ここ数年は行ってませんが、何度も個人視察に行きました。
ホームデポはその昔「木材」をスーパーの生鮮と位置づけていました。ただHCやGMSとは違い綺麗にせず整理の行き届いた資材倉庫のようなお店で通路番号も無く、セルフ店というよりも店員が多いお店のスタイルをとっていました。マニュアルを持たず専門知識を持った店員が積極的に接客するようにしていました。
1980年代の米国の建設不況時に職を失った大工さん等を大量に雇い、人材育成して出店を拡大しました・・・・店員の確保育成に合わせた出店。
実際に店舗に行くと、胸にいくつものバッジをつけた(分野ごとのスペシャリストを意味するバッジです)店員が店内を走り回り、私達にも声をかけてきました。(職人姿に近い格好でお店に行きましたから)
ホームデポの顧客は一般80%・プロ20%と言われていましたが、客単価は圧倒的に地元のコントラクター(法人カードで契約している建築関係の小さな企業が多い)が高く、来店客にヒアリング(声をかけて聞く)すると月に$15,000以上の購入しているというコントラクター結構多かった記憶があります。
朝早く行くと前日に予約していた商品をトラックに積み込みお客さんが出て行くのを見ることができます。
店内に1mほどの高さがあるところにカウンターがあってレジとは別にコントラクターがカード決済していたように記憶しています。
2000年に新しいCEOになり、競争相手の女性客に人気のあるローズが急激に追い上げてきていることもあり、新しいお店のフォーマットを実験したり、分散型の経営スタイルから集約型の経営スタイルに転換したりし始めました。自動生産レジを導入して店舗の人員を削減したりもしました。
ゼネコン(大手総合建築建設会社)への販売を強化しようとして企業買収し取り組みましたが黒字だったのに(ホームデポサプライを)売却してしまいました。昔のホームデポとは少し経営が違ってきています。
しかし、ホームデポの特徴は企業ビジョンを売り込んで建築資材・住宅資材メーカーとパートナー関係を作り、専門知識を持った店員がコントラクターに対応し・一般客にDIYの専門知識をアドバイスして顧客育成していく、こんなところが特徴だと思います。
コントラクターを一般客に紹介してリモデル(日本のリフォーム)やメンテナンスの需要の広げたりしています・・・・資材はコントラクターがホームデポで購入するのでそこから利益が得られます。
日本は木建・建金・住設・電設などなど代理店・特約店チャネルが川上(メーカー)から販売へと系列チャネルがあります。代理店・特約店などが中堅中小建築・土木等企業に販売しています。
以前のホームデポのような形態では、コントラクターが取り込み難いのが日本です。カードで法人契約(与信を与えて)して・・・・この部分が欠けると非常に経営が厳しい状態になります。ホームデポの粗利率は確か27~28%程度だったと思います。
日本のHCのフォーム分野はホームデポの展開とは異なり、リフォーム会社から利益を多くとっています。
このような理由もあってか、ホームデポも具体的に日本進出を検討していましたが中止しました。
最近では中国の企業を買収し本格的に中国に進出し始めています。
ウォルマートも日本では上手くまだいっていませんし、エブリデーロープライスを行うホームデポはこの点でも現在の日本には合わないでしょう。
流通やら販売価格・販促政策やらメーカーやコントラクターとのパートナーシップの形成やら・・・・日本には合わない条件が多すぎます。
個人的な意見ですが、マーケティング実務家としてこのように見ています。