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パリティーについてお聞きします
理化学事典にはパリティーの値が書かれているのですが、フォトンなどのゲージボソンや中間子などはマイナス、陽子や中性子などはプラス、とまでは分かるのですが個々のクォークやレプトンに関しては記載されておりません!彼らの波動関数では偶奇性が考えられないのでしょうか、そんなはずはないと思うのですが、辞書に書かれていないとは測定不可能なんでしょうか・・。
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- grothendieck
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例えば中間子ならば基底状態では軌道角運動量は0だから2つのクォークのスピンが (↑↓-↓↑)/√2 のように合成されれば中間子のスピンは0になると考えられていました。ところがEMCという実験でクォークのスピンはハドロンのスピンにほとんど寄与していないことが明らかになったのです。 http://www.quark.kj.yamagata-u.ac.jp/compass/compass_intro_2006v3.pdf この理由だけではないのですが、QCDの効果を取り入れるべくハドロンには多種多様の模型が考えられています。少し古いですが http://arxiv.org/PS_cache/hep-ph/pdf/9603/9603354v2.pdf となればnaive quark modelはある意味水素原子のボーア模型のようなものかもしれません。
- grothendieck
- ベストアンサー率62% (328/524)
ポテンシャルの中心があるわけではないので、ハドロンは原子よりは原子核に近い状態です。原子核の殻模型では軌道によって核のパリティが決まっていたことを思い起こしてください。厳密にはこのようなnaiv quark modelは真実ではないのですが…
補足
結構、複雑である所で「ナイーヴクォーク模型は真実ではない」とは水素原子のボーア模型のような意味なのですか?正にナイーヴな印象を受けますが「もっとより複雑であるはずだ」という意味なのか「中途半端な写実だから逆もありうる」という意味なのかどちらですか?
- grothendieck
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簡単のためnaive quark modelで考えることにします。クォークと反クォークの対(すなわちメソン)のパリティはフェルミオンと反フェルミオンの固有パリティが逆であるため P = (-)^(L+1) で与えられます。ここでLは「軌道角運動量」です。したがってスピン1のメソンでもクォークの合成スピンがS=0、軌道角運動量L=1であればパリティは+になります。共鳴状態B(1235)がその例だと思います。 http://pdg.lbl.gov/2007/listings/m011.pdf 理化学事典はL=0の基底状態のパリティが載っていると思われます。 バリオンも共鳴状態N(1650)はスピン1/2でパリティ-です。 http://pdg.lbl.gov/2007/listings/b066.pdf γ0はディラックのガンマ行列の1つです。
補足
一つ前の投稿ですが、 >スカラーのパリティは+、3次元ベクトルのパリティはーのように、クォークやレプトンのパリティは幾何学的な要請だけから決まるため理化学事典に記載されていないのです。 つまり個々の素粒子の性質によるのではないというわけですね?で、共鳴状態というのは軌道角運動量が定義できると言うことから核外電子のように公転で近似できる状況にあるというわけでしょうか・・。
- grothendieck
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メソンやバリオンとクォークやレプトンの違いは何か?それは前者が複合粒子であるのに対し、後者は"素"であることです。そのためメソンやバリオンは構成クォークは同じでもs,p,dなどの状態でパリティが異なるため理化学事典にパリティが記載されているのです。スカラーのパリティは+、3次元ベクトルのパリティはーのように、クォークやレプトンのパリティは幾何学的な要請だけから決まるため理化学事典に記載されていないのです。クォークやレプトンの4次元スピノール場はパリティ変換の下で ψ(x,t) → γ0ψ(-x, t) のように変換するとされています。
補足
失礼ですが、辞典には 1)ゲージボソンやスピン0と1の複合粒子すべてのパリティーはマイナス 2)スピン1/2の複合粒子すなわちバリオンはプラス であるように記載されております! なおγ0ということは何を意味するのでしょうか・・。
- bttf2003
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パリティー(偶奇性)は、基本的には保存されるのでプラスとマイナスの素粒子は同数存在するのが普通です。 質問者が、理化学事典の内容を理解していないだけだと思われます。
補足
いえ、フォトンなどのゲージボソンやスピン0や1のメソンはすべてマイナスであり、スピン1/2のバリオンはすべてプラスであるように書かれていまして、説明には「最初に陽子や中性子などのパリティーを正にとった」相対的な物理量だと示唆されています。
お礼
有難うございました!お陰さまで現在の素粒子物理学の基本的な発想を理解することできました。しかし私は「スピンは構成要素の和から成り立っている」という思想を崩されたとは感じておりません・・。構成物質の保存するはずの物理定数の和というものは最後にまで効いてくるのではないか、と察せられます。 自然は最終的にはデジタル反応で成り立っているのじゃないかと訝しがっていますよ?