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ブレンステッド・ローリーの定義について
H+のみを使い、酸と塩基を定義するとのことですが 次の言い回しが理解できないので、どうか砕いて説明してください。 そして、そもそもHAやAHは酸のことですか? A-はH+を受け取るので塩基である A-を酸AHの共役塩基という HAはH+を放出してA-になるから酸である HAを塩基A-の共役酸という
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- htms42
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水溶液中での酸・塩基は 酸:水中でH3O+を生じる 塩基:水中でOH-を生じる という定義で考えることが出来ます。 HCl+H2O→H3O++Cl- CO2+2H2O→H3O++HCO3- CO2は構造の中にHを持っていませんが酸です。これはラボアジェの時代からの認識です。 NaOH→OH-+Na+ NH3+H2O→NH4++OH- CaO+H2O→2OH-+Ca2+ NH3もCaOもOHを構造の中に持っていませんが塩基です。 水溶液中で酸・塩基として働く物質は水のないところでも直接反応が可能です。 HCl+NH3→NH4Cl CaO+CO2→CaCO3 水溶液中での話である限り、ブレンステッド・ローリーの定義は特に必要ありません。水溶液中でアンモニアが塩基であることを示すために必要な定義でもありません。 私たちの生活環境自体、水を溶媒とするものですから水は中性といって差し支えありません。 酸・塩基は溶媒が水でなければいけないのだろうかという問が新たな定義の出発点だろうと思います。 異なる溶媒で起こることを同じ概念で捉えようとするためには両方にまたがるような現象が存在している必要があります。(初めて習う時これを示すことは重要なことだと思います。でもこれに触れている本はほとんどありません。書くと長くなりそうですので省略します。) 水という基準をはずす事になりますから必然的に酸・塩基が相対化されます。水も含めて序列が決まります。その序列を決める手がかりがH+の受け渡しです。H+とOH-の二本立てであった判断基準がH+1つに変わっています。H+とOH-は溶媒であった水の電離によって生じます。溶媒が水でなければOH-を基準に取ることは出来ません。H+だけになります。 ある物質が酸であるか塩基であるかは反応の相手によって変わる事になります。「~に対しては酸として働く」または「~に対しては塩基として働く」ということです。 「HAは酸である」という言い方も出来ない事になります。水以外の物質が相手であれば[H]-ができる場合も[H2A]+ができる場合もあるからです。この言い方をしている場合は便宜的に水を基準とした場合の表現を流用しているのです。(物質の名前自体が水を基準にしたものでからこういう流用はある意味で仕方がないものです。) 共役酸・共役塩基という言い方は具体的なH+のやり取りがなければ言えないことです。 HA→H++A- A-+H+→HA の変化が起こるとした場合の話です。上の式ではHAが酸として働いています。下の式ではA-が塩基として働いています。実際にこの式の変化が起こるためには別にH+を受け取る、またはH+を放出する相手が必要です。HA,A-は移り変わり可能な組になっていますから「共役」という言葉を使っています。 もし相手によって HA+H+→H2A+ H2A+→HA+H+ が起こるのでしたらH2A+とHAが共役酸・共役塩基の組です。 ブレンステッドの定義で考えるとH+の放出能力で酸の強弱を考えることが出来ます。塩基の強弱という別の指標は必要なくなります。酸の強弱の裏返しが塩基の強弱なのです。pH1つの指標で酸性もアルカリ性も表すことが出来たのと同じようなものです。アルカリ性を表すのにpOHをわざわざ考えなくてもいいのです。 ブレンステッドの定義は酸・塩基の考え方を有機溶媒中の反応に対して拡張することを想定しています。 濃硫酸の中での変化に対しても使うことが出来そうです。 H2SO4+HNO3→HSO4-+H2ONO2+ H2ONO2+→H2O+NO2+ 混酸によるニトロ化ではこのNO2+が効いているそうです。硫酸は硝酸よりも強い酸だということになります。 初めに例として挙げた固体、気体の反応 CaO+CO2→CaCO3 は古くから酸・塩基反応であると認識されていたものです。でもブレンステッドの定義ではそのような判断ができません。定義が対象としている範囲外の反応なのです。
ブレンステッド・ローリーの定義においては、酸、塩基は相対的なものと考えます。つまり、同一の物質であっても相手によって、酸になることも塩基になることもあるという意味です。 たとえば、 H2O + HCl ←→ H3O+ + Cl- の平衡において、左辺のH2OはHClからH+を受け取ることによって、H3O+になっています。つまり、『この平衡において』H2Oは塩基として作用していることになります。なぜなら、ある平衡式においてH+を受け取るのが塩基ですから。 逆にHClはH+を与えているので酸ということになります。 また、逆方向の反応を考えれば、右辺のH3O+はCl-にH+を与えていることになります。すなわち、逆反応においてはH3O+も酸として作用していることになります。ただし、逆反応における酸を区別するため(そのためだけというわけではありませんが)に『共役酸』という言葉を用います。たとえば、「H3O+はH2Oの共役酸である」という言い方をしますし、同様に「Cl-はHClの共役塩基である」という言い方もします。 別の例として、 H2O + NH3 ←→ OH- + NH4+ という平衡を考えれば、H2OはNH3にH+を与えているので『酸』として作用していることになります。OH-はH2Oの共役塩基であり、NH4+はNH3の共役酸です。 要するに反応が進む時に、相手にH+を与えているのが酸であり、H+を受け取るのが塩基であるというのがブレンステッド・ローリーの定義による酸・塩基です。 アレニウスの定義では水が基準になっていたので、H+とOH-が定義に用いられました。そのために、水溶液以外では意味をなさない定義でした。それに対してブレンステッド・ローリーの定義では特別な基準を設けず、H+をやり取りする相手との、『酸としての相対的な強さ』に基づいて定義します。 つまり、単純に反応式を見て、どのようにH+がやり取りされているかを見るだけです。HAとかのAは酸(acid)の略であり、Hはその酸がH+として放出する水素を意味しています。ブレンステッド・ローリーの定義による酸であれば、必ずHを持っているはずです。 初学者の方なら、「水は中性で・・・」などと言う呪縛から抜け出さなければ理解できないかもしれません。
● 酸:水素イオン(プロトンと言います)を放出する物 ● 塩基:水素イオンを受け取る物 これ以上砕いた言い方は出来ないと思います。そして、HAは酸のことです。 このブレンステッドローリーの考え方を受け入れなければ、アンモニアが塩基であることを説明付けられません。 (1) HA + B- → HB + A- という式をじっくり眺めて見てください。これをバラバラに分解してみると、 (2) HA → H+ + A- (3) B- + H+ → HB ((1)=(2)+(3)という関係にあるのはよろしいですか??) AはBにプロトンH+を渡しているので酸ですね。一方BはAからプロトンを受け取っているので塩基です。では、この式を逆に書いてみれば・・・ HA + B- ← HB + A- A-は塩基、HBは酸となって、先ほどと関係が逆転していませんか? これが元のイオン解離式と「共役の」関係に有るわけです。 ● 酸HAは、プロトンと共役塩基A-に解離する ● 塩基B-は、プロトンを受け取って共役酸HBになる 以上のまとめとして、アンモニアが塩基であることの説明を考えてみてください。アンモニアと対になっている酸はなんでしょうか???