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詐欺と強迫について
民法第96条の詐欺と脅迫について教えて下さい。 1.民法上、詐欺もしくは強迫によってなされた意思表示はどのような効力があるのでしょうか? 2.また、消費者契約上、詐欺もしくは強迫によってなされた意思表示はどのような効力があるのでしょうか? 民法上と消費者契約上は同様でないらしいのですが… 何がどう違って、それぞれの意思表示はどのような効力があるのか、分かりません。 民法第96条の内容は分かっているつもりですが、この「どのような効力」があるかは、いまいちぱっと理解できていません。 解答は長くなっても構いませんので、ご存知の方、教えて下さい。お願いします。
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No3のt-kamiyamaです。 まずは訂正ですが、No3での最終段落で「消費者契約法第7条に該当する消費者に不利な内容の契約」としてしまいましたが、これは「消費者契約法第4条…」の誤りです(7条は4条が定める取消しについての期間制限ですね) さて、ご質問の「詐欺・強迫は『消費者契約法第4条に該当する消費者に不利な内容の契約』には当てはまるか」ですが、「事実上、詐欺・強迫と消費者契約法第4条該当行為が重なることはある」というのが答えになろうかと思います。 まず詐欺について詳しく言うと、たとえば消費者契約法第4条1項1号の「重要事項について事実と異なることを告げること」を相手がわざとやり、買主がこれに騙された場合には詐欺に該当します。そういった意味で詐欺に該当する行為は、ほぼ消費者契約法第4条1項に該当すると言われています(民法の詐欺と言えるためには、取引上重要な事項について詐欺が行われることが必要とされているため)。ただ、逆に消費者契約法第4条1項該当事実が常に詐欺に該当するかといえば、そうでもありません。例えば「重要事項について事実と異なることを告げること」の例ですと、詐欺といえるには相手が虚偽であること知って騙す意思で買主に告げなければいけません。これに対し消費者保護法では消費者保護が目的であることからこれらの事項は問題ではなく、客観的にみて重要事項について事実と異なることを告げられていたかが問題となるのです。 次に、脅迫については4条3項が定めている行為が狭いため、脅迫行為が常に4条3項該当行為になるわけではありません。また、4条3項は「脅迫」とはいえない行為であっても不退去等をなせば該当性が認められますので4条3項該当行為が常に脅迫行為となるとも限りません。従って両者は「重なり合うこともありうる」とう関係にあるかと思われます。 なお、重なった場合は詐欺・錯誤取消しと消費者契約法第4条の取消しのいずれを主張してもいいのですが、消費者契約法7条の短期時効にかかってない限りは、消費者契約法4条の取消しを主張するのが通常かと思われます(立証が楽なので)
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- t-kamiyama
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※民96条の内容を一通りご理解されているという前提で… 1について 詐欺・強迫による意思表示はいずれも「取消し」ができます(取消しの効力はご存知かもしれませんが「取り消すまで有効と扱われ、取り消すと当初からさかのぼって無効とされること」です)。かかる意味で詐欺・強迫による意思表示の効力に違いはありません(講学上は両方とも「瑕疵ある意思表示」という分類がされます) 違いがあるのは、このような「取消し」を「誰に」主張できるのかという点です。つまり、詐欺や強迫による取消しを、詐欺や強迫をした人にいえるのは両者とも同じですが、第三者が関係した時に違いがでます。 まず強迫の場合は脅されたかわいそうな人を守るため、誰に対しても主張できます。だから甲が第三者丙から脅されて乙に車を売った場合、買主乙が強迫の事実を知らなくても甲乙の売買は取消し可能です。また(そうすれば原則として甲は丙に車の返還を求めれます) これに対し、詐欺の場合には「騙される奴も悪い」という発想の元、詐欺による取消しを主張できる相手を制限しています。まず96条2項で第三者詐欺の場合の制限があります。先ほどの例ですと、甲が第三者丙に騙されて乙に車を売った場合、乙が丙の詐欺を知らない限りは甲は乙に売買の取消しを主張できません。