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日本にとってドーハラウンド交渉合意のメリットは?
お世話になります。 今回、ドーハラウンドを巡る少数国会合での交渉がまたしても決裂したとのことで、セーフガード発動条件に関する、米欧と新興経済国との間での意見の食い違い等が主な原因のようですが、もし、合意に達していたら、日本にとってはどんなメリット、デメリットがあったのでしょうか? 農業分野、鉱工業分野について、なるべく簡単にわかりやすく教えていただけないでしょうか。よろしくお願い致します。
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- omeger
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初段落の輸出製造業…は、成立が遅れた事の影響。
- omeger
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輸出製造業にとっては、アジア向けを中心とする 輸出の伸びの加速がある程度抑えられることにはなります。 アジアにはまだ工業品に高率の関税を課して輸入を抑制している地域が多いです(1)。 もっとも、東南アジアとの自由貿易協定(FTA)が結ばれるなど、 関税率は次第に下がっていく流れにはあり、 必ずしも影響の大きさは死活問題というわけでもありません。 しかし、日本は自由貿易協定の締結で諸外国より遅れがちなため(2)、 日本からの輸入だけが高い関税を取られたり冷遇措置を取られることに対して、 輸出産業からの不満が増大していくことになります。 早い時期に市場を制して先行者利益を確保したい思惑からも苛立ちが出てきます。 農業は成り行きを予想するのが難しいです。 大筋で合意したとしても、各国は産業保護のために逃げ道を模索しようとして、 当初の思惑とは大分異なったことになっていく可能性があります。 農政側は、できるだけ日本の穀物輸入、 特に輸入米の流入を抑制しようと画策はするはずです。 ただ、どの道農業保護は削減される潮流にあり、 程度と速度の問題にもなります。 WTOの農業保護削減交渉が消滅したわけではありませんし、 ドーハラウンドの成立がかなり遅れたとしても、 交渉中の日豪FTAや、将来の日米FTA、日加FTA、日中FTAまで考えれば、 農業の現状温存というのは難しくなります。 重要品目などの保護枠に価格競争力の弱い穀物(コメ・小麦等)をできる限り押し込めば、 地域産業と結びついた高関税農作物が保護から外されるかもしれません。 サトウキビ(沖縄)、乳製品(北海道)、コンニャクイモ(群馬?)、落花生(千葉?)、 などの品目の高率関税や非関税障壁が撤廃されれば、地域の農家に影響が及びます。 これは地元農業を票田にしてきた政治家にとっては死活問題です。 しかし、大抵の消費者にとって農業保護の撤廃は、 特定の食料品の相対価格が下がることで実質賃金は上昇します(3)。 実際、外国に障壁を撤廃させたら勝ちで 自国の障壁が撤廃されたら負けとかいうわけではなく、 貿易自由化が経済に与える効果の試算の多くでは、 自国の障壁を撤廃した方が所得水準を上げる効果が顕著になることが多いです(4)。 静態的に考えれば、農業の生産性が向上することになり、 これは日本の経済成長を促すことになります。 土地が集約されて再利用されると仮定すれば、 日本の農業生産量に与える影響が壊滅的だと単純に割り切ることはできません。 ただし、農業の生産性の向上は短期的には農業人口削減も意味しています。 先進国中最も狭いレベルの農業従事者1人当たり農業面積と、 先進国中最も多いレベルの農業人口を抱える日本にとっては、 農業人口の削減はえげつなく進行する可能性はあります。 今日の日本の農業人口は高年齢にひどく偏っており、 他の産業への転職が困難であるため社会不満が募るかもしれません。 なお、日本のGDPの1%強が農業、 20%程度が製造業(うちそれなりの部分は内需製造業)ですが、 日本経済は残りのサービス産業が主要な構成要素となっており、 経済成長率もこの分野に大きく依存しています。 サービス産業が活性化しなければ総合的な効果は限定的であり、 サービス産業の生産性が上がるならば効果も絶大になります。 (1) 日本は農業以外の関税率は世界的に低いが、 途上国の工業品の関税率は一般に高い。 MFN加重平均関税率(世界銀行より) 日本 非農業1.35% 農業21.69% 中国 非農業4.57% 農業15.84% 韓国 非農業3.67% 農業90.42% 台湾 非農業1.94% 農業11.57% ベトナム 非農業13.43% 農業35.48% タイ 非農業4.65% 農業14.32% マレーシア 非農業4.08% 農業15.04% インド 非農業6.36% 農業42.04% EU 非農業2.59% 農業12.43% オーストラリア 非農業6.28% 農業3.05% カナダ 非農業2.82% 農業18.37% アメリカ 非農業1.79% 農業5.26% ブラジル 非農業8.63% 農業10.40% (2) 日本の主要貿易相手地域の間で結ばれる 米韓FTA、欧韓FTA、米ASEANFTA、欧ASEAN FTA、中ASEAN FTAは、 日本企業や日本の貿易に対して影響を与える可能性がある。 ジェトロによると、2006年の日本の輸出の 23%がアメリカ、15%が中国、6%が香港、14%がEU27、12%がASEAN、8%が韓国。 (3) 農家総収入のかなりの部分は農業保護障壁で支えられている。 OECDより、各国の生産者助成推計 http://oberon.sourceoecd.org/vl=8937724/cl=26/nw=1/rpsv/factbook/100301-f1.htm (4) 例えば、Hertel et al.(2000)によると、 障壁を40%した際の等価変分による厚生と効率の増加の試算は日本では下記のようになる。 推定が難しい部分が大きく、サービス分野などは実際はほとんど不明瞭。 農業40% +125.52億ドル 農業市場40% +134.61億ドル 製造業40% +66.07億ドル ビジネス金融サービス +25.64億ドル 商業運輸サービス +333.58億ドル
お礼
詳しいご回答をありがとうございます。基本的なところでわかっていない部分があるのですが、それでも何となく理解できました。お礼が遅くなり申し訳ありませんでした。
- Us-Timoo
- ベストアンサー率25% (914/3620)
農林畜水産、およびその加工業にはまったくメリットはありません。 ただでさえ、自給率が低いこの日本で、この交渉が成立していたら 日本は農林畜水産業はつぶれていたことでしょう。 日本政府は、それらを犠牲にして車・電気製品など工業製品を 海外に高くもしくは輸出量を増やすのが目的で交渉に臨んでいただけです。 私個人は、国内の農林畜水産業を根本からサポートする政策が 実施されない限りは、このドーハラウンドには反対です。
お礼
お礼が遅くなり、申し訳ありませんでした。ありがとうございました。
お礼
お礼が遅くなりました。ありがとうございました。