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無効と不成立の違い
婚姻の成立を学習していて疑問が出てきました。 婚姻意思を欠いた場合、婚姻は無効となります。 これに対して、届出を欠いた場合、婚姻は不成立になります。 いずれも、婚姻の成立要件を欠き、効果が発生しないことに変わりはありません。 しかし、一方は無効で、他方は不成立です。 契約でも要件を欠く場合に、 無効と言ったり不成立と言ったりします。 そもそも無効と不成立の違いはなんなのでしょうか? 婚姻に限定せず、一般論としてのご回答をお願いいたします。
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通常は,「この契約は有効に成立」という言い方で,両者の区別を意識しない上,試験においてもその違いが問われることはほとんどないので,私もあまり考えたことがありません。以下は,テキスト等の受け売りです。 成立を一般的に説明したテキストは,手元にありません。 そこで,契約を例にとりますと,契約は「相対立する二つ以上の意思表示の合致(合意)によって成立する法律行為」(有斐閣『有斐閣 法律用語辞典 第3版』)であり,成立とは,「申込みと承諾という二つの意思表示が,その解釈によって定められる内容において一致すること」(我妻栄等著 ダットサン『民法2』一粒社)です。 ダットサン民法の説明によりますと,「解釈によって定まる内容が一致しないのなら(:不合意)契約は不成立に終わる。しかしこれさえ一致していれば,契約は成立し,その内容は定まる。ただ,この内容が内心の意思内容と一致しなかった当事者は,錯誤を理由として申込みまたは承諾の無効,したがって契約の内容の無効を主張できることがあるだけである」だそうです。 このテキストの説明によっても何かよく分かりませんが,「解釈によって定まる内容」とは,第三者(裁判所)がその意思表示の一致を客観的に解釈して得られる外形的な意思表示の一致を指しているのではないかと思われます。婚姻の場合の届出も,当事者の真実の意思は分からない第三者が解釈して,婚姻の成立といえるでしょう。 つまり,「成立」とは,当事者の真実の意思は無視して,第三者が客観的・外形的に判断して法律行為や身分行為が法が求める形式をなした場合ということではないでしょうか。 これに対して,無効は,法律行為(や身分行為)が,何らかの理由により当事者の表示した効果意思の内容に従った法律上の効果を生じないこと(有斐閣 前掲書)とされます。 これは,一応成立した法律行為や身分行為の効果についての概念であると思われます。
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- un_chan
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一般論からだと考えにくいので,まずは婚姻を例にして書きます。 法律上の婚姻の成立要件は,主観的要件としては当事者の婚姻意思の存在が,そして,客観的要件として,届出があります。 どちらが欠けた場合にも,要件が欠けている以上成立しないのですが,婚姻意思の不存在の場合には,届出により,外形上は有効な婚姻がなされたようにも見えます。 これに対して,届出がない場合には,外形的な効力発生要件が欠け,婚姻が成立していないことが明確です。 前者については,有効なように見えるけど「無効」。後者については,有効になり得ないという意味で「不成立」です。 契約の場合も同様に,有効な契約成立について外形を備えている場合には,その契約が「無効」かどうかが問題になりますが,契約の合意に至らなければ,「不成立」と言えるでしょう。 もっとも,成立していない行為や契約は無効と言えるでしょうし,行為や契約が無効であれば,それはその行為や契約が不成立だったとも言えるので,その意味で,両者は重なる部分が多いでしょう。 ただ,無効理由が公序良俗違反の場合などは,一応の要件は満たして契約自体は成立しているが,無効であるということになるので,この場合は,両者は異なることになります。 また,それ以外の場合でも,形式的にせよ,一応成立したと認識された行為に対しては,「不成立」ではなく,「無効」の表現が使われると考えることができるように思います。 逆に,明らかに客観的要件を欠き,行為が成り立っていないのであれば,効力が発生しているかどうかが問題にならないことから,「無効」ではなく,「不成立」の表現が妥当するのではないでしょうか。
お礼
こんにちは。 答えにくい質問に丁寧にご回答いただきありがとうございます。 たしかに、両者は重なる部分が多いように思います。 私が混乱したのはそれが原因だったと思います。 外形が区別のポイントになること、よく解りました。
お礼
こんにちは。 答えにくい質問に、丁寧にご回答いただきありがとうございます。 不成立は、法律行為がそもそも有効な外形を備えていない場合。 無効は、有効な外形を前提として、効果が発生しない場合。 実質を欠くということでしょう。 納得しました。