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Siの酸化速度
Siの酸化速度におけるグラフについて質問です。 横軸が酸化時間[min](logスケール)で縦軸が酸化膜厚[μm](logスケール)のSiの高酸化グラフがあり、グラフは右上がりになっています。 これが、酸化温度が上昇すると上の方向にシフトしていくグラフなのですが、なぜ上にシフトするのかがわかりません。 わかりづらくなってしまいましたが、分かる方、よろしくお願いします。
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質問の核心がちょっと見えにくいのですが、酸化時間-膜厚の関係を示す両対数グラフ上の直線が、酸化温度を上げるとだんだんと上に平行移動することを指してのご質問でしょうか(下図)。 膜厚 温度T2 ┃ / ┃ / /温度T1 ┃ / / ┃ / / ┃ / / (T2>T1とする) ┃ / ┗━━━━━━━━酸化時間 シリコンの酸化においては (1)酸化膜中を酸素*が拡散する (2)拡散した酸素が、酸化膜-下地シリコンの界面に到達してそこで反応する の2つの過程を経て反応が進みます。下の図をご覧下さい。 ○ ○ 酸素分子 ↓ ○ (気相) ○○ ○ ━━━━━━━━━━━表面 ○ ○○ ○ ↓ (SiO2層) ↓ ○○ ───────────界面(ここで反応がおきている) (Si層) 拡散と反応のどちらが律速過程になるかは反応の条件やその時の膜厚によって異なりますが、(1)は拡散の際の障壁エネルギーが、(2)は反応の際の活性化エネルギーが反応の速度を決めますから、いずれが律速するにしてもexp(-E/kT)に比例して速度が増します(Eは障壁エネルギーまたは活性化エネルギー、kはBoltzmann定数、Tは絶対温度)。よってグラフは温度をあげるほど上にシフトします。反応温度を上げれば同じ酸化時間でも膜厚をより大きくできる、というだけのことです。 さて酸化の条件によっては下図のように、単に直線がシフトするだけでなく傾きまで変化することがあります。これは酸化反応の律速過程が(2)の反応律速から(1)の拡散律速に変わるためです。一般に反応律速の場合は膜厚は酸化時間に比例し、拡散律速の場合は膜厚は酸化時間の1/2乗に比例して増加します。 酸化温度が高い場合は、表面の酸化膜が短時間で厚くなって反応の律速過程が(2)から(1)に遷移します。すると膜厚の時間依存性はtに比例していたものがt^(1/2)に比例するように変わりますから、グラフの傾きは寝てくるわけです。 膜厚 温度T2 ┃ / ┃ / /温度T1 ┃ / / ┃ / / ┃ / / (T2>T1とする) ┃ / ┗━━━━━━━━酸化時間 参考になりそうでしょうか。 -------- *酸素の供給源として水を使う場合もあります(スチーム酸化)。水分子の方が酸素分子より小さいため、酸化膜中での拡散が4~5倍程度速くなります。
お礼
すごく丁寧に教えていただきありがとうございました。 exp(-E/kT)に比例して速度が増加するというところが考えつかなかったみたいです。 おかげでよくわかりました。 感謝します。