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キャリア密度の増加について
結晶にレーザーを当てた結果、結晶中のキャリア密度が増加した!ということは、例えば酸化ガリウムGa2O3がレーザーのエネルギーをもらってイオン化エネルギーに達し、Ga3+とO2-のイオンに分かれて結果的に結晶内のキャリア密度が増加したという解釈であっているのでしょか??
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その解釈は捨てたほうがいいと思います。 まず、「固体電子(物性)」というキーワードで検索されますと関連の参考書などがリストアップされるかと存じますので、それをお読みになるといいのでは・・・と。(ご参考まで) さて、この場合、レーザー光が直接影響を与えるのは結晶内に存在する電子です。電気伝導に寄与しない電子がレーザー光からエネルギーを受けて、それまでより高いエネルギー準位へ励起され、結晶の電気伝導に寄与するようになったとき、それは「キャリア」として認識されるので「キャリア密度が増加」したという記述ができることになります。 電子は連続したエネルギーではなく、ある飛び飛びの値のエネルギーを持つ(しか持てない)・・・ということも知っておかれるといいと思います。これは結晶を構成している元素が持つ電子も同じで、それ(エネルギーの準位)が束になってバンド構造になっていて、それぞれ結晶構造だったり結晶面によっても変わってくるものだとイメージしておけばもう少し理解の幅が広がるか・・と思います。ある波長の光が吸収されるには結晶(構造)によって決定されたバンドギャップを超えるエネルギーの波長でないとなりません。 酸化ガリウムって確か非常にバンドギャップの値が大きかったので、何もドーピングされていないものだと、一般的な紫外線レーザー程度では励起されないかも知れません。(Nd:YAGレーザ光(266nm)もほとんど吸収されず透過するようですよ) なお、キャリア密度が増加したことを知るというのは、このようにバンドギャップが大きい材料は非常に難しいです。といいますのも、例えば電気伝導性を直接見ようとすると、適当なオーミック電極自体を作るのが難しいので、そこへ外部回路を設けても純粋に信号だけを検出するのが困難だからです。