもなく、遺産分割協議が終了するまでは誰かしらが管理しなければなりません。この場合、管理者の占有は、自己の所有物としての占有「自主占有」ではなく、共同相続人全員の共有物としての占有「他主占有」となります。 したがって、管理者が何年占有を続けていようと取得時効(民法162条)も成立しません。 さらに、遺産である建物を被相続人と同居していた共同相続人の一人が引き続き使用している場合、被相続人が死亡した時から少なくとも遺産分割協議が終了するまでの間は、他の共同相続人が貸主となり、右同居の相続人を借主となって無償で建物を使用する使用貸借契約が存続することになるものというべきであるとされています(最判平成8年12月17日民集50巻10号2778頁)。 つまり、相続財産を相続人の一人が、遺産分割協議が終了するまでの間、引き続き以前と同様に相続財産に含まれる不動産を使用・管理することは、相続財産の侵害行為とはなりません。したがって、「独占状態について知りながら異議を述べずに・・・・」とは言えないわけです。 また、相続人の一人が不正に自己名義に所有権移転登記をしても、自己の持分を超える部分についての登記は『無効』です。そのため、後日他の相続人が自己の持分の範囲につき登記の抹消と自己の持分について自己名義への所有権移転登記を請求することができます。これは物権的請求権に属する権利ですから消滅時効にかかりません。 しかし、この本来『無効』である自己の持分を超えた所有権移転登記がなされたことを知りながら、それを追認する行為を行った場合には、民法119条により、少なくともその時に、その不動産についての遺産分割協議は終了し、その効果は相続開始時にまでさかのぼる(民法909条)と考えることは可能だろうと思います。 2-2. 動産(預貯金・株式など)について これは前回の回答でも述べたように、同居の家族以外の相続人が外部から把握することは困難です。どうしても不安や不満があるのであれば、家庭裁判所に遺産分割協議の申立てをする以外に方法はないと思います。 3. まとめ 以上をまとめますと、相続財産中、預貯金や株式などの動産の占める割合が大きく、それを失った場合に取り返しがつかないというような場合で無い限り、特別今、事を荒立てるほどの必要は無いと考えます。後はじっくりと、しかし、できるだけ早く遺産分割協議をするようにすれば、それで問題は無いと考えます。 以上、ご参考まで。
- Bokkemon
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#4のzatsunennさんには、私の誤解を改めていただいたことについて、この場を借りて御礼申し上げます。 御紹介いただいた判例を確認させていただいたところ、確かに、共同相続人間で相続権侵害があった場合には、侵害者たる相続人が他の共同相続人の存在を知らなかった場合や、知らないことに合理的な理由がある場合には、884条での時効を援用できるという判断がなされています。 ただ、この判例は「相続開始から20年」の時効援用について、相続権利者の求めに応じないで放置せられてきた場合(つまり、各請求の都度、時効の中断を類推できる場合)における判断であって、権利を侵害された共同相続人が請求をしていないまま期間を徒過した場合における判断ではないものと思いますが、如何でしょうか? つまり、独占状態について知りながら異議を述べずに期間を徒過した場合には「その状態について侵害された共同相続人が同意を与えたものと理解することに合理的理由を与えてしまう可能性があるのではないか」という疑問があるのです。 (だからこそ、侵害している共同相続人の侵害意思の有無は無関係だとされるのだと理解しました。) 時効の援用部分はともかく、先の回答の繰り返しになりますが、まずは相続権侵害の事実を明らかにしないと、主張する「侵害された権利」が明確でないため、回復請求に着手することもできませんので、至急、それらの事実を把握することが必要でしょう。
次の順番でご説明致します。 1. 相続税について 1-1. 相続税を計算する場合の法定相続人が受けることができる基礎控除額 1-2. 『小規模宅地等の減額』について 1-3. 課税価格の計算 2. 相続人の一人が相続財産を勝手に処分すること ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 1. 相続税について お父様Aがお亡くなりになられた時の法定相続人が、お父様の再婚相手Xと、お父様の実子であるkunasofさんのお二人だったとします。 相続税の申告は、お父様がお亡くなりになられたことを知ってから10ヶ月以内に行なわなければなりません(相続税法27条)。正当の理由も無くこの申告期限を過ぎた場合には1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられます(同法69条)。そのかわり、この10ヶ月以内の期間内に申告を行なえば、様々な税法上の優遇措置を受けることができます。 1-1. 