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三重光と蛍光について教えてください。
蛍光を533nm,633nmでレーザー測定しているときに三重光が入ってくるらしいのですが、きちんと蛍光が測定できているのでしょうか? そもそも三重光とはなんでしょうか? 三重光と蛍光の関係について教えてください。
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harnerさんがどのようなサンプルを測定されているのかわからないので、ひょっとすると的はずれなアドバイスになるかも知れないことをご了承下さい。 三重項などの「何とか重項」と呼ばれるものは、原子・イオン・分子などに含まれる軌道電子の上下スピンの数の差を表すものです。電子のスピンsの絶対値は1/2で、上向きはプラス、下向きはマイナスとされます。原子・イオン・分子の各電子軌道に入っている電子のスピンを、その向きに応じて足し合わせると、その和の絶対値Sは、上向き・下向きが同じ数存在する時はS=0、どちらかが一つ多い場合はS=1/2、二つ多い場合はS=1となります。 このSの値を使って2S+1を計算した値を、「何とか重項」の「何とか」の部分に入れます。これが、スピンの状態を表す時の決まりです。 ↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓ S=0 (2S+1)=1 一重項 ↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑ S=1/2 (2S+1)=2 二重項 ↑↓↑↓↑↓↑↓↑ ↑ S=1 (2S+1)=3 三重項 のようになります。普通の物質の基底状態は一重項です。二重項はラジカルに相当します。以上が、三重項についての説明です。 蛍光とは別に、りん光と呼ばれる発光過程があります。りん光は三重項と関係があります(蛍光は関係ありません)。「三重項が入ってくるらしい」と書かれているのは、レーザーを照射して発光を観測する時、その発光に蛍光のみでなくりん光も含まれている可能性がある、ということではないでしょうか。 以下に、蛍光とりん光の簡単な発生原理を説明します。前提として、harnerさんの扱っている被験試料の基底状態が一重項であるとします。 ○蛍光 レーザーによって、上向き・下向きどちらかのスピンを持つ電子が外側の電子軌道に励起されます。励起された電子は、蛍光寿命(と呼ばれる時間。その励起状態の安定性によって決まり、安定であるほど長く、不安定(その励起状態からイオン化や解離などが起こる)であるほど短くなります)の後、そのスピンの向きを保存したまま、元の軌道に戻ってきます。この時に安定化するエネルギーを、蛍光として放出します。 ○りん光 励起されるところまでは蛍光と同じです。異なるのは、励起された電子のスピンが反対になり、三重項状態になることです。このスピン反転は禁制なのですが、物質によってはわずかながら(?)起こります。スピン反転によって生じた三重項状態から、電子が元の軌道に戻る時にエネルギー差分だけ放出される光が、りん光です。 三重項の励起状態は一重項のものより安定なため(この理由については、高校の化学で勉強した「電子軌道の占有される順序」を思い出してください)、励起状態が長く持続します。このため、りん光による発光は長時間持続します。 蛍光のみを測定したいとのことですが、蛍光とりん光で異なると考えられるのは、レーザー励起の後発生し始めるまでの時間差・発光の持続時間・発光波長です。もし蛍光・りん光が同時に発生しているのであれば、これらで分離するより他ないと思います。
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- Yo-Na-C
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rei00さんが紹介されているURL(←わかりやすいよい図ですね!)を見て、自分の間違いに気づいてしまいました(^^;) 昔々のことを思い出しながら書いたので、ご容赦下さい。 ○普通の物質の基底状態は一重項、二重項はラジカル → アルカリ金属では二重項になるんだと思います。 ○りん光が長時間持続する理由として 三重項が安定なため → 基底状態の一重項と三重項との間の遷移が禁制で、基底状態になかなか戻ってくることができないため だと思います。
- rei00
- ベストアンサー率50% (1133/2260)
回答しようとしたら,既に見事な回答が・・・・。 せっかくですので,参考 URL だけ上げておきます。御覧になってみて下さい。
お礼
わかりやすい図でありがとうございます。
- dakachan
- ベストアンサー率39% (25/63)
もしかして「三重項」ではないですか?
お礼
詳しくご説明頂きどうもありがとうございます。