また、96条3項は第三者保護を定めており、同じく先ほどの例ですと甲が乙に騙されて乙に車を売り、さらに乙が丙に車を転売した場合、丙が詐欺の事実を知らない限りは甲は丙に甲乙の売買を取り消したと主張できません。 2について 前提として「消費者契約上」とあるのを「消費者契約法という法律の規定上」と理解して回答いたしますと、消費者契約法には詐欺・強迫による意思表示に関する規定はありません。従って消費者契約法の対象となる契約において詐欺・強迫があった場合は民法の規定が適用されることになります(そもそも消費者契約法には詐欺・強迫の規定がないのですから、民法との違いは生じません。ただ、以下に述べる「消費者に不利な内容を理由とする取消し」という詐欺に似た取消し理由が消費者契約法にはあるため、これと勘違いをし、混乱されたのかもしれませんね)。 なお、別の方が「消費者契約法の取消の場合、追認をすることができる時から6ヶ月間行使しないと時効によって消滅し、契約締結時から5年を経過したとき取消権は消滅します」と回答なさっていましたが、これはあくまで消費者契約法第7条に該当する消費者に不利な内容の契約の取消しについてかと思われます。消費者契約法の対象となる契約においても、詐欺・強迫を原因取るする取消しの時効期間も民法が適用され、126条により追認可能時より5年間、行為時より20年となります。
補足
大変詳しく回答して頂きありがとうございます! 消費者契約の場合、基本的に詐欺・強迫があった場合は民法の規定が適用されるんですね。 詐欺・強迫は「消費者契約法第7条に該当する消費者に不利な内容の契約」には当てはまらないのでしょうか?
- kocknock
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>民法上と消費者契約上は同様でないらしいのですが… ――よく意味がわかりません。そもそも契約(贈与・売買・交換・消費貸借・使用貸借・賃貸借・雇傭・請負・委任・寄託・組合・終身定期金・和解)は民法にて規定される行為です。 消費者契約に関する法律に消費者法(消費者-事業者間の契約についての規定)があり、。事業者間の契約に対する規定と消費者-事業間、個人間で(つまり消費者契約法の適用がなされるか否か)契約の取り消しなどの規定が異なるので、そのことでしょうか? 消費者-事業者間の契約であっても、民法96条(120、121条も同様)は当然に適用されます。 >>民法上、詐欺もしくは強迫によってなされた意思表示はどのような効力があるのでしょうか? …「どのような」?、それは、契約の種類、意思表示の内容によって変わります。効力があるかないかでしたら、一応あります。この場合(民法96条)は契約及び意思表示は無効になるのではなく、取り消すことができます。取り消し権者については民法120条を参照してください。 (取り消さなければ、有効になります。) また、詐欺については民法96条2・3項のように制約があります。
お礼
なるほど。 畏怖の程度によっては取り消しではなく無効となるんですね。 ありがとうございます。
補足
あ、すみません… お礼先を間違えてしまいました。 分かりにくい説明をしてしまってすみません。。 ご回答ありがとうございます!
- Himuca
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詐欺、強迫とも意思表示を取り消すことが出来ますが、詐欺の場合錯誤に陥った自身にも落ち度があることから取消を善意の第三者に対抗することは出来ません。一方、強迫の場合は善意の第三者にも対抗できます。加えて、強迫による畏怖の程度が表意者の意思の自由を完全に喪失させるほどのものであった場合は、意思無能力とみなされその意思表示は当然無効となり取消の対象にはなりません。 民法上の取消権は追認をすることができる時から5年間行使しないと時効によって消滅し、行為の時から20年を経過したときにも取消権は消滅しますが(民法126条)、消費者契約法の取消の場合、追認をすることができる時から6ヶ月間行使しないと時効によって消滅し、契約締結時から5年を経過したとき取消権は消滅します(消費者契約法7条)。
お礼
なるほど。 畏怖の程度によっては取り消しではなく無効となるんですね。 ありがとうございます。
お礼
なるほど。 ご丁寧にありがとうございました! 消費者契約法上の詐欺と強迫の説明、とても参考になりました。 とても分かりやすい説明でうれしかったです。 また何か分からないことがあった時には質問をするかと思いますが、その時も宜しくお願いします!