相続税を計算する場合の法定相続人が受けることができる基礎控除額 法定相続人が受けることができる基礎控除額は、 5000万円 + (法定相続人の数)× 1000万円 です(相続税法15条)。 したがって、上の例ですと、法定相続人の数は2人ですから7000万円までが基礎控除額です。仮にkunasofさんに他にご兄弟が1人おられた場合には8000万円、他にご兄弟が2人おられた場合には9000万円がそれぞれ基礎控除額となります。 1-2. 『小規模宅地等の減額』について また、相続財産にお父様が住んでおられた宅地が含まれていた場合、10ヶ月の申告期限内に申告した場合には、『小規模宅地等の減額』(租税特別措置法69条の3)の適用を受けることができ、宅地面積のうち200m2の面積分まで、 その宅地を 同居の親族が相続した場合には80% それ以外の親族が相続した場合には50% それぞれ宅地の評価額を減額する措置を受けることができます。 つまり、例えば宅地面積が180m2で評価額が1億8千万円、その宅地を同居の親族が相続した場合、宅地の評価額のうち80%まで減額措置を受けることができるので、結局相続税を計算する上での宅地の課税対象財産としての価額は、 1億8千万円 × (1-80%)= 3600万円 となります。 1-3. 課税価格の計算 そして、この宅地以外に、家屋の評価額が例えば2500万円、預貯金が総額900万円、それぞれ相続財産として残されていたとすると、 3600万円 + 2500万円 + 900万円 = 7000万円 となり、法定相続人がお二人の場合、基礎控除額は7000万円なので、このケースでは相続税はかからないことになります。 今回kunasofさんのケースは、おそらく相続税がかからなかったケースなのではないかと思います。 2. 相続人の一人が相続財産を勝手に処分すること 遺産分割は、相続税の申告と異なり、いつでも共同相続人の話し合いにより行なうことができます(民法907条1項)。これは、お父様がお亡くなりになられてから50年後だろうと、100年後だろうと構わないのです。ただ、50年後100年後になるとそれだけ相続人が増えて、相続手続が複雑で面倒になるだけです。 特に今回の場合、お父様がお亡くなりになった時点で お父様の再婚相手X = 2分の1 kunasofさんご兄弟 = 残りの2分の1 を相続していることになります(民法900条1号)。 Xとkunasofさんは養子縁組をしているわけではないでしょうから、仮に今Xがお亡くなりなったとすると、Xが相続している財産はkunasofさんご兄弟には一切相続されず、Xの親族のみに相続されます。そうなってしまっては、遺産分割協議はますます困難になるものと思います。 ですから、できるならばなるだけ早いうちに協議ができれば、それに越したことはないでしょう。 共同相続人間で協議が調わない時や協議をすることができないときは、各共同相続人は、遺産分割について家庭裁判所に申し立てることができます(907条2項)。 また、相続財産の中に不動産がある場合、その不動産は相続手続が終了するまで売却することもできません。仮に何らかの不正手段を用いてXが他人に売却したとしても、kunasofさん達の持分である2分の1の財産分については取り戻すことが可能となります(最高裁判所昭和38年2月22日判決民集17巻1号235頁)。 Bokkemonさんが述べておられる『相続回復請求権』の消滅時効については、その消滅時効によってkunasofさん達がこれを主張する権利を失ったと主張する者(つまり今回の場合にはX)が、kunasofさん達がいることを知らず、かつ、知らなかったことに合理的事由があったことを主張立証しない限り消滅時効を主張することができません(最高裁判所平成11年7月19日判決民集53巻6号1138頁)。 今回の場合、相続人としてkunasofさん達がいることを既にXは知っているわけですから、消滅時効によってkunasofさん達が権利を失ったと主張することはそもそも無理です。 つまり、いずれにせよkunasofさん達は、自己の持分については保護されていると考えて良いわけです。 但し、預貯金・株式などの動産については、X以外はなかなか把握することすら難しいと思いますので、話し合いでどの程度kunasofさん達が満足の行く合意ができるかは分かりません。 いずれにせよ、何とかうまく遺産分割協議がまとまることをお祈りいたしております。 以上、ご参考まで。
- Bokkemon
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不動産にしろ預貯金にしろ、もし何らかの書類が勝手に作成されて、現実に名義の変更や権利移転がなされてしまっていたのであれば、そのような書類に明らかな不備が無い限り(つまり、適正に権利が移転されたと信じること自体に重大な過失があるといえない限り)、第三者に対して過失責任を問うことは困難でしょう(この点は、第三者にどのような書面を出されたかがわかりませんので、何ともいえません)。 相続放棄の書面には同意を与えていないということですので、相続放棄にはなっていません。問題になるのは、外見的には適法に権利移転がなされてしまっていたとして、それによって再婚者が自分以外の相続人の権利を奪ってしまったことの回復請求ができるかどうか、だと思います。 これに関する法律の定めは、民法第884条で 『相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実 を知つた時から五年間これを行わないときは、時効によつて消滅する。相続 開始の時から二十年を経過したときも、同様である。』 とされています。 「侵害されている」という事実は把握されていますか? 侵害されている事実について把握していないのであれば、5年の時効起算にはかからないでしょう(但し、知らないと主張することが著しく社会常識に反する、あるいは社会正義に反すると見なされる場合には、5年の時効計算にかかることがありえます)。 時効にかかっていなければ、裁判所に対して相続権の回復請求をすることになります。 相続税については、『申告納税制度』が基本ですから、相続の事実を申告して納めるものですが、現時点では何ら相続した事実が無いとのことですから、申告義務は発生していません。そのため、相続税の納税に関する通知も無いものと思います。 まずは、相続財産の現状を把握することが肝要かと思います。預貯金・生命保険(受取人が被相続人本人の場合など)・不動産・その他権利(債券・株式・賃貸収入・各種権利金など)などについて、現状を調べて見られてはいかがでしょうか? 不動産に関しては管轄法務局で不動産登記簿を閲覧(あるいは謄本を取得)することでわかります。預貯金や生命保険については取引金融機関・保険会社に問い合わせてみることです。その他も、関係当事者である個人や法人に問い合わせることになるでしょう。 戸籍など、被相続人との関係を明らかにした上で請求すれば、教えてもらえるものと思います。
- e-isao
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質問の趣旨は分りましたが、申告のみでは十分な判断はできませんが、例えば、相手方が貴方に相続放棄の告知をされていることは事実のようですから、それに回答をされなかったとのことでありますから、相手方はそれなりの理由書を添付して相続放棄手続を行なって処理したということも可能でありから、その様なことも推測されます。 如何なる事情かは解りませんが、他人が作った財産でもあり、正式に離婚が成立していると考えられます。ましてや、正式には相続放棄の意思を告知してきており、それに対し、貴方が誠意ある回答をしなかったことにも責任が生ずるのですから意地や後悔等があるとは思いますが、今更財産問題に言及することは改めて争いを再現させることにも繋がるので一考察が必要ではないでしょうか、 回答1にある意見にある銀行の扱に対し補足しますと、 銀行の扱については、その預金者(出捐者)が誰か、通帳又は届出印を管理保有する人が預金者となるので如何なる場合でも出捐者が預金者となりますから自由に預金の引き出しは可能であります。 遵って、銀行には責任義務はない。 例えば、預金者名義が仮に貴殿であったとしても、貴方は預金表見人であ るに過ぎず、預金者は出捐者であるから、その預金の権利者は貴殿とは ならないのであります。(最高裁の判例方針)
- nozomi500
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「再婚者」というのは亡父さんの再婚相手ということでしょうか? 実子については法定ぶんがありますから、勝手に処分されてそのまま、ということはないと思います。 財産として現金預金のほかに不動産があった場合、 現実として再婚者が住んでいる土地家屋まで分割できないので、それを金額換算したうえで他の相続者で分けることになると思います。 現金や株などが多ければ、土地は再婚者さん、現金・株は実子、というふうに。ほとんど土地だけ、という場合は、相続人で相談せざるを得ないでしょう。登記上、名義変更できていないのではないでしょうか? 現金が銀行にあれば、遡って金額はわかりますから、計算はできるはずです。 その土地を処分するかそのまま住むか、ということになると、本人次第になるのではないでしょうか?
- HAL007
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>>一相続者である私の許可なく財産を先方で処分することは可能なのでしょうか 現金は可能ですね。預貯金も印鑑と通帳を持って行けば払い出しに応じると 思います。この場合、金融機関がお父さんが亡くなったのを知らない場合 です。 土地や不動産はケースにもよりますが、先ず譲渡は無理だと思います。
お礼
お礼が遅れて皆さん本当にすみません。この欄にて皆様にお礼申し上げます。 私の至らない質問に、これほど多くの方々にお答えいただき、本当に感激でいっぱいです。みなさんの熱心なご回答に、ポイントをつけることすらはばかられましたが、特に明確なご回答をなさったと見受けられた方にポイント差し上げました。 とにかく、皆さん、本当にありがとうございました。一つ一つのアドバイスを参照して行動いたします。