#1です。
お礼有難う御座います。
まず、怪しげな回答が多い中で、ちょっと根本的な指摘をしておきますね。
おそらく、ご質問者の意図は、なぜ日本の「刺身」に代表されるような食文化ができたのかということだと思います。なぜ、日本では魚を生で食べる文化が出来たのかということではなく、生に近い素材を活かした食文化が出来たのかというご質問でしょう。
江戸時代に「刺身」という料理が出来たことは確かですが、これは「なます」であって、現在の刺身とはやや意味合いが違います。
また、元禄時代に「はなやよへい」という人が、寿司を考案したということが書物には載っていますが、これは生の魚を削いだ「刺身」を載せたわけではありません。酢〆や醤油につけた魚の切り身を載せたもので全くの生食ではありません。
前にも書きましたが、冬はともかく生の魚を数時間放置することは、腐敗を招くことは誰の目にも鮮やかです。
また、江戸前といわれる東京湾の中で採れる魚は「小魚」です。こうした魚が寿司のネタになるとは考えられませんし、刺身になるとは思われません。
因みに、江戸っ子の心意気とされる「初鰹」は、房総沖で取れたものが三浦半島の先から烽火で連絡され、江戸城に5匹、残り数匹が一尾10両以上で大きな料亭に分配されたという記録があるように、ひどく手間のかかったもので、とても庶民の口にはいるようなものではありません。
で・・・
なぜ「日本が生で魚を常食としていた」かというやや誤った考えの根拠ですが、フランス料理が一辺倒の中で、日本の生に近いシンプルな料理法が1960年代以降見直されたと言うことによります。これをヌーベルキュジンーヌなどといいますね。かの「クイーンアリス」のシェフオーナ川鍋さんなどの尽力です。
フランス料理は、当然パリが発祥ですが、パリは海から100キロ以上離れています。そのため、フランス料理での魚は腐敗寸前のよたよたの状態でしか手に入りません。そこで腐敗臭を消すために様々なソースを考案したのが、まさにフランス料理なのです。ただ、20世紀も後半を過ぎると冷蔵技術が高まり、よたよたでない新鮮な魚介類が手にはいるとなると、数百年の伝統を持つフランス料理も改良を加えなくてはいけなくなりました。そこで注目されたので、日本の「生に近い」料理の伝統と言うことです。
因みにフランス料理の原型はイタリア料理です。実はフランスはカトリーヌ・ディチというお姫様をイタリアから迎え入れるまでは、料理らしい料理とはなかったのです。みんな手づかみで、ナイフフォークを伝えたのもカトリーヌだそうです。それはともかく、ローマは海に近いので新鮮な魚を料理に使うことがありました。カルパッチョなどはそうですが、パリでは無理でした。
フランス料理発祥から、300年近い年月を経て冷蔵技術の発達によって初めて、本来の源流たるイタリア料理に近づけたというのが、日本料理をきっかけとしたというのは非常に不思議です。フランスとイタリアは仲が悪ですからね。何も生に近い形で食べるのは日本だけの特技ではありません。余計なソース類を使わず、素材の味を活かすというコンセプトが気に入られたようです。
余計なことですが、イタリアでは日本の醤油と同じ感覚で何にでもオリーブオイルをかけるようです。カルパッチョにオイルと鯛の刺身に醤油というのは何か、日伊同盟の絆を思い出せます(関係ない失礼)
そうしたことがあるので、日本は「魚の生食」と思われがちですが、実は「生食」ではなく、生食に近い形での食文化が近世以降あったという本当のことを知って置いた方がよいと思います。
お礼
生に近い形で食べるのは日本独特の文化だと思っていて、どうして他国の沿岸の地域では食べないのだろうと考えていました。。 でもこれで概要がわかってきました。 あざっす